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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第10章 宴会と戦場
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陸軍首脳宴会・設計と心(1939年1月)

 日をずらして、今度は陸軍の番だった。


 同じ部屋。同じ形式。しかし、知仁の言葉は違った。


「陸軍には、多大の苦渋の決断・選択を強いてきた」


 静かな声だった。


「武漢も、盧溝橋も、満州も……朕の意向と現場の間で、諸君は板挟みになってきた」


 誰も何も言えなかった。


「これからも、無理を強いるかもしれない。申し訳ないと思っている。しかし全て、朕及び日本国民のためだと、泣いてくれ。頼む」


 最後の「頼む」という言葉が、部屋に静かに響いた。


 陸軍の将官たちの中で、目を赤くした者が何人かいた。泣いていた。


―――


 翌朝、竹中は竹田に言った。


「どうだった」「……泣いている者がいました」「そうか」


「陛下は、人の心の動かし方を知っておられる」


「竹中中佐が教えたんじゃないんですか」


「違う、そこまでの知恵はない。陛下はもともと、そういう方だ。陛下に助言できるのは現状とプラン設計だけだ」


 竹田はしばらく黙った。


「プラン設計と、実際の心は別ものですか」


「そうだ……全く違う。現状報告とプラン設計は俺がやる。それを実行する心は陛下がやる。陛下は全てを知っておられる気がする。その中で俺のプラン設計を聞いて少し変更されることもある。それが心を入れることだ……だからうまく機能している理由だ」

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