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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第9章 動乱の時代
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査問委員会・武藤章の場合(1937年12月)

 盧溝橋事件査問・調査委員会が開かれた。


 武藤章と牟田口廉也は別々に東京に召喚された。別の日程で呼ばれ、互いの証言内容を確認できない。宿舎も別。憲兵が立っている。半軟禁状態だった。


 委員会の場で、竹中は一切姿を見せなかった。


 全て書類が語った。


 命令書。改竄の痕跡。制令線を越えた記録。


 二人とも否定した。しかし証拠は揃っていた。


―――


 委員会最終日の全日程終了後、武藤章が別室に呼ばれた。


 扉を開けた瞬間、固まった。


(陛下……天帝が立っておられる)


 知仁がそこにいた。人払いがされていた。二人だけだった。


「楽にしてくれ」


 武藤は座った。


「報告は受けている」


 知仁はそれだけ言った。


「朕に言いたいことはあるか」


 武藤は話した。言い訳を言いに言った。これまで陛下の為、日本の為粉骨砕身努力してきたと。自分もそれに半分陶酔しながら。辻褄の合わない所は部下への責任転嫁もした。


 知仁は黙って聞いた。


 全てが終わった後、知仁は立ち上がった。


「それだけか?」


 その一言を残して、扉を開けて出た。


 武藤は、しばらく動けなかった。


(俺のキャリアが……)


 崩れ落ちた。

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