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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第二部 助走
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報せ・盧溝橋(1937年7月7日)

 1937年7月7日 07:30


 竹中の執務室に電話が鳴った。


「盧溝橋付近で、日支両軍が小競り合いが起きました。現場は混乱している模様です。急進派と温厚派が対立してます」


「様子を見て、後ででも証拠付きのレポートしておいてくれ。6時間毎ぐらいに電話もくれ。絶対に何もするな。報告者に徹しろ」


 竹中は受話器を置いた。


 少し間を置いてから、煙草に火をつけた。


(来たか。でも、少し様子見だな)


 窓の外は、まだもう朝日がカーテン越しに明るく照らしている。


(通達通りに非拡大で落ち着くか、いつもの希望的観測で無視して、増強戦力で一気に拡大させて、既成事実化するか。今俺は武田の言う悪魔顔してるんだろうな⋯⋯⋯。先は長い。ああ,集合掛けるか)


―――


 7月7日、08:15過ぎ


 PL1全員が集まっていた。大きな楕円形のテーブル。背後には盧溝橋付近の拡大地図と、主指揮官とその参謀の顔写真・略歴が貼ってある。情報が入るたびに係員が資料を配布している。


「関東軍の1個連隊が夜間演習中に中国側から攻撃を受けたようだ。我々が構築してきた組織の実戦テストにもなると思う。もし拡大させる動きがあれば、その経路を徹底的に追求する試金石となる。不拡大の通達がどういう経路で捻じ曲げられ、誰が関与したかを徹底的に調査するのが目的だ。しっかりやってくれ」


 竹田が手を上げた。


「収束させる方向には動かないのですか?」


「動かん。あくまでも情報収集と背後関係を探る。今の日本は悪い病魔に冒されている。その病巣を的確化するのがPL1の第一目標だ」

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