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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第8章 武漢作戦
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今村勤・関東軍着任(1938年末)

 今村勤が関東軍司令部に着任した。


 着任の挨拶で、今村は参謀たちを見渡した。優秀な顔が並んでいた。しかし今村には見えていた。その目の奥にある、焦りと野心が。


 今村は静かに言った。


「諸君に一つだけ頼みたい」


 参謀たちが背筋を伸ばした。


「考えてから動いてくれ。動いてから考えるな」


 それだけだった。短い訓示だった。しかし、その重さは全員に届いた。


 その夜、今村は竹中に手紙を書いた。


「着任しました。思ったより手強い連中です。しかし、やれます」


 竹中はその手紙を読んで、竹田に渡した。


「やれると言っている」


「信じますか」


「信じる」


 竹中は珍しく、迷いなく言った。


「あの男は、遠くが見えている。遠くが見えている者は、目先の誘惑に負けない」

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