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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第7章 束の間の平安
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辻政信・ビルマへ(1938年)

 辻政信が竹中の前に座った時、竹中はしばらく辻を見た。


 優秀な男だった。しかし眼が危なかった。熱があった。それ自体は悪くない。しかし向く先が問題だった。


「辻、一つ頼みたい仕事がある」


「はい」


「ビルマだ」


 辻は少し驚いた顔をした。


「……ビルマですか」


「イギリスがビルマを抑えている限り、日本のインド洋への影響力は永遠にゼロだ。しかし今は英国と正面からやり合う時期ではない」


 辻は黙って聞いた。


「ビルマの内側から、静かに組織を育てる。5年後、10年後の日本の選択肢を広げるための仕事だ」


「……表向きは何ですか」


「南方情勢調査のための非公式調査団だ」


 辻はしばらく考えた。


「私にしかできない仕事だとおっしゃいますか」


「そうだ」


 竹中は辻を真っ直ぐに見た。

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