百々地みほ・参加
ようやく、メイン・ヒロイン登場
麻子が、竹中と竹田の前で切り出した。
「ちょっとお二人にお話があるんですけど……いえいえ、婚約者が出来たとかの話ではないです。お二人とも安心してくださいね」
「……」
「このPL1、SCSに推薦したい人がいるんです。すごく優秀で美人さんです。いつも行く居酒屋で知り合ったんですが……」
「お前な……」
「まあ、いいから詳しく」
「女です。私と同じ日本育ちじゃないです。国はアメリカで二世です。日米二重国籍だったのを米国籍を捨てて、日本国籍になってます。スタンフォードで心理学の学位を取ってます。家のゴタゴタで父親の母国である日本に帰ってきて、いつもの飲み屋でアルバイトしてて知り合いました。ちゃんと裏も調査済みです」
「どうやって調査した?」
「室長の名でSSS、外務省、刑事課、アメリカ局等に依頼しました。皆、室長の名前を出すと必死になって。一応お世話になった方には三ツ星デパートから粗品を送っておきました。もちろん室長の名で。私の見たところ完全に白です」
「竹田、もういい。請求書はお前に渡すからな」
「麻子!……」
「室長は『良い人材は何が何でも欲しい』っておっしゃっていたじゃないですか。まあ結果良ければ全て良しです。会ってもらえますか?」
「うん」
「こいつ、俺より策士だぞ」
竹田の耳打ちに、竹中も小さく頷いた。
「どうやって会うんだ」
「大丈夫です。もう来ていますから。みほ、こっちこっち」
麻子は立ち上がって後ろを向き、手を振った。二十メートルほど離れたベンチに座っていた白いワンピース姿の女性が立ち上がって、ゆっくり歩いてくる。
竹中も竹田も周囲に警戒はしていたつもりだったが、全く気づいていなかった。
「こちらが竹中中佐。こっちが竹田少佐。私、何か飲むもの買ってくるわね」
「竹中です」
「竹田です」
「百々地みほです」
品の良さそうな、女性にしては少し背が高くがっちりした女性が立っていた。
「なるほど、姿勢もいいし、目に力がある。使えそうだ」
竹田が率直に言った。
「……ああ」
竹中は短く答えた。だが、みほから視線がうまく離せずにいた。
(有能さは、見ただけで分かる。だが、それだけではない、何か——)
自分でも、うまく説明のつかない何かが、胸の奥で、かすかに動いた。




