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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第6章 組織拡大
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今村勤・初接触(1937年初)

 竹田と麻子が今村を見つけたのは、神田の小さな居酒屋だった。


 今村は一人で飲んでいた。静かに飲んでいた。周囲を見ていなかった。しかし周囲の全てを把握しているような目だった。


 麻子が隣に座った。


(ケンブリッジが泣いている)


「相席よろしいですか」


 今村は一瞬だけ麻子を見た。


(ポン引きか、いやそんな雰囲気でない、えらく美人で、理知的な女だ。目が品性を物語っている。どこの組織だ)


「どうぞ」


(男の方も軍人か?それにしてはこの俺を前に自然体すぎる)


 三人で少し飲んだ。当たり障りのない話をした。


 しかし竹田は気づいた。今村は自分たちを観察していた。さりげなく、しかし正確に。


(この男は只者ではない)


 一ヶ月後、竹中は今村と直接会った。場所は都内の小さな料亭だった。


 今村は竹中を見た。竹中も今村を見た。しばらく、二人とも黙っていた。


 今村が先に口を開いた。


「竹田少佐と麻子博士が来た時から、何かあると思っていました」


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