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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第6章 組織拡大
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目利き役・始動(1936年末)


 麻子がある夜、竹中に報告書を持ってきた。


「関東軍の人事データを整理しました」


「その中に一人、気になる者がいます」


「言ってくれ」


「今村勤少佐。陸大を優秀な成績で卒業していますが、作戦畑ではなく情報・教育畑に回されています。欧米の駐在武官経験があって英語も堪能。対米英の実態を肌で知っている人物です」


「なぜ主流から外れた」


「精神論より数字で話す癖があるようです。上司に好かれないタイプですね。私といっしょ!才能って怖い」


「ちょっと黙って」


 竹中はしばらく報告書を見た。


「写真は」


「これです」


 真っ直ぐな目だった。しかし尖っていない。静かな目だった。


「竹田」


 竹田が顔を上げた。


「会いに行ってくれ。非公式で」


「どう接触します」


「飲み屋でいい。麻子が得意だろう」


 麻子が溜息をついた。


(また、わたし……飲み屋の姉ちゃんじゃなく、空力の専門家よ)


「私はただ飲み屋が好きなだけです」


「それが才能だ」


(そんな才能認めて欲しくない、統計よ・統計)

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