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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第3章 竹中と武田(竹馬の友)
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竹田、そして海軍兵学校へ

 竹田の家は貧しかった。


 竹中はある時、そのことに気づいた。


 気づいたが、何も言わなかった。


 竹田も何も言わなかった。


 ただ竹中は、父に頼んだ。


「竹田んちに、仕事を回してやってくれないか」


 父は不思議そうな顔をした。しかし断らなかった。


 竹田はそれを知っていたかもしれない。


 知っていたとしても、何も言わなかった。


 竹中も何も言わなかった。


 それでよかった。




 そういう関係だった。



 ある夕方、竹中は親に言った。


「兵学校に行く」


 親は黙っていた。親も竹中が自分の言う事は聞かないと知っていた。


 竹中も黙って親の前で一礼していた。それから親は竹中の背中を抱き、いっしょにこたつに入るように誘導した。


 いっしょにミカンを頬張りながら、しばらくの沈黙の後、


「なんで」


「この町にいたくない」


「うん、そうか」


 それだけだった。


 親はその日から、兵学校の資料を集めだした。


 竹中は日本の先への危機をうっすら感じていた。世界史上、動かない時はない。全ての国が何らかの形で動いている。その蠢きに日本だけが飲み込まれないはずはなかった。


 何か自分が全力で打ち込めて、自分の中のエネルギーを昇華できるもの。それを探してもがいていた。


 親に言った翌週、竹田が言った。


「俺も行く」


 竹中は驚かなかった。


「金はあるか」


「ない」


「そうか」


 竹中は父に頼んだ。父はまた不思議そうな顔をした。しかし断らなかった。


 竹田は受験した。必死に食らいついた。合格した。


 その日、二人は何も言わなかった。


 ただ並んで歩いた。

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