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皇女の冒険記録〜邪神と旅する巫〜  作者: 黒月クロ
1章:奈落から這い出でし邪悪
4/5

4話 陰謀と無手と禁忌魔法


むにゃむにゃ・・・昨日食べたご飯が久々に美味しかったせいか、いつもより深く寝てしまった気がする。そして頬に当たる柔らかい寝袋の感覚。いや、なんだかざらざらして冷たく、固い。これは・・・地面だ。


次に気付くのは、後ろ手に縛られた両手。両足も拘束されて転がされている。


「リヨス、準備はできたか」

「はい。アーロン様」

何の準備かは知らないが、絶対良からぬ準備に違いない。やられた、あれだけ常に気を抜くなと師匠にたたき込まれたのに、こんな姿を見られたらもっとしごかれる。

でも常人にはむりだ、常在戦場なんて。師匠は戦闘狂すぎる。


頭の中で挽回方法を考えていると、地面がうっすらと魔法陣の形で闇色に光り始めた。これは7属性のうちの闇の魔法の一種だろう。そしてこの怪しい状況から導き出される結論はひとつだ。

(オフィー、やばいよぉ・・・魔力を吸い出されてる)

<いや、黙ってればキミは馬鹿だねやっぱり、どうみても最初から犯罪者だったろう>

(でも遍歴者だったら野宿しててもおかしくないでしょ!)

<ま、半分はそうだけど、もう半分はどう考えても怪しいヤツの可能性があるじゃないか>

ぐうの音も出ない。でもいい人そうだったし、私は普通の悪人は専門外なんだ。

だがこうなっては何を言っても言い訳にしかならない。


そろそろ、平民の魔力なら瀕死になる量が吸い上げられる。吸い上げられた魔力は一箇所に集まっている。宝珠かなにかに、蓄積させているようだ。


「そろそろだ、止めよ」

魔道士の声で、魔法陣が止った。

「ソレはいつものところにしまっておけ」

「はい」

人を物扱いとは、この爺、なかなかに人の心がないようだ。いや、貴族はみんな似たようなものか。

リヨスが近づいてくる。

……今だ。

あらかじめ一部腐敗させておいた拘束を引きちぎり、私を見て目を見開いたエルフを掴んで、アーロンに投げつける。

「ぐわっ」

受け身は取ったようだが、壁に叩き付けられたリヨスは呻いている。ちっ、年の割に素早い動きで、アーロンは飛んできたリヨスを避けたようだ。強化魔法を自身にかけたのだろう。


この空間は地下らしく、明かりはついているが、薄暗い。禁術でも追い求めていそうな魔導士が潜んでいそうな所だ。彼らの目的が何かは知らないが、適当に街の衛兵に通報でもしておけば十分だろう。


「<<パルジー!>>」

麻痺作用の闇魔法の弾丸がとんでくる。左右に避けながら、距離を詰めていく。最後に地面に転がり、魔導士の足元に滑り込む。逆立ちで足拳を突き上げて、相手の顎を落とす。


反射的に防御魔法を展開してきたが、さりげなく弱化させて攻撃を貫通させた。

<ボクの力をこんな小賢しくちまちま使わないでくれるかい?ほんと我らが父に顔向けできないよ>

(ふん!いつものことだしあんたは気にするタイプじゃないでしょ)


アーロンがしばらく動けなさそうなのを確認し、立ち上がろうとしているリヨスに対して構える。

このまま背後を見せて逃げようとしても、彼の攻撃は脅威だ。一時的でも動けなくしてから脱出しなくては。

「ふっ、ヒューマンのただの鼻垂れ小娘かと思ったら、やるじゃないか」

「だれが鼻垂れよ!失礼ね!」

さあ、軽く第二試合といこうか。


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