表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「お前を愛するつもりはない」そう言った呪われた英雄辺境伯に、売られた令嬢は咄嗟に蝉ドンしてみた~魔王殺しの英雄と魔王令嬢の物語~  作者: 桃緑茶


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/83

79.世界平和のための蝉ドン①

※タイトルに蝉ドンと付けた以上、回収します

【――『総裁』ベアトリスは極限の力で『侯爵』アヌシュカとオルトスを護り、アヌシュカ辺境伯夫人の体内に滞留する混沌を邪視で殺す。

当に限界を超えていたベアトリスは最期、自身の邪視で自身を見据え混沌ごと滅するために己の死を贈った。

と、云った未来が来た場合。勇者の末裔及びゼフェスゾーム辺境領が敵対しローレル教皇が亡くなる。

国内外の統率は取れなくなり、アヌシュカ嬢に残った真なる魔王の残滓により再封印に再び歪みが出来てしまう。

数年前に貴女が即売会(コミケ)で販売していた珍説、どの程度有効だろうか?

俺が死んだらその説を試してもらいたい。

――ヒルベルテ・バーンベルク侯爵令息】


手紙の内容は、まるで未来が見えるような詳細なものだった。

実際、予見した通りの事は大体起きたし、ベアトリスの性格上やり兼ねないとデイジーは思った。

ベアトリスの贖罪を求める行動は理解できる。

純粋無垢な諸侯王が辺境伯夫人だという。ならば年配の諸侯王の口車に乗せられ兼ねない。

と、云っても心のしこりを残したままではベアトリスは納得しない。

そもそも、相手が相手だ。

生半可な手は取れない。行動できるのは真なる魔王の再封印後じゃないと難しい。

そもそもデイジーは戦闘の素人。下手に手を出せない。

「うーん、因縁もあるし…落としどころを見極めて、『アレ』をぶちかますしか無いでしょうけどねぇ」

と、言う訳で関係各所に連絡した。


「――賭けをしましょう。私が賭けに勝ったら、シルヴィナ様に恥をかかせる方面で動いてください。私が負けたら、あなた達の恥が書かれたこちらの書(主君の原罪)。…神レベルの発禁処置で良いです」

…殺されるんじゃないかって位の殺意は飛ばされた。

けれど、曲げない。

友人が悲しみに染まってしまうなら、そしてあんなに純粋無垢な女の子を犠牲にする平和を感受するくらいなら、シルヴィナや皆で恥ずかしい想いをすればいい。


「我が君が、そんな訳の分からないことをすると思うなよ」

「ええ。ですので、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


+++++


シルヴィナの両手から放たれる光の奔流がベアトリスとアヌシュカを直撃する――刹那。

鎖が顕現しそれが『侯爵』シルヴィナを吹き飛ばした。


「おかあさん!?」

鏡の前でユーフェミアが絶叫する。

「――間に合いましたね。…賭けは私の勝ちですよ」

「デイジー、賭けって?」

「悲劇は充分でしょ?これから思いっきりの喜劇にするだけです」


空中で静止した光の塊。

それは鎖を纏う看守の出で立ちの女だった。

女の鎖がシルヴィナの攻撃を防ぎ、シルヴィナと対峙する。


『全聖女の皆さん』

鏡面を介してデイジーの声が響く。

『目標はベアトリスさんとアヌシュカさんの体内の混沌汚染を除去することです。

古臭いやり方以外にも方法はあると、人間の底力を見せる時です‼』


「デイジーさん!?ですが――」

「ハハハッ、マジでおもしれー女だわ‼」


通信機越しに各地から動揺が上がる。

「残りカス位、俺たちで片づけるぞ‼人間の恐ろしさを見せてやれ‼」

シルヴィナやベアトリスの魔力を追って駆け付けたエヴァンスとヴィルヘルム。


「不動の監獄主がこんな山まで来るとはね、『公爵(オルビド)』」

「黙れ『侯爵(ブリッツドラヘ)』。私はあのゴシップ屋との賭けに負けたのだ。人間の力を見誤った分際で喚くな」

「…賭け?」

『公爵』がシルヴィナを鎖で縛った瞬間、エヴァンスとヴィルヘルムの二人は防護障壁を展開し、その身体を使ってシルヴィナを蝉ドンで拘束する。

不可抗力で互いの手を繋いで、ダブル蝉ドンによる超接近戦で障壁を強化。



蝉ドンを躊躇する暇など無いので、デイジーは一番やら無さそう(エヴァンス)権力の強い人(ヴィルヘルム)にも協力を仰いでおいた。


――デイジーが不動の監獄主との賭けに勝ったら、シルヴィナに蝉ドンをやって欲しいと。


効果は病弱な貴族令息が百戦錬磨の『侯爵』に通用する程度に強力な効果であること。

神の腹心シュトラゾームも蝉ドンをやって、真なる魔王に効果があるのなら、これ以上ない証明だと力説しておいた。


『力ある者がこれをやった場合、相当なものに成りますよ』



更に無表情でミンミン言い続ける我が子がツボに入ったのか、シルヴィナは笑い出してしまい反撃の為の拘束の解除に集中できない。

ヴィルヘルムも心を無にしてミンミン言いながら結界の維持に徹する。


「「ミーンミーン!」」


ヴィルヘルムとエヴァンスのミンミン絶叫が結界を震わせる。エヴァンスは彼の手足をしっかり組み、無表情で『ミーン!』と唱和した。

体勢が辛そうなので、駆け付けたキリアンが三点倒立の変化形で二人の足場を支えトリプル蝉ドン拘束となった。

キリアンとしてはベアトリスやアヌシュカへの仕打ちは許せない。

だが、『一瞬の死と諸侯王にとって永劫に近い黒歴史、どっちが効果あると思います?』の助言で矛を収めた。


「……クッ」

シルヴィナの声が微かに漏れる。拘束の鎖だが――それが意味を為さない程度にあの『侯爵』が蝉ドンなる珍妙な行動で無力化されている事に驚愕が走る。

『公爵』は理解不能なものを見るように眉をひそめた。


「ほう……『侯爵』ともあろう存在が。蝉ドン一つでこうも腰砕けになるとはな」

公爵の嘲笑に、シルヴィナは一瞬だけ視線を鋭くしたが、

「……ブッフッ」

またもや爆笑。公爵は呆れて鎖を外した。


端正な顔が台無しだ。

ミンミン合唱団による強制的拘束術が炸裂する中、シルヴィナの足から力が抜けかける。

その隙に数百人もの聖女が、ベアトリスとアヌシュカを癒し、浄化する。

…ミンミン言いながら。


『ゴシップ屋。どうやらうまくいっているようだが、何で蝉なのだ』


『公爵』の声が通信機越しに届く。

キリアンの奇行(蝉ドン補助)に唖然としたユーフェミアも問う。

「ねえ、何で蝉ドン?なの?あの女侯爵様がどうして無力化されているの?」


「『蝉』とは本来『祈り』の象徴。特に夏の終わり、短命な成虫が土中から這い出て命の最後の一瞬を燃やす声。それは生への希求であり、同時に自己犠牲の証……。

長命種から見た人間そのもの」


「よくわかんないんだけど?」

ユーフェミアはデイジーに告げた。


「戦後は悲劇よりも喜劇めいた方が良いでしょう?」

デイジーは淡々と続ける。

「ベルさんも百年以上罪の重さで苦しんでいました。アヌシュカさんも。

…ユフィさん、ごめんなさい。

二人の落としどころを見極めてじゃないと、あの奇行は移せませんでした」

これでも裁判関係者や『公爵』に、罪の清算をどうすべきか相談して来たデイジー。

「…ううん。ベアルも、裁かれないのは…辛かったと思う。でも、何で蝉?」


『おい、答えろ。何故蝉何だ?』

「要するに『蝉ドン』は真なる魔王の好物と真逆…最も苦手とする『全力で生きようとする生物の執念』を具現化しているんです。それを諸侯王たるシルヴィナ様が受け止めれば…。

否応なしに真なる魔王との戦闘である程度干渉を受けたであろう、シルヴィナ様の魂の『柔軟性の欠如』が浄化される……」

『ほう?』

「いやいや、そんな新学説より、まず蝉ドン拘束が最高にエモくて面白いですよね。見てください、シルヴィナ様のあの顔ww」

『…ゴシップ屋が』


エヴァンスとヴィルヘルム、キリアンの間に挟まれたシルヴィナは拳を握り締めた。

「……私は……諸侯王として……秩序の……」


「「「――ミーン」」」


口を開こうとした瞬間、またミンミンと重なってしまう。

完全なる敗北を悟った彼女の眼に、うっすらと涙が滲む。


『なんで……なんで蝉なんだ……ッ‼』

「それが神の腹心が導いた答えでしょう。真なる魔王にも効いたみたいですし、つまり。

――アヌシュカさんとベルさんを汚染する『ソレ』にも効きます。

しかも残りかすですよ?確実に二人は生存できます」



先代諸侯王『侯爵』エレシュカと思しき者が、人間の蝉ドンで鎮まることを耳にしたデイジー


ベアトリスで試した結果が上々で、諸侯王が蝉ドンに激よわなのは面白い珍説。即売会で販売&投獄→ヒルベルテが母に伝え手を回し保釈


尚、神の腹心や真なる魔王、諸侯王が蝉ドンに弱いのはどうしてか?これはあくまでデイジーの主観であり、謎な点は多い



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ