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「お前を愛するつもりはない」そう言った呪われた英雄辺境伯に、売られた令嬢は咄嗟に蝉ドンしてみた~魔王殺しの英雄と魔王令嬢の物語~  作者: 桃緑茶


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24.旦那様は治療で噛まれるのがお嫌?

旦那様が泣いてしまいました。ぎゅっとされて苦しいですが震えています。

一生懸命背中をさすると、落ち着いてくれました。


そして、僕の手を握って魔術師さんの説明を受けています。

「辺境伯の魔障痕も貴女なら解呪できるでしょう。

――ただし、食べ合わせに気を付けて。濃い悪意と善意を食べると酩酊状態になるそうなので。なりたての魔王はこれで酔うそうですから。

悪意を食べたら半日は時間を空けて、人間の食事を摂ること。」

「はい」


「待て…‼その、あれか…?」

「旦那様、また嚙み傷と接吻痕だらけになりますねー」

旦那様は体調が良くないのでしょうか?そういう影は出ていませんが、真っ赤です。


「大丈夫ですよ。この前の時に、どの辺が一番酷いかは分かったので、噛むのは数か所です」

せっぷん?は分かりませんが、吸うのは顔に転移した場所ですね。


「その…他のやり方は……無いのだろうか」

「ありますけど、旦那様には負担ですよ?」

「あるのか…」


僕は手をグーにして突き出します。


「えっと、呪いをボコボコに殴り倒して、黙らせるんです」

「力技…」

「でも、戦闘の時の緊急対応ですよ?殺す気で殴るので生き残れるか微妙です」


何か、魔術師さんが見せてと騎士の打ち込み台を転移させました。

試しに呪いが黙る程度の打撃を打ちこみます。


「音が置き去りの打撃ですか。原型無いんですけど」

「俺をつねった時、相当加減したんですね…」


「やはりこれは良くないですね。魔王の呪いを長く受けたまま放置しているので。旦那様の身体の中も結構傷ついています。顔まで転移しているので、ひと月ほど遅ければ悪王側の諸侯王のように凶暴になる状態でした。なのでこれは勧めません。心に傷が付きます」


「大人しく奥様に噛まれた方がいいですね、旦那様」

旦那様の状態を説明するとミュゲが軽く、でも深刻そうに告げました。


+++++


魔塔の主ノアと、アヌシュカによるオルトスを蝕む魔王の呪いの解呪法と、彼女の体調管理に関してはおおよそ話が付いた。


ふと、ノアがアヌシュカに尋ねた。

「ちなみに奥様、その真なる魔王――善王と悪王は何処に封印されているか何て…分かります?」


ノアの言葉にアヌシュカは目をぱちくりとさせて、首を横に振る。

「言いません」

「何故ですか?」

「言いません」


何処か、威嚇するような鋭いものがアヌシュカの短い言葉に隠れている。


「…アヌシュカ、それは、君たちの守るべき掟か?」

オルトスが尋ねるも、その視線は鋭いまま。


「……好きなものを…すべて失う可能性を分かっていません」

「別に、封印を解くなんてこと、しませんよ?」

「――それ、した場合。貴方の祝福も、魔法も、何もかも。

無くしてしまいます。貴方が聞いたことはそういうものです」


アヌシュカはスカートを強く握りしめていた。

咄嗟に自身の手で覆うと、その手は震えていた。


アヌシュカの言葉に、ノアはふわりと優し気な笑みを浮かべる。

「すみません、意地悪な質問でしたね。大体の事はわかりました。

良いです、半人の魔王と穏やかに話せただけで充分としましょう。こちらも、穏健派をあまり怒らせたくない」

(ただ我々が知らないだけで、魔王というものは人間の世界に随分と溶け込んでいる訳か)


+++++


転移魔法で帰還する魔塔の主を見送り思案するオルトス。


ふと、アヌシュカに手を掴まれた。

「では、魔王のお務めします」

ピシッ。

身体が硬直した。

(――どうしたらいい?)


一回目は気絶していたからまだいい。…いや、良くない。

意識があるときに、10以上年の離れた男の肌を幼い妻に食ませるのは――


良くない。倫理的に良くない。

「本当に深刻です。タッセルの魔力も尽きかけているので、命にかかわるのです。

というか、タッセルも直した方が良いです」

「奥様、旦那様が抵抗するなら俺たちで抑えましょうか?」

衆目の前でやるか、二人きりか――


視界が反転する。

アヌシュカにお姫様抱っこされたオルトスは、問答無用で夫婦の寝室に連行される。

面白がってドアを開けるのを手伝うミュゲ。


「旦那様。逃がしませんよ、覚悟してください」

「えっ、その、………ふ…二人きりで‼」


+++++


結果、信頼のおける使用人を近くに待機させて、二人きりで魔障痕の解呪をすることになった。

「終わりましたよ、じゃあ僕はタッセルの魔力構造の復元してみますね」


――アヌシュカに正式に詫びるのは…解呪の後にしよう。

ベッドでシーツに丸まった嚙み傷の付いたイモムシは、火が噴き出そうな顔を抑えてそう決めた。


そして、そのままイモムシはアヌシュカに問いかける。

「タッセルの魔力とは…何だ?」

己も魔法はある程度使えるが、身近なそれが護符だと気付かなかった。


「これを作った人は凄いです。自分に何かあっても、旦那様を守る耐魔障の術式と魔力感知遮断の術式が常に出ていました。魔力感知遮断は魔王に術を分解されない為ですね。

でも、魔王の死の前の呪いが強すぎて、精神汚染を防ぐので精一杯でした。

直したら、前ほどとは行きませんが、護符になると思います」

「……そうか。大切な友の贈り物なのだ。――直してくれるか?」

「任せてください」


魔障が治ったら、アヌシュカに礼と…。俺の友を紹介しよう。

誰よりも優しく、強く、気高い友人の憂いを祓いに王都に向かおう。


彼は王家の…愛する人の元で眠っているから。


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