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17.友を想い、花嫁を拒絶する
魔障の痛みでもがき苦しむとき、オルトスはヒルベルテが最後に贈ったタッセルを握りしめた。
あの耳飾りは第二王女へ、形見として渡すとのことだった。
赤い組紐にはめ込まれた黒い石。
漆黒だが、星空のような輝きを持つ石があしらわれたそれをぼんやりと眺めていた。
女侯爵が強引に結婚を取り付けた時。
朦朧とはしていたが、心の隅っこで友人の母の願いを断れない自分が居た。
そして、あの日。
花嫁が銀髪に黒く星空のような輝きの瞳を持っていることに気付いた時。
とてつもなく怖くなった。
魔障の痛みも相まって、咄嗟にオルトスは『愛することは無い』と言った。
呪われた己が、未来の無い自分が。
愛する者を遺して死んだ友人を…。彼を差し置いて、幸せになって良い筈がない。
そう思った。




