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魔物達の来るところ

「ただいまー」

 響の声が対策室に響き渡る。

「お帰りなさい。ドラゴンはどうだった?」

 留守番? していた美智子が聞く。もっとも、留守番してる方が大変だったかも知れない。

「とりあえず討伐は成功しましたー。ドラ公は神戸に届けてきました」

「あー、あそこはドラゴン研究の最先端だもんね。理沙は久々のドラゴンはどうだった?」

「うん、思ったよりおっきくて、思ったより感動しなかったよ」

「しなかったのかよっ!」

「なんかもう、魔物見慣れすぎちゃってね」


 日本での魔物出現数は、昨日今日みたいな日を除けば、概ね一日三十件から五十件。普通の人はそうそう魔物なんて見ることはなかった。

 しかし、日本一の魔物討伐数を誇る沢井響の担当官ともなれば、それこそ魔物に出会うのは日常業務である。


「こっちの被害は? 明るくなってから見てみると、あちこち飛行機潰されてるっぽいけど」

「あー、戦闘機は全部で八機ぐらいやられたのかな? あとは救難機とうちのUH-2(ユーツー)も」

「そのうちの二機は美智子のレールガンが……」

「あーあー、聞こえないー」

 攻撃魔法を大の苦手としている人間でも、一撃で戦闘機を破壊できてしまうのが魔法使いだ。

「やっぱり、攻撃魔法を安易に使えるようにしちゃダメってことよね。危なすぎるわ。まさか自分が戦闘機壊せるようになるとか、思ってなかったし」

 やっちゃった本人のセリフは説得力がある。


「そうだ。響ちゃんにお願いがあるんだった」

「美智子さんどうしました? 何かありました?」

「いや、これだけ一気に魔物出てくるとさ、正直今の日本だと対応難しいでしょ。何か方法ないかお姉さんに聞いてもらえたらなぁ? って思ってさ」

「なるほど。どちらにしろドラゴンの件でお姉ちゃんに相談かけますから、聞いておきますね」


 響は脳内メッセンジャーで、早速質問事項を書き上げていった。まずはドラゴンが二頭現れたけど、二頭ともわたしが倒しましたよ。お姉ちゃんたちの仇は打ちましたよっ! の報告から。

 そして、なぜこんなに急に魔物が出てきたのか。沢山出てきた時はどうすれば良いか。何か知ってることあれば教えてください……と、可愛らしく聞いてみた。


 脳内文通は、時間がどのぐらいかかるのかわからない。最速だと五分以内なんてケースも過去にはあったが、三ヶ月ぐらい音信不通なんてこともあったのだ。

「はい、じゃ、お姉ちゃんに連絡は入れました。あとは今日はここの始末とかですか?」

「そうだね。ここの片付け手伝おっか。みっちゃん、ハンガーの戦闘機の片付けとか、まだできてないよね?」

「まだその前の段階だね。移動するにも燃料抜いたり武装外したりしないとならないし」

「響ちゃん、ドラゴンみたいに戦闘機運べないかな?」

「できますよ? 難しくないですし、理沙さんもやってみません? 戦闘機ぐらい小さければ、理沙さん美智子さんクラスなら余裕でアイテムボックスに入れられます」


 基本的に響の周りの人たちは、ステータスオープン魔法のバージョンが特殊だ。正直チートだ。

 普通の魔法使いでは四畳半や六畳程度のお部屋の収容能力なところ、六組の生徒やこの二人、聖女や先生や師匠まで軒並み『体育館』並の収容能力を誇る。


 ただ、『木星入れてもまだ余る』響と比べたら誤差みたいなもん……らしい。

 っていうかなんだよそれっ! 木星入れてもまだ余るって!

 間違えて地球入れたりしたら、人類滅亡待ったなしだぞ? 絶対やるなよ? 振りじゃないからな?


「ん、じゃ、教えてもらおうかな。さ、みんなでパパっと片付けちゃお」


 この日から、数日掛けて基地の復旧に尽力し、戦闘機の数は減ったものの、首都防衛の要としての機能は取り戻すことができた。

 美智子の報告書と顛末書はまだ完成していない。もっとも、対策委員会そのものが大量の魔物出現の後始末でてんやわんやなため、ワンチャン忘れられてたらいいな? とか都合のいいこと考えていたりもする。


 そして、響の姉からの返事が届いた。


「理沙さん理沙さん。お姉ちゃんからお返事が来たんですけどね」

「おお、来たのね。なんだって?」

「あのドラゴン、お姉ちゃんたちの世界から来たわけじゃないみたいです」

「え? どゆこと?」

「お姉ちゃんのとこでは、ドラゴンは全数管理されてるそうなんです。現在は世界中探しても五頭しかいない上に、全数現存が確認できたって」


 二十年前のドラゴン事件の時、あのドラゴンはおそらく響の姉達のいる場所から来たと推測されている。実際に、その時に一頭減った事が確認されているらしい。

 その後、あちらの世界で姉達が一頭駆除したあとは、数が減っていない事がわかったと……


「じゃ、どこから来たって言うのよ」

「んー……更なる異世界?」

「うっわ、また面倒な話になりそう」

「あちらの世界でも、魔物はダンジョンなどによその世界からやってきてるんじゃね? みたいな説があるらしくて……」

「誰よ、そんな面倒なことしてくれてるのは」

「多分、マイクロマシンさん……と、お姉ちゃんが言ってました」


 姉の話によれば、マイクロマシンは今から数千年後に地球で開発された医療用ロボットだと言うのだが……

「増殖する過程で色々な進化をしたっぽくて、さまざまな個性を持ったマイクロマシンが生産されている様だって」

 ロボットの個性ってなんだよっ!

 あー、でも、ちな子とかセトルリとか、マイクロマシンに愛されてる人間もいるしなぁ。魔物を愛してしまったマイクロマシンもいるのかなぁ? いや、めっちゃ迷惑なんだが。


「と言うわけで、結論、わかりませんっ!」

「あー、お姉さん方でもわからないかぁ……まぁ報告はそのままあげるしかないよねぇ」

「対策としては、魔法使いの数増やすしかないんじゃない? と。攻撃魔法使えなくても、魔法使いならそこそこ自衛はできるはず。男は女に守られれば良いのさ……だそうです」

「酷いな、お姉さん。じゃ、そのまま報告入れとくかぁ。現場判断じゃどうにもなんないわ」


 これからの魔物出現傾向が、どうなるかはまだわからない。しかし日本の未来はこの人たちの肩にかかっているのかも……知れない。

 大丈夫か? 日本の未来。

 ちょろちょろ出てくる響の姉。前作

兄の目的、妹の手段 .空飛ぶ兄は、妹に物理で殴られる-

https://ncode.syosetu.com/n4951iy/ #narou #narouN4951IY

 からの出張になります。と言うか、このお話が兄-妹の世界観そのまんまですけどね(笑)

 もしお時間がございましたら、ぜひご覧いただけたらと思います。

 それではまた、お会いいたしましょう。

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