みんなでクリスマス
「メーリークリスマスっ!」
隊員食堂に歓声が響く。
いや、普通に喫食申請出してご飯食べてる隊員さんの邪魔だろ、それ。
今日の食堂メニューはフライドチキンだったため、賄いで大量にチキンを頂いた。
「大丈夫! あんた達の分は内閣府に請求出来るから安心しなさいな。あ、ケーキは食後で良いよね?」
食堂のおば……お姉様方のご協力により、楽しいパーティーが始まった。
吉野くんも参加しているため、基地の女性隊員が何人も集まってきてなかなか姦しくなっている。
パイロットやら基地警備隊さんやら、顔見知りも続々とやってきた。
ちなみに平基地司令は、勤務が終わったら立ち寄るそうだ。
「って言うかさぁ、響ちゃんの低空からの捻り上げは、あれは無いわぁ。あれはかわせない……」
「あ、俺もそれで撃墜されたわ。エネルギー低い位置から、一瞬で同じ高度まで上がってるのに速度も負けるとか、何だよあれ」
「軽さは正義なんですよっ! F-2もわたしと同じぐらいまでダイエットすれば、似たような機動できますって!」
いや、無理だろ。あれ、何やかんやで10トンぐらいあるぞ?
響がいくら身長高いって言っても、体重は60kgぐらいしかないし……
『そこ、体重ばらすのはアウトでしょ? 命の安いナレーションだね……』
ごめんなさい……でも、筋肉質でその身長でその体重は痩せすぎだと思うし……
『女の子の体重は基準値とかじゃないの、絶対値で50kg切る数字を書いとけばいいのっ!』
176cmで50kg未満は危険域だし……
『数字が正しいか正しくないかじゃなくて、40kg台かそれ以外かって話なのっ。レールガンぶち当てるよ?』
……ごめんなさい。この話は無しで……
「ラピスちゃん、お片付け手伝ってくれてありがとねー」
「いえいえ、あのぐらいお手伝いさせてくださいー。で、何か楽しい話出てきて無いですか?」
セトルリは最近仲の良い整備科のお姉さんとお話している。ずいぶん可愛がられているようだ。
「ん? 年明けたら船舶免許申し込むの? あ、誕生日が来るのか。そっか、もうすぐ十六かぁ」
おみは、魚釣りが趣味の整備科のお兄さんと仲が良さそうだ。
もっとも、基地の中ではおみファンが一番多いため、それ以上の接触はないらしい。
やはり、最も長い時間基地にいるだけあって、ファンも多いのだ。
朝起きたら基地で朝ごはんだからね。おみは。
まぁ、正統派美少女香りチートのティナファンとか、正統派お嬢様なラビットファンとか、和風美人のラクーンファンとかも限りなく多いのだが。
あ、理沙ファン美智子ファンも存在する。ただ、妻帯者ばっかりだったりするので、二人に春は来ない気がする。
吉野くんが女性隊員から逃れて、たぬきとお話しようとしている。
しかし、このタイミングで平空将補が登場してしまった……
「やぁ、メリークリスマスだ。ホーホーホー」
なんか赤白のコスプレしてますが……しかも袋からなんか色々取り出して配り始めましたが……
「し、司令さんありがとうございますですわ」
「あ、平しれー、毎年ありがとー」
「ありがとうございます……描きます?」
地元の三人は毎年もらっていたらしい。
越境の三人も仲良くもらってお礼を言う。
「平司令さん、開けても良いですか?」
セトルリは中身が気になるらしい。それぞれ名前が書いてあったから、きちんとみんなに合わせて用意した?
「ああ、開けてくれたまえ、ホーホーホー」
今日はそのキャラで通すのね。
「……白のサイハイ……う、うん……ありがと、ございます?」
あ、微妙だったか?
まぁ、そうだよね。炉利だとわかってる人からサイハイソックスもらったりするのは、怖いよね……いや、セトルリには似合いそうだけどさ。
他の娘たちも、ほぼソックスだったが、ティナだけ何故か黒のガーターストッキング……
みんなの視線が絶対零度になりましたよ? ちな子、微妙に泣きそうかも……十六歳でそれは可哀想じゃない?
うん、平司令は女性の敵でした。確定しました。良い炉利とかじゃありません。ダメな大人です。
娘達だけじゃない、この場にいる全女性からの冷凍ビームを受けて、平司令は撃退されていった。
「じゃ、じゃあほらっ! あたしらもプレゼント交換しよっ? ね?」
場の雰囲気を変えるために、みんなのアイドルセトルリが提案する。
空気の読める嫁なのだよ。セトルリは。
「じゃ、ここにみんな置いてー。番号札つけたら、こっちのくじをシャッフルするからねー」
あらかじめ用意してあった七枚の番号札と、それに対応する紙片七枚。シャッフルしたあとに順番に一枚ずつ取っていく。
全員が取ってから、一斉に開いてみた。
「あたし四番、四番とって」
「俺、一番」
「えっへへー、七番ー。ナンバーセブンー」
セトルリ、吉野くん、響と開き、あとの四人も次々と確認していく。
まぁ、みんな吉野くんとたぬきが気になるだろう。
吉野くんが用意したのはたぬきに似合うだろうバレッタ。たぬきの黒髪を後ろで押さえたら可愛いかな? と思って用意した奴……は見事にセトルリの手に渡った。
「可愛いバレッター。これは誰からかなー」
「あ、俺だ……」
「おー、吉野くんかー……これ、たぬきに渡したほうがいい?」
「いや、ルール通りセトルリ使ってくれ……」
「ありがとね」
たぬきが用意したのはコピック六色セット。って、そんなんたぬきしか使わないってばっ!
「わたし、コピックだ。これはたぬきだね。間違いなく」
おみの元へと行ってしまった。まぁ、そんなもんだ。
そんな感じに賑やかにしているところへ、やっぱり出てくるスクランブル指令……
実は吉野くん、たぬきに渡すためにもう一つ紙袋を用意していたのだが、手渡す前にスクランブルが発令。
結局、みんなが帰ってくるまで基地で待たせてもらい、帰り際に何とか渡すことができました。
お家に帰ってプレゼントを開けてみたたぬきさん、ファンシーなペンケースを抱えてほんわりほわほわと微笑んだそうです。
クリスマスプレゼント交換、異分子が一人混ざるとカオスになりますよね……
今回、異分子は吉野くんなのかたぬきなのか……
それではまた、お会いいたしましょう。




