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冬休みに向けて

 十二月に入ると、あっという間に冬休みになる。

 もっともその前に期末試験があるわけだが、こいつらの学力ならもう躓いたりはしない筈……多分。


「助けてー、ひびえもーん」

「はっ! 嫁が助けを求めているっ!」

 ラピスさん、まだちょっと英語が引っかかってるっぽいです。

 割と喋ることはできるようになってきたんですけどね。グラマーがね……

「普段喋るのって、アメリカ英語でしょ? でも、ほら、テストはクイーンズだし」

「あ、文法はそんな変わらんよ? 割と単語は違うけど」

 いきなり放り出されてやんの。

 まぁ、会話文でフランキーな奴ばっかり覚えてるからそうなるのさ。

 実は百里(ここ)の娘たちはまだマシなんだけどね。

 横田、厚木、那覇あたりの娘たちは、マジでヤンキー言葉になってるらしい。


 テストが終われば終業式とクリスマスが一緒にやってくる。

 となると、テスト期間中だと言うのにクリスマスの予定を必死に考える人たちが出るわけで。


「た、たたた、樽木さんっ! あのっ、二十四日なんだけど……」

 期末試験終了直後、ダッシュで六組まで飛んできた吉野くんが頑張った!

「終業式の日だね」

 たぬきさん、カレンダーを確認してから吉野くんの目を見ながら答える。

「あの、学校終わったら、その、お出かけとか……」

「あー、うん。多分百里にいると思う」

「そっか……そうだよね……」

 って、引き下がるのかよっ! ここのところ凄く距離感近くなっていい感じなのに、そこは引き下がっちゃダメでしょ? 吉野くんなら行ける行ける。

「じゃ、俺もちょっと訓練がてら百里に……」

 吉野くんは百里で何の訓練するの? 習志野なら師匠いるから判るけどさ、百里は用無いよね? 飛べないし。

「じゃ、理沙さんに伝えとくね」

 って、伝えるのかよっ!


「クリスマスかぁ……やっぱりこの手のイベントの日は……魔物出るよねぇ」

 響はもう達観している。

「出ますわねぇ」

 うさやも達観している。

「大丈夫っ。あたしがみんなの分も祈っておくから、無難に終わるよっ」

 セトルリがフラグを立てる。

「水温下がってきてるし、水門からディープに落ちるチャネル沿いを丁寧に拾っていきたいかな?」

 おみさんや、一人だけ違うジャンルのお話するのやめてくれません?


「クリスマスは百里でパーティするといたしまして……」

 をい、それで良いのか? あそこ遊び場違うぞ?

「吉野くんもいらっしゃいます? 歓迎いたしますわよ?」

「そだねー、吉野くんもおいでー」

 うさやと響に呼ばれれば、当然行くさ。と言うか呼ばれなくたって行くさっ。

 想い人とのクリスマスとか、這ってでも行くに決まってるし!

「あ、ああ、喜んで行かせてもらうよ」

「じゃ、誰に当たるかわからないプレゼント交換の品も用意しといてねっ。予算は二千円までで」

 誰に当たるかわからないのか……

 樽木さんへのプレゼントも別に用意しよう……とか色々覚悟を決めている少年を横目に、次の話題に突入していく。

 

「じゃ、初詣どうしましょう。おみは実家戻ってらっしゃいますの?」

「んー、帰るとは思うけど、呼び出されればすぐくるけど」

「ティナとセトルリはすぐ来られますわよね?」

「まぁ、そんなに遠くはないからね。交通の便は良くないけどさ。主に百里が……」

「空港トランスポートのバス乗ればすぐだよ。茨城空港から百里までは滑走路横断させてもらうけど」

 いや、そこ横断しちゃダメだから!

 確かにあそこ飛んできたら一瞬で着くけどさ、滑走路は横断禁止ですっ! せめて外周飛んできてくださいっ。


「初詣……みんなはどこに行くの?」

 吉野くん、たぬきさんと一緒に行きたいのね。まぁ、みんな知ってるし。

 でも、この感じだと二人きりで行くのは難しいかな?

「今年は素鵞(そが)神社にみんなで行ったよ。響とうさやと理沙さんと美智子さんで。今年もその辺じゃないかなぁ?」

「ついでに百里神社も参ろうっ!」

 響さんも参戦してきた。

「じゃ、俺も一緒に行って良いかな……」

「うんうん、吉野くんもおいでー。たぬきにおめかしさせておくからっ」

 響さんの悪ノリが始まりそうだ。

 たぬきのおめかしとか、吉野くんのライフを削りまくるのは間違いないでしょう。

 なんならSAN値もゴリゴリ削るんじゃないかな?


 もっとも、たぬきの着る物は全部聖一叔父さんが用意するんだとは思うけど。


「今年はたぬきのメイク、どんなふうに仕上げようかな」

 うさやさんも楽しそうな顔をしている。

「じゃ、わたしもその日はこっちもどるよ。どうする? 二日参りしちゃおうか?」

 おみさんも来てくれるらしい。

「良いねー、二日参り。なら大晦日の基地待機からぶっ通しで行っちゃお」

 響さん、やる気満々。

 まぁ、夜中に戻ってきても、うさやんちに転がり込めば全員泊まれるし!

 あ、その時は吉野くんは流石に自宅に帰ってね。


 ところで……セトルリさんの英語の試験は大丈夫だったよね?


 今回、セトルリさんは学年八位まで順位を落としていた。

 まぁ、普通科の秀才達が中間の結果を受けて、必死に勉強したと言うのも理由ではあったが。


 あと、吉野くんは二十位以上、落としたらしい……ご褒美無しでも頑張れよ、吉野くんっ!

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