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文化祭準備

 中央高校の文化祭は、例年ならば一学期の間に行われていた。

 しかし今年は魔法学科新設に伴い、様々な問題点が噴出、十月までずれ込んできてしまっていた。


「それでは、六組でも文化祭に何かやりたいと思いますっ」

 ぱちぱちぱちぱちと、六人分の拍手が響く。

 教壇に立つのは委員長こと、直美さん……おみ。

『ですから委員長では無いとあれほど……』

 はいはい。


 と言うわけで考える。

 まず、出動がかかったらどうしよう……ならば誰もいなくてもなんとかなる展示物系?

 でも、魔法学科の展示物って、何を置けば良いの? インストール用の二次元コードでも並べとく?


 そんな超絶機密物置いとくんじゃねぇっ!

 それがネットにでも流れたら、世界中が大混乱に陥るわっ!


「一般の人には、魔法使いってどんなもんなのか、まだまだ知られてないと思うんだよね」

 一番魔法使い歴の浅いセトルリが、話し始めた。ついこの間まで一般生徒だっただけに、説得力がある。

「だからって、魔法使いがどんなものなのか説明するために、ステータス・オープン魔法を強制インストールしちゃうのはどうかと思うの」

 響の目をじっと見て言う。

 セトルリは魔法使いの説明で楽をしようとした響に、マジックオペレーティングシステムを強制インストールされて、魔法使いになってしまった過去がある。

 

 あ、響が目を逸らした。

 

「だから、写真や動画、そのほかのデータをまとめて、魔法使いの紹介をできたらいいなって」

 セトルリほんと良い娘や。

 どこぞの暴走娘とは大違い?

 いや、響に悪気は無いんだよ、悪気は。ただこう、良い事ダメなことの閾値がおかしいだけでさ。


「となると、戦闘シーンの動画とかも必要かなぁ? レールガンで頭が破裂して、噴水みたいに血が吹き出すオークとか、ちょっとモザイクかけないとダメな気がするけど……」

 司会のおみがそんなことを言い始めるけど……それはダメだ。少なくとも高校の文化祭で展示するものじゃないわ。


「ビデオは飛行魔法とか、ターゲットに向かってのファイヤーボールとかで良いんじゃない?」

 尚……ティナが至って真っ当な案を出してくる。

「あ、展示物として、レールガン用の弾とかも並べとく? なんなら響専用の12.7cmの奴とかも?」

 あのでかい奴はダメだろ。戦艦大和の主砲並の威力あるんだぞ、あれ……


「あ、ならなら、カッパの剥製とか作って置いとく? みんな魔物見た事ないでしょ。で、百里と言えば河童だしっ!」

 響さんがまた無茶な事言い始めました。多分それ政府の許可が降りないんじゃないかなぁ?


 そういえば、うさやさんとたぬきさんが静かです。何か企んでる?

「めぐみさんにお願いして、聖女の等身大ポップとか展示したら、沢山人来ないかな?」

 うわ、もうすぐ身内になるからって、エグい事考えてるし……

「なんなら聖一叔父さんのお尻貸すし」

 いらんわっ! そんなもんっ!


「では、わたくしは響の出動回数や出動時間のデータを集めて、グラフでも作ってきますわね。今までに飛んだ距離とか、討伐にかかる平均時間とか、調べられる限りのデータを集めてみますわ」

 うさやさん、あなたが良心かっ!

 あ、セトルリも良心だね。


「じゃ、まとめるよ。響はセトルリとティナ連れてビデオと写真撮ってきてくれるかな? 習志野で協力頼めば、みんな手伝ってくれると思うし」

 あー、習志野の空挺ボーイズとか、張り切ってくれそう。

「うさやはデータ収集とポスター制作お願いね。手書きする? 印刷しちゃう?」

「印刷しちゃいますわ。父の事務所にA0印刷機ございますし」

「じゃ、お願いするね。たぬきは聖女様の御威光をできる限る得られるように頼むわ。ポップにするときはうさやんちの印刷機借りれば、簡単に綺麗にできそうかな?」

「そだね。ついでにうさやの資料用のイラスト作成なんかもやっちゃうよ。描く方は任せて! なんなら漫画にするからっ」

「お尻は描かなくていいからね?」

「…………」

「描かなくて良いからね?」

 

 決まり始めればサクサク決まる。

 響は尚子改めティナとセトルリ……ラピスラズリ……セトルリでいいや……ちなとセトルリを連れて習志野へ。なんなら演武とか撮ってくると楽しいかもよ? 早回しにしか見えないかもしれないけど……

 うさやはまずは担当官捕まえて、データ漁らせてもらってくると。もしかしたら麻紀さんの方が詳しい資料持ってるかもしれないので、その時は響にも手伝ってもらおう。

 たぬきはおうち帰ってめぐみさんに協力を頼むと。

 まぁ、たぬきがお願いすれば、まず間違いなく協力してくれるだろう。聖一叔父さんも全力で手伝ってくれそうだし。

 

「あ、そういえば……おみは何するの?」

 響が何か気付いたらしい。

「ん? わたし? わたしはね、ほら、秋の荒喰いシーズンが来たから湖に……」

「待てゴルァっ!」


 全然委員長らしくなかったっ! 見た目詐欺っ!

『だから、最初から違います、委員長じゃありませんって言い続けていましたけど何か?』

 確かにそう言ってたけどっ! 夢ぐらい見させてくれたっていいじゃんっ!

『ナレーションの夢を叶える必要性が認められません。湖行くのでそこをどいてください』

「って、行かすかー! じゃ、おみはうさやと百里でデータ処理ね。どうせ住み込んでるんだから一晩中でも大丈夫だよっ」


 悪代官も捕まったと言う事で、いよいよ文化祭です。

 文化祭の準備って、面倒ですけどワクワクしますよね。


 あと、絶対予定通りには進捗しない……


 それでは、またお会いいたしましょう。

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