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Unlimited Fight  作者: マコト
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デート<格ゲー

 週末、かねての予定通り真白(ましろ)と新宿に来ていた。


「さて、先輩どうしようか?」


「まずはパンケーキだな。瑠璃においしいとこ聞いているから」


 地下鉄の駅からエレベーターを乗り継ぎ、地上を目指す。都会の駅ともなるとどこもエレベーターがついており、駅員さんも車いすの対応に慣れているので非常に助かる。


 地上に出ると、四月下旬とは思えない陽気が降り注いでいた。もうすぐゴールデンウイーク。そして、大会も近い。まあ、でも今日はいったん格ゲーのことは忘れて、真白に目いっぱい楽しんでもらおう。


「ふわあぁぁーおっきいぃー!」


 新宿で人気のパンケーキ(瑠璃調べ)を前に、歓喜の声を上げる真白。さっそくドバドバとメープルシロップをかけてほおばっている。


「そんなに焦って食べなくていいぞ。時間はまだまだあるかな」


「んぐんぐんぐ……。そうだけど、先輩も食べないとアイス溶けるよ?」


「すごいボリュームだよな、これ」


 真白の言う通りどでかいパンケーキが三枚。その上にクリームとアイスがのり、周囲にはフルーツがこれでもかっていうくらいもりもりでトッピングされている。男の僕でも食べた後胸焼けをおこしそうなんだけど、周囲のテーブルでは女性が平気な顔で平らげているのだから驚くばかりだ。


「ま、今日は僕じゃなくて真白へのご褒美なんだから、真白が満足してくれたらそれでいいさ。今日は僕のおごりだから遠慮なく食べてくれ」


「えっ、そんなの悪いよ! わたしも出すもん!」


「いや、でもだな……」


「わかった、瑠璃に言われたんでしょ、先輩」


「な、なんのことやら……」


「もう、瑠璃ったら……じゃあ瑠璃を立てるとしても、映画は割り勘でお願い、先輩」


「助かるよ。そういえば、映画何見る?」


「今ってどんなのやってるの?」


「恋愛とミステリーとホラーとアクションかな?」


「ほ、ホラーはちょっと……」


「ははっ、苦手なんだな」


「むぅーいいじゃない。あ、アクションがいい!」


 アクションか……。真白のことだからキャラ制作の参考にーとか言いそうだな。


「キャラ制作の参考にしたいの! ほら、黄瀬(きせ)先輩の考えた技作ってはみたけどちょっとモーションがいまいちだったじゃない? もうちょっとスムーズっていうかなめらかに動いた方が、技を打った時に相手も(ひる)むと思うんだよね」


「もしかしたらと思ったけど、完成したばかりなのにもう修正案考えてるのは、やっぱ真白だよな」


「ごめんなさい、ちょっと変だよね?」


「いや、らしくていいと思う」


「そう……かな?」


 ほっと安心したように、ふたたびパンケーキを食べ始める真白。


「ほんと真白にとって、キャラ制作ってもうライフワークって感じだよな」


「うん、事故に遭ってからはこればっかりやってたからね。たまたまネットの広告で見たんだけど、家のパソコンで出来るし、ツールだけなら無料って書いてあったから」


「その時広告を出してくれたことに感謝だな。そうじゃなきゃ僕ら出会ってなかったし」


「ほんとね。広告、ぐっじょぶ!」


「それにきっかけを与えてくれたケン兄にも感謝だな」


「やっぱり先輩にとって、蒼梅(あおうめ)さんは特別な存在なんだね」


「うん、僕……いや、僕と鈴羽にとってはヒーローだったよ」


 それから僕は昔ケン兄がゲーセンで行った武勇伝の話をいくつか話した。格ゲーで50人抜きした話やクレーンゲームの景品を全て取った話、鈴羽に絡んできた不良を追っ払った話など。退屈かな……と思ったけど、真白は熱心に耳を傾けてくれたからついつい話し込んでしまった。


「でも、先輩の話を聞くとやっぱりおかしいと思うのよね」


 一通り話を聞き終えると、真白はそんなことを言った。


「おかしいって?」


「そんなヒーローだった蒼梅さんの戦い方を否定するようなことを言った鈴羽さんが」


「そう、だね……」


 僕もそれは思った。たとえケン兄が負けたからといって、そう簡単に鈴羽が戦い方を変えるとは思えないのだ。


「だから、きっと鈴羽さんには何か負けたく無い理由があるんじゃないかって思うんだよね」


「負けたくない理由、か」


 何だろう、鈴羽がどうしても負けたくない理由。昔の鈴羽との距離感だったなら見当がついたかもしれないけれど、今の僕と鈴羽はあまりにも心の距離が開きすぎている。


「つらいね、先輩」


「え?」


「それだけ仲が良かった人と上手く話せないのって、とても辛いことだと思うの」


「うん」


「きっと鈴羽さんも戸惑っているんだと思うの。だから先輩、鈴羽さんの心を開いてあげて」


「どうすれば鈴羽は心を開いてくれるかな?」


「先輩と鈴羽さんの絆はやっぱり格ゲーにあると思うの。だから、鈴羽さんと戦って全力で向き合う」


「そうか、そうだよな」


「うん、だから今度の大会、絶対勝ち上がって鈴羽さんと戦って、先輩!」


「分かった。約束するよ、真白」


 今度の大会、絶対鈴羽と当たるまでは負けない。そして、全身全霊をもって鈴羽と戦う。


「わたしもそのために全力でサポートする。さ、そろそろ映画にいきましょ先輩。モーションの研究をしてもっとJOKERmk2を強化しなきゃ」


「おう! ってごめん急いで食べる」


「先輩、はやくはやく! いつものスピード戦闘みたいに!」


 その後パンケーキを高速で平らげ、アクション映画を見つつあーだこーだと言いながら二人でモーションについて話した。帰りはなんだかんだでゲーセンにも寄ったし、僕らは結局格ゲーから離れられないんだなぁと実感した一日になってしまった。

話が進むにつれて地の文が行方不明になっている気が……

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