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Unlimited Fight  作者: マコト
23/38

第一回キャラ制作会議 後編

「どうしたの、二人とも?」


「だって先輩、必殺技よ、必殺技!」


「そうだぜ、必殺技だぞ、必殺技! ロマンじゃねぇか」


 うん、まあ言いたいことは分かるんだけど……


「えっ、必殺技?」


 瑠璃(るり)がポカンとした表情で真白(ましろ)修治(しゅうじ)を見つめている。まあ普段格ゲーやらない人からしたら必殺技と言われてもそこまでテンションが上がるものでもないのだろう。


「技……というか、必殺技を真白的にはいじりたいわけ?」

「そうね。JOKERは『落葉(らくよう)』に全力を注いで作ったわけだけど、せっかく何種類も技を作れるんだから、新しいキャラは新技もりもりでいきたいわ!」


「さっすが真白ちゃんわかってるぅ! 史人(ふみと)、俺もそれが良いと思うぜ!」


 変なところで気が合ってるなぁ、真白と修治。あんがい修治もプレイヤーじゃなくてクリエイターの方が向いてるのかもしれない。


「確かに新技もりもりの方が大会で勝ち上がっていくためには有利なんだけどな」


「どうして、兄さん?」


「この前Kurobaneと戦った時も思ったんだけど、やっぱりオリジナルキャラの技には反応が遅れるんだよ。もちろん大会のルールだと二週間前までに作ったキャラをアップロードして、他のプレイヤーもどんなキャラか分析できる期間が設けられてるんだけど、デフォルトで入っている12体よりはやっぱり対応しづらい部分もあると思うんだ」


「えーっと、今登録されてるオリジナルキャラが32体だっけ? それだけでも結構な数だね」


「そうだけど、真白みたいに技までがっつりいじってるキャラもそこまで多くないから、オリジナル技ばかりのキャラを作ると結構な強みになると思うんだ」


「ふんふん」


 まあそれをやると真白の負担がかなり増えてしまうわけなんだけど、


「あんまり無理はするなよ……って聞いてる、真白?」


「え、聞いてるよー。って違うって黄瀬(きせ)先輩! そこはもっとこう、こうの方がカッコよくない?」

「えーそうかぁ? こうで、こう! の方がカッコいいだろ?」


 うん、すごい盛り上がってるなぁ。ま、やる気があるのはいいことだけど。


「じゃあ、技は真白と修治による大幅改修がはいるとして、最後にステータスか」


「うっ!」


 僕が言ったとたん、さっきまで元気にはしゃいでいた真白がぴたりと動きを止める。そして、ゆっくりとこちらにふり返ったかと思うと、ものすごい顔で僕を見つめてきた。


「ど、どうした真白?」


「先輩……わたし、キャラ制作の中でどおぉぉぉぉーーしても苦手な箇所が、ひとつだけあるの」


「お、おう」


「どこだかわかる?」


「今の話の流れからいくと……ステータスか?」


「そうっ! それ! ほんっとに苦手なの! 数字とにらめっこしながら理想のバランスまでずっとポチポチし続ける作業が、この上なく苦痛なの!」


「そ、そうか」


 その勢いは鬼気迫るもので、本当に嫌いなんだなぁっていうのがひしひしと伝わってきた。


「正直これさえなければもっとキャラクター出来てたと思うんだけど、これのせいでまだ2体しか完成してないのよねー。案は自体は他にも色々あるんだけど……」


「案自体はあるんだ?」


「うん、とは言っても全部歩夢ベースで考えてるんだけどね」


「じゃあステータスいじりはとりあえず置いといて、真白が今持っているキャラ案をベースにして考えていくってのもありだな」


「先輩がそれでいいならわたしもそれでいいけど」


「そうだな、それが一番いいんじゃねぇか?」


 と修治も賛同してくれる。まあ修治に関しては必殺技に興味がありそうなので、技について真白と一緒に考えてもらうのがいい気がしている。


「私も、兄さんと真白さんがやりやすい形が一番いいと思うよ? 私が手伝えることはすくなそうだけど」


「そうだな……瑠璃は特性について少し調べておいてくれるかな? 今のとこ僕も真白も特性についてはそんなに詳しくないんだ。だから瑠璃にどの特性が大会で勝ち上がっていくのに必要かってのを見極めてほしいんだけど……」


「うん、わかった。とりあえず12個の特性についてと、兄さんたちが作ろうとしてるキャラに合っていて、大会ルールで有利に立ち回れそうな特性を探してみるね」


「悪い、頼んだ。それで真白」


「なんかとてつもなく嫌な予感がするんだけど……」


「えーと、残るはステータスなんだけど、やっぱりここのバランスが一番重要だからここを真白に任せたいんだけど……」


「いやああぁぁやっぱりいいぃぃーーー。先輩、わたしステータスいじりが苦手だっていったじゃないぃー!」


「うん、そうなんだけど、ここばっかりは真白に任せるしか……」


「先輩わたしのこと嫌いなんだあぁぁーーうわああぁぁーーーん!」


「ごめんごめん、真白。僕も一緒にやるから機嫌直してよ?」


「……ほんとに?」


「ほんとほんと。だから頼む。ここは真白にしか任せられないんだ」


「……しょうがないなぁ、先輩は」


 ふぅ、なんとか機嫌を直してくれた。これでようやくキャラ制作を始められるな。


「その代わり先輩、今度またどこかに連れてってね?」


「え、あぁ、それくらいでいいなら」


「ふふ、楽しみにしてる」


「お、放課後デートかぁ? うらやましいねぇ」


「兄さん、デートならちゃんとエスコートしなきゃダメだよ」


「だからデートじゃないって!」


 修治と瑠璃に冷やかされながらも、さて今度は真白をどこに連れて行こうかと考えるのだった。

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