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Unlimited Fight  作者: マコト
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違和感

 翌日から本格的に新キャラの制作が始まった。


 修治(しゅうじ)瑠璃(るり)にはそれぞれ新技のデザイン案と特性の調査を任せ、僕は真白(ましろ)と二人でステータスの調整に当たっている。


「で、今のAttack(攻撃)値とAgility(敏捷(びんしょう))値は70にしてあるんだけど、ギリギリ戦いになるレベルで他のステータスを下げるとしても、割り振れるのは限界が74くらいになると思うんだ」


「さすがに防御はこれ以上削れないか」


「これ以上削ると1コンボでK.O.まで持っていかれると思う。さすがに先輩でもそれはきついでしょ?」


「そうだなぁ……」


 さすがに1コンボで終了はバランス的にも厳しい。ならこの辺りが限界……かな?


「よし、じゃあこれでひとまず動かしてみるか」


「うん、じゃあAIモードにするね」


 真白がAIモードに切り替えると、キャラが自動で動き始める。対戦相手はもちろんマリアだ。


「うーん、悪くはないけど、ちょっと押されてるかな……」


「両方ともAIレベル最高でこれか……ほかのステータスを下げた影響も結構出てるわね」


「審査に通すことも考えないといけないし、やっぱり難しいな」


「ちょっと休憩にする、先輩?」


「そうだな、真白も疲れただろ。飲み物買ってくるよ」


「ありがと、先輩♪」


 コンピューター室を出ると体育館下にある自販機を目指す。その間もさっきAIで動かしていた新キャラの動きが頭の中で再生される。確かに悪くはなかった。けど、どこか違和感を覚えたのも事実だった。


 火力、スピードはJOKERより上がっている。なのにAIで動かしたときにはJOKERより苦戦を強いられている。もちろん他のステータスをいじっている分の変化は出ているんだろうけど。


「今のバランスの方がいいのかなぁ……」


 ただ真白は僕が望む形のバランスでキャラをいじってくれている。そして新キャラも理想的なステータスに近づいてきている。なのに今更小さな違和感程度で作業を止めていてはダメだろう。


「やっぱ気にしすぎか」


 自販機でみんなの分の飲み物を確保し、部室へ戻る。


「おかえりー。ん、先輩どうしたの、難しい顔して?」


「いや、なんでもないよ。それよりもう一回さっきのキャラ動かしてもらっていいかな」


「うん、オッケー」


 とりあえず、まずはキャラを完成させないと、練習もできない。ステータスいじりも真白の負担になってるだろうし、できるだけ早く終わらせたい。そういう気持ちだけが募っていった。


 そして、一週間後――


「ひとまず内側は完成ー!」


 ステータスをいじり終えた新キャラが完成した。ちなみに特性と必殺技はステータスいじりが終わるまでは確定しない方がいいだろうということで、候補だけ決めておいてまだ未実装だ。だから内側だけ完成ということなんだけれど……。


「いやぁー今回は結構苦労したよー。でも、先輩が隣にいて意見聞きながらできたし、いつもよりは満足のいく出来栄えにはなったかな?」


 真白も完成させた達成感とステータスいじりからの解放感で清々しい表情をしている。


「お疲れ真白、無理言って悪かったな」


「ふふ、先輩とのお出かけのために頑張ったよ! あとは黄瀬(きせ)先輩考案の必殺技を組み込んでいくだけだね」


「今のステータスなら相性も悪くないし、組み込むのもそこまで苦労しなさそうだもんな。ほんと真白に頼りっきりになるけど、あとちょっと頼んだ」


「ん、任されました」


「あと、しばらく根詰めてたし、帰りにゲーセンでもどうだ?」


「うん、行く行く。リュウさんにも久しぶりに会いたいしね」


「多分この時間ならリュウ兄もいると思うし、今から行くか。修治と瑠璃も来るよな?」


「おう!」


「うん!」


 何気にe-Sports部が全員そろってゲーセンに行くのは初めてかもしれない。



「おう、お前ら。今日は団体だな」


 ゲーセンに行くとリュウ兄がいつもの台でUFをプレイしていた。今日は幸いにもリュウ兄以外の客はおらず、三台空いている状態だった。本当にここは穴場だな。地図にすらのってないんじゃないかと錯覚するくらい人がいない。


「ケンから聞いたぜ。史人(ふみと)、大会に出るんだって?」


「うん、まあ」


「しかもKurobaneが鈴羽(すずは)ちゃんだって聞いた時にはぶったまげたぜ。確かにケンの愛弟子だし素養はあったけどよ、あそこまで強くなってるとは思わなかった、マジで」


「僕も驚いたよ」


 とりあえず真白と瑠璃には台に座ってもらって、残りの一台をどうするか考える。


「修治やる? ストーリーモードそろそろもう一回挑戦してみない?」


「気持ちは有り難いけどよ、史人も大会でるんだかた、練習しといた方がいいんじゃねぇか?」


「うっ……」


 確かに。まだキャラは完全に完成してないからゲーセンでは使えないが、だからと言って練習しないのもまずいだろう。JOKERを使ってでもオンライン対戦に潜っていた方が良いのかもしれない。


「じゃあお言葉に甘えて」


 最後の一台を修治から譲り受け、さっそくオンライン対戦に潜る。そこから数戦こなしたが、やっぱりJOKERは使い易かった。そして、新しいキャラはどれほど使い易いんだろうかと期待を抱かずにはいられなかった。

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