第一回キャラ制作会議 前編
「えーでは、e-Sports部第一回キャラ制作会議を始めようと思います」
僕の開始宣言に、やけにまばらなパチパチという拍手の音が聞こえてくる。当たり前だ。会議と言っても僕以外に3人しかいないんだし。しかも結構広いコンピューター室でやっているもんだから、よけいに空しい感じがアップしている。
「ぷっ、くく……」
ちなみにこの会議を主催した当の本人は僕の隣で必死に笑いをこらえている。
「笑うことないだろう、真白」
「……ごめんなさい、だって、あまりに、なんか、しょぼかったから……」
「しょぼい言うな!」
こんなアホなやり取りの発端は部活が始まってすぐのことである。
先日LimiCuに行って大会に出ることになったことと、大会出場用のキャラを作ることを話したら、じゃあせっかくだから会議をしましょうと真白がいい、修治が会議をやるなら円卓会議みたいに格好良くやりたいってことでこんな茶番となってしまったのだ。
「おほん! えーいいかしら?」
真白がわざとらしく咳払いをし、再び場を仕切り直す。
「大会用のキャラを作るにあたって、わたし一人で作ってるとどうしても偏っちゃう部分もあると思うんだ。そこで先輩……あ、史人先輩のほうね。の意見を聞きながら、調整したキャラをみんなに見てもらって粗をつぶしていこうとおもうんだけど」
「なるほどな。つまり俺と瑠璃ちゃんに求められているのは素人の意見か」
真白の言葉を聞いて修治が納得したようにうなづく。
「素人の意見?」
しかし瑠璃はまだピンときていないようなので、僕が補足をする。
「作ってる真白や、作ってもらってる僕では気付かない、第三者的な意見が欲しいってことかな。漠然とした疑問とかでもいいんだ。そこに落とし穴がある場合もあるから」
「あ、そういうことか」
瑠璃も合点がいったようなので、会議を進めることにする。
「出るからにはやっぱり優勝を目指したいと思う。その中でKurobane――鈴羽と戦って勝ちたいとは思ってる」
「でもよーまさか史人の幼なじみがKurobaneだったとはな。ライバルが幼なじみってのも、少年漫画っぽいよな。あ、でも女の子なんだっけ」
「それに、兄さんがゲーム会社の社長さんと知り合いだったなんて、私も全然知らなかったよ」
「その辺りは黙っててごめん……」
「ま、こうして教えてくれたんだし気にしてねぇって。で、マリア使いなんだっけ、その子」
「うん、とりあえず僕と対戦した時の動画があるから、それを見て欲しいんだ」
LimiCu公式に上がっている動画を修治と瑠璃に見てもらう。二人はしばらく食い入るようにみていたが、やがて動画が終了すると修治が口を開いた。
「新しいキャラを作るって話だったけど、やっぱりキャラの素体は歩夢にするのか?」
「今の段階ではまだなんとも言えないけど、歩夢も使い慣れてるからなぁ」
「あとは高火力高スピードのキャラで言うと『ガゼル』とかか」
修治の言うガゼルは獣人キャラで、もちろん候補には挙がるんだけど――
「ガゼルは動きが直線的すぎる部分もあるんだよな」
「そうね。わたしもキャラ作るときにどうしてもそこが気になって、結局歩夢にしちゃった」
僕の言葉に、真白も似たような意見をかぶせてくる。やはり僕と真白の感性はかなり似通っているみたいだ。
「じゃあ素体は歩夢のままでいく可能性が高い感じか。瑠璃ちゃんはなんか気になることある?」
「えっと、じゃあサイズかな? 大きさは今と変えるの?」
修治のフリに今度は瑠璃が疑問を投げてくる。
「そうだな。JOKERのサイズはMだったけど、これをSかLにするっていうのもアリかな、真白?」
「うーん、アリだとは思うけどどっちかに寄せると火力かスピードが下がっちゃうんだよね。先輩がスピードと火力を両立させたいなら、現状のMのままでいった方がいいかもしれない」
「となると、残りは特性、ステータス、技かぁ」
どうしよう、会議を始めたはいいけど結構現状のままでいきそうな感じがしてきた。そういえば会議は始まる前から結論が決まっているって、どこかの偉い人の言葉であったような。まあ現状を改めて確認するという意味では、必要なのかもしれないし。
「次、特性ね。先輩はどう思う?」
「一長一短あるけど、これも考える必要があるかなぁ」
現状の『殺人鬼の目覚め』は3ラウンド前提の特性だ。大会を勝ち上がっていくことを考えると、1,2ランドでも効果を発揮できる方が勝率も上がるだろう。
「そうね。どれにするかはともかく、ここは変更する可能性もありってことで置いときましょう。とりあえず、今は5要素で変える必要があるところを全部洗っていきましょう」
「じゃあ次は技だな」
僕がそう言った、まさにその時だった。
「きたわね!」
「きたか!」
真白と修治がやけに食いついてきたのは。
日常回の上手い書き方をどなたか教えてください……( ;∀;)




