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Unlimited Fight  作者: マコト
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予感

「という訳で、週末にRimiCu(リミカ)に行くことになった」


「マジかよ! ていうか、Kurobaneとやりあったのか。すげぇな……」


 水曜日、正式に学校から部活としての認可が下りたので、部室であるコンピューター室でLimiCuからきたメッセージのことを話す。瑠璃(るり)修治(しゅうじ)に話すのは今日が初めてになる。


「すごいかどうかはさておいて、いきなりって感じはあったけどな。でも、せっかくの機会なんで真白(ましろ)と相談して一緒に行くことにした」


 修治に答えつつも、僕は備品のPCにUFのキャラ制作ツールをインストールしていく。


「でもまさかゲリラマッチングが発生してたとはな。どうせなら俺と一緒に行ったときにやってくれても良かったのによー」


「修治と行ったときだったら、1ラウンドも取れてなかったよ、多分」


 あの日は初めてゲーセンでUFを触ったのだ。そんな状態であのKurobaneから1ラウンド取れるとは思えない。


「ちぇっ、そっかー」


「そうすねるなって。真白、こっちは終わったぞー」


 修治をなだめつつ、瑠璃と一緒にインストールを行っていた真白に声をかける。


「こっちも終わったよ。これで一応準備は整ったね」


「兄さん、私の分もインストール? してもらったんだけど大丈夫かな。私パソコンとかゲームあまり詳しくないんだけど……」


 真白には瑠璃の分もセットアップをしてもらったんだけど、うちの妹さまはどこか不安そうだった。瑠璃も一応ゲームはやるけど、RPGとかどちらかというとストーリーがあるものがほとんどだしな。


「まあUFにもストーリーはあるし、瑠璃に合わないこともないと思うんだ」


「とりあえず、この人たちは何で戦ってるのかな……?」


 やはりそこか。格闘ゲームでよく突っ込まれる「そもそも何故戦っているのか?」。この部分は大体のゲームでストーリーモードをやれば答えは出るところなんだけど、格ゲーをやらない人からしてみれば「こいつらは一体何のために戦っているんだ?」という疑問を持つのが普通なのかもしれない。


「はい、そこで先輩から簡潔明瞭なUFストーリー解説!」


 しゅばっという感じで真白から指名を受ける。ストーリーを簡潔に。正直いって現国の成績はそこまで良くないんだけど。いつ、どこで、だれが、なにをくらい分かりやすく説明しといた方が良いかもしれない。


「えっとだな、時代は現代……いや、キャラによって違うか。どこで……これもキャラによって……あーもうわからん、真白パス!」


「えぇーしょうがないなぁ、もう。えっとね、瑠璃。UFのキャラはみんな悪夢を見てるんだよ。で、開放されるためには悪夢を創り出している存在を倒さないといけないっていう助言を受けて、同じ悪夢の中にいる人たちと戦い続けているんだよ」


「うーん、なんとなくわかったような?」


 一年輩に説明力で圧倒的に敗北する高校二年。もうちょい現国勉強しないとなぁ……。


「まあ、こういっちゃなんだけど、格ゲーのストーリーはオマケみたいな扱いを受けることもおおいしな。こまけぇことはいいんだよ! 俺より強いヤツに会いに行く! って感じのノリだし」


 修治がもっともらしいことを言いながらウンウンと頷く。だけどあながち間違ってもいないんだな、これが。


「で、今日は瑠璃と先輩……黄瀬(きせ)先輩のキャラを作っていくわけ」


「よろしくな、真白ちゃん」


「お願いします、真白さん」


 先生役はもちろん真白だ。ちなみに僕はその間に真白に新しく作ってもらう予定のキャラの性能を考案することになっている。もちろん目標は高くKurobaneの撃破だ。一筋縄ではいかないのは分かっているが、この前の戦いでどこが問題だったのかを洗い出す必要がある。


 幸いと言っていいのは、ゲリラマッチングの対戦動画は公式サイトから動画がアップされている。これを見ながらプレイの癖などを見つけることが出来ればいいんだけど。


 再生ボタンを押すと先日の対戦が最初から再生される。


 1ラウンド目。『鋼鉄の乙女(アイアンメイデン)』の特性が遺憾なく発揮されたラウンド。かなりスピードよりにデザインされたJOKERでも、Kurobaneはほぼ誤差の範囲で対応してきた。新しくキャラメイクするならスピードをもっと上げることで誤差を明確な遅れに出来るかというのが一つの案としてある。


 同時に、例えスピードをもっと上げたとしてもあらかじめそういうスピードだと知っていればKurobaneなら対応してくるのじゃないだろうかという予感もあった。だからこの辺りは真白と相談してどこを伸ばしていくかが、Kurobaneとの再戦を考える上で必要になってくるだろう。


 そして第二、第三ラウンド。問題はここからだ。


 僕はこの部分を何度も何度も動画で見直していく。


 あの時、第二ラウンドで手に取るように相手の行動が分かるようになったこと。そして、第三ラウンドでこちらの手の内を全て読まれているような感覚に陥ったこと。その原因を探るべく、何度も何度も再生して確認する。


 戦っている最中はまったく気付かなかった。だけど僕はこの戦い方を()()()()()。そして、恐らくだけどKurobaneも僕の戦い方を()()()()()


 そこにケン兄が関わっているかは分からないけど、もし今度LimiCuに行ったときケン兄に会うことがあるならば、直接聞いてみようと心に決めた。もちろん行方が分からない親友のことも含め、だ。

前回ブックマークしてくれた方、有難うございます!

嬉しさで患っていた胃腸炎が治りました。

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