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Unlimited Fight  作者: マコト
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突然の招待

「ふう……」


 親睦会が終わってから真白(ましろ)を最寄り駅まで送ってから部屋に戻り一息つく。PCをつけLimiCu(リミカ)のサイトからキャラ作成ページに遷移する。と、メッセージボックスに新着のアイコンが出ていることに気付いた。


「真白からかな?」


 そう思ってメッセージを開くと、そこには意外な送信者が表示されていた。


『Unlimited Fight運営事務局』


「え……」


 まさかの相手だった。確かにアカウントを作る時に全員運営のアカウントとはフレンド状態になってはいるものの、それが一プレイヤーにメッセージを送ってくるだろうか?


 ただ確かにメッセージ自体は公式のアカウントから送られているので、確認のためにメッセージを開くと、そこにはこう書かれていた。


『Humito 様  いつもご利用いただきありがとうございます。Unlimited Fight運営事務局です。


 はじめに、本メッセージはゲリラマッチングを行われた都内近郊にお住みのユーザー様に対して送信しております。

 このたびは公式プレイヤーKurobaneと対戦して頂き、誠にありがとうございます。

今回のゲリラマッチングにつきまして、Humito様のご都合がよろしければ詳細な戦闘データ取得のため

一度弊社に来ていただくことは可能でしょうか?


 またもし可能でありましたら、本メッセージにご都合の良い日にちと時間帯を返信して頂けますでしょうか? 大変お手数ではございますが、ご確認の程よろしくお願い致します。


 この度は突然のメッセージ、大変失礼致しました。

 今後とも「Unlimited Fight」をよろしくお願いいたします。』


「これは……」


 とりあえずメッセージを保留してLimiCu公式サイトの掲示板を開く。ゲリラマッチングカテゴリのログを漁ると、ゲリラマッチングを行った他のユーザーも同様のメッセージがあったとの報告があった。


「ということは、これは公式からのメッセージでほぼ間違いないか」


 Limicuからまさかのメッセージ。これは真白にも確認した方が良いだろうと思いスマホを取り、今日交換したばかりの真白のスマホにメッセージを送る。


『真白、いま大丈夫?』


 送信して少し経つと、着信音がなり画面を確認すると真白からのものだった。


『わたしもちょうど先輩に連絡しようとしたところ。

 何かUFの運営事務局? からメッセージが来てたんだけど』


 真白の方にもきてたのか。まあ運営ならキャラ作成者のデータも把握してるだろうし。


『僕の方にもきてた。一度会社で戦闘データ取らせてほしいって内容だよね?』


『そうそう。どうしようか、わたしは別に大丈夫なんだけど、これってちゃんとしたメッセージだよね?』


『公式アカウントから送られてるから、ちゃんとしたメッセージではあると思う』


 そこまで送信し、僕は考える。


 LimiCuに行くということは、少ないながらもケン兄に会う可能性があるということだ。まだ僕は全然強くなれていない。それでも、行ってしまっていいものだろうか?


『先輩は大丈夫かな? その、強くなってからって話だったから』


 いけない、真白にも余計な心配をかけてしまっている。そう分かってはいるものの、心の迷いはまだ消せないでいた。


『正直、ちょっと迷ってる……』


『そうだよね……。先輩も色々思うところがあるもんね』


 こちらを気遣ってくれる真白の言葉が、やけに心にしみた。


『でも、わたしは先輩の気持ちを優先するよ。先輩が行きたくないならわたしもいかないし、行くなら一緒に行く』


 その言葉で決心がついた。もう逃げないってそう決めたから、これはいい機会なのかもしれない。


『いや、僕も行くよ。真白はいつ予定が空いてる?』


『平日は部活のこともあるし、今週末……かな?』


『よし、じゃあお互い週末の空いている時間に合わせていこうか』


『うん、了解! ふふ、先輩とのデート楽しみにしてるね』


 ……何だろう、僕はどう返信したらいいのだろうか。真白からするといつもの冗談なんだろうけど、そう分かっていてもちょっと動揺してしまった。


『真白、ひょっとして瑠璃になんか言われた?』


『ばれちゃった。そう言ったら兄さんびっくりするよって、今日の親睦会で言われたの(笑)』


 瑠璃め……年々兄をからかうスキルが上がっている気がする。


『あまり真に受けないように』


『はーい。ごめんね、先輩』


『でも有難う、真白』


『ん、なんで?』


『僕のことを元気づけようと思って、冗談いってくれたんだろ?』


『へへ、ばれたか』


 やっぱりな。だんだんと真白の行動パターンも分かってきた気がする。


『ちょっとお節介だったな?』


『いや、少し気が楽になったよ』


 少なくとも、もう一度ケン兄に会おうと思えるくらいには。そして、僕にとってそれはとてつもなく勇気がいることだ。


『ね、先輩?』


『ん?』


『鈴羽さんのことも、聞けるといいね』


『……そうだな』


 鈴羽――僕の大切な親友。ケン兄が所在を知っているかは分からないが、もし知っていたとしたら、今度はキミに会いに行きたい。そして、謝らせてほしい。あの時の僕の弱さを。

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