第二十一話 妖たちの人気
たくさんのブクマありがとうございます!
お礼の夕方アップです。
「ほお。いいのではないか?」
そう言って、ツルツルと器用にそうめんを啜ったミケが「うむ。これはなかなか」と唸る。
「え、いいの?」
「うむ。以前にそう答えんかったか?」
「んー。聞いた気もする……ような?」
だけど、そのときは俺の絵にそんな効果があるなんて知らなかったし。
「妖の力とか込められてるけど大丈夫なの?」
「お主が直接描いている絵以外には、大して力は籠っておらん」
「あ、そうなんだ」
──それなら売っても問題はないか。
「まぁ、アトリエの方で儲けるつもりもないしなぁ」
そうめんを啜りながらそう呟くと、
「お主は欲がなさすぎてつまらん」とミケが鼻を鳴らした。
「妖で儲けるつもりがないだけだって。本業だったらガツガツ行くよ」
「そんなものか」
「そんなもん」
大して興味がないのかと思いきや「我のグッズはあれがいいな。マグカップとやら」とちゃっかり注文をつけてくる。
それを聞きつけた双子も「ユウはね!ユウはね!」「レイはシールがいいの!」と次々と要望を出してきた。
「はいはい。まずは矢野さんたちに相談してみてからな」
「「やったー!」」と双子はバンザイをし「グッズグッズ!」「有名人!」と騒いでいる。
──こいつらが喜んでくれるなら悪くないな。
このときは、売れたらいいなぁ、くらいにしか本当に思っていなかった。だけど縁というものは恐ろしいもので。何気なく蒔いた種が、思いもよらない形で実を結ぶことがある──ということを、俺は痛感することになる。
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恐ろしいほどとんとん拍子で話が進んだ。
役所の人(ほとんど矢野さん)に話をだすと、あっという間に地元のグッズ制作を行なっている事務所と連携し、グッズを作り上げてしまった。
本当に物凄い勢いだった。
もちろん俺も意見は出したけど「あれだけ開運ご利益があるって口コミがあるのに、お守りを作らないなんてありえません!」と、お守り形のアクリルキーホルダーまで作られてしまう始末で。
「ひえー」
ありえない速度で進むグッズ制作に若干引いていると【試作品出来ました!制作会社からアトリエに郵送してます!】というメールが飛んできた。
「業界ではあり得ないスピード感だな……」
呆然とした次の日。宅配便が届いた。
「お、来たか?」
「来た来た!」
「たのしみー!」
なんだかんだと楽しみにしていた試作品たち。
昨日の晩にみんなへ報告していたためか、珍しく我が家の妖全員が勢揃いしている。
段ボールの蓋を開け、全員で中を覗き込む。「おおー」というどよめきが起きた。
中に詰まっていたのは、アクリルキーホルダー、スマホケース、メモ帳、ステッカー、マグカップ。
こんなに作って大丈夫か?と思ったけど「これでも足りないくらいです!」と鼻息荒く訴えられた。
「凄い。ちゃんとグッズになってる」
「ユウたちかわいいの!」
「レイのシール!」
「ほう。これはなかなか」
満足そうに笑うユウたちに対し「かわいいですね……」「また今度頑張ろう……」と太郎たちが肩を落とした。
「こ、今度!今度作ってくれるように交渉するから!」と慌ててフォローすると「絶対ですよ」とじろりと睨まれた。
そんなに欲しかったなら先に言ってくれよ。
そう思いながらも、太郎たちの絵はあまりアカウントに上げていなかったから俺も反省する。今度からはちゃんと平等にあげよう。特にうちの子達は。
「見事ですねぇ」
一番新入りにも関わらず「ワンちゃんは絶対です!」という矢野さんの強いひと押しでレギュラー入りしてしまった月牙は余裕だ。
「形になるってすごいな」
パシャパシャと写真を撮り、アトリエ妖のアカウントにアップする。
【グッズの試作品が、役所の方々のおかげで形になりました。特産品コーナーで販売予定です】
と写真と共にアップした。事前に「絶対宣伝してくださいね!」と矢野さんから念押しの電話まで来ていた。
「俺もつけよっと」
いつも使っているリュックに双子のキーホルダーをつけると、ミケと月牙にじろりと睨まれた。
「我らは?」
「もちろんつけますよね?」
「も、もちろん。今からつけようと思ってましたよ」
……二人の圧に負けた。
おかげで俺のリュックは、ジャラジャラとキーホルダーだらけになってしまったのであった。
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「なんだよこれー!」
関係各所との調整に俺は奔走していた。俺の、というより妖たちの反響を甘くみすぎていた。
【ネット販売希望です!】
【もちろん受注ですよね?】
【絶対買いに行きます(念)】
というコメントが殺到し、挙句の果ては、隼さんからのメッセージにとどめを刺された。
【今から発注されるようでしたら、アクリルキーホルダーを200個ずつ注文お願いします。ドラマの現場で配ります】
というメッセージ。
流石に無理だろ、と思いながらも矢野さんに連絡を入れると、狂喜乱舞。
「芸能人に伝手があるなんて、早く言ってくださいよー!しかも隼さん!全員に配るなんて、絶対話題になります!テレビで紹介でもされたら、絶対パンクします!製作所を増やさなきゃ!市長にも話を通しておかないと!」
断るなんてとんでもない!と電話の向こうで踊り狂う勢いで怖かった。
矢野さんの後ろからも「テレビ⁉︎チャンスだ!」「これ、広報とかに連絡入れてないとまずくないか?」という騒めきが聞こえてくる。
「どうしてこうなった……?」
一番置いてきぼりをくらっているのは俺である。
本業よりも儲かりそうである。
……いや、儲ける気なんてなかったのに。
もはやこれが本業の方がいい気がする。
これを機にあやかし旋風でも巻き起こすか……?
電話を切ったあと、俺は真剣に思い悩んだ。
そして、それからしばらく経ったある日。
「東京まで会いに来てほしい」という隼さんからの電話を受けた頃には、俺はもう腹を括るしかなくなっていた。
妖たちのグッズ、私が一番欲しいです。
コメントやXのリプで誤字報告頂けている方々ありがとうございます。何回も読み返しているのに気づけてなくてごめんなさい。
ここ、この表現の方が……?なども積極的に取り入れていくスタイルなので、気楽にコメントしてくださいね!
可愛い!癒される!と思っていただけましたら、ブクマや⭐︎を点滅させて貰えたら光栄です。
応援よろしくお願いします。




