表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/24

嫉妬の悪女『マリア』

世界的化粧品メーカー〈マリアンヌ〉の社長にして、美のカリスマ――マリア。

彼女が開発する化粧品や美容技術は世界中で高い評価を受け、多くの女性たちを魅了していた。

中でも長年研究を続ける“若返り技術”は、マリアンヌを象徴する技術として広く知られていた。

本来なら中年と呼ばれる年齢でありながら、マリアの姿はまるで二十代の美女そのものだった。

透明感のある白い肌。艶やかな髪。妖しいほど整った美貌。

マリアは、その全てに絶対の自信を抱いていた。

しかし、その心の奥底には、醜く歪んだ嫉妬が潜んでいた。

自分に匹敵する美貌の女。自分以上に輝く少女。

そんな存在を、マリアは決して許さなかった。

なぜなら、この世で最も美しい存在は、自分一人でなければならないからだ。

気に入らない女を見つけては、裏社会の人間を使い、事故や病死に見せかけて密かに始末してきた。

これまで、何人もの女性が彼女の手によって闇へ葬られてきた。

その犠牲者の中には――ましろの母も含まれていた。

そして今――。

 マリアが次の標的として狙うのは、一人の少女。

 白雪ましろ。

雪のような純白の髪。

見る者を惹きつける整った容姿。

そして、無垢でありながら強い輝きを宿した瞳。

その姿を目にした瞬間、マリアの胸に激しい嫉妬が燃え上がった。

自分より美しい存在など、この世にあってはならない。

白雪ましろは、必ず消す。

どんな手を使ってでも。


 朝。

都心を一望する超高層複合ビル最上階の一室。

 マリアは優雅に朝食を口に運ぶ。

室内は、穏やかな雰囲気に包まれていた。

その時――。

壁のスマートミラーが淡く光る。

マリアは目を留め、問いかけた。

「鏡よ、どうかしたの?」

「はい。マリア様に至急、お伝えしたいことがございます」

「なにかしら?」

「大変申し上げにくいことなのですが……」

「いいから早く言いなさい!」

「かしこまりました。では――」

 一拍置き、スマートミラーはきっぱりと言った。

「『ロイヤルフラッシュ』が、白雪ましろの暗殺に失敗したようです」

「そう……」

 マリアの手が止まる。

数秒の静寂が続く。

「……えっ?」

理解が追いついた瞬間――。

「なんですってぇぇぇぇぇぇっ⁉」

マリアの声が部屋中に響き渡った。

「ありえない……あの『ロイヤルフラッシュ』が、失敗するなんて……!」

 動揺のあまり手が震え、フォークを床へ落とした。

 マリアは乱れた呼吸を整える。

「……それ、本当に確かな情報なの?」

「はい。信用のおける情報網から確認済みです」

 スマートミラーはさらに言葉を続けた。

「さらにもう一つ、白雪ましろにマリア様の存在がバレたようです」

「……は?」

 マリアは言葉を失った。

 スマートミラーは淡々と続ける。

「現在、こちらへ向かって来ています。いかがなさいますか?」

 わずかな沈黙が流れる。

マリアは静かに立ち上がり、窓辺へ歩み寄る。

都心の光景を睨みつけるように見つめ、唇を強く噛み締めた。

「白雪ましろ……!」

 その名を呼ぶだけで、こめかみに青筋が浮かぶ。

絞り出すような声には、抑えきれない怒りと憎悪が滲んでいた。

「……ちょうどいい。ここで迎え撃つわよ」

マリアの口元が吊り上がった。

「私自身の手で始末してあげる」

その瞬間、室内の空気が一変した。

 穏やかだった空間は凍りつき、禍々しい殺意が静かに部屋を満たしていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ