メイ、りさの反応
「だから俺はさ、好意を偶然だって思うようにした。錯覚だって。気の迷いだって。言い訳を並べて目を逸らしていた」
苦笑しながら俺は話す。
「2人の好意には充分すぎるくらい伝わった。でも、ふとよぎるんだ。2人の好意の裏にあいつみたいな顔があるじゃないかって。絶対にないって思っても、勝手に怯えているんだ」
しっかりと2人の方を見ながら俺は言う。
「体の関係も持った以上、偶然だったって、なかったことになんて出来ない。君たちの見せる好意には、俺は目を逸らさないようにしよう……そう思ったんだ。改めて1週間よろしくお願いします」
と、頭を下げた俺に、メイちゃんもりさも「「えっ」」と声を揃えた。
「ここまできて、1週間だけで済む話だと思いますか?」
「えっ?」
「要するにライさんは好きが怖いんじゃなくて、好きの裏に別の顔があるかもしれないって疑いが、怖いってことですよね」
俺は否定できなかった。
メイちゃんは小さく肩をすくめる。
「でも、それって別に珍しい話ではないです。人には誰でも裏の顔はあります」
一瞬、視線が鋭くなる。
「もちろん私だってそうです。ですので、裏がある=嘘、じゃないんです。見せる顔を選ぶのは、生きてる以上当たり前。問題はその裏を『誰に見せるか』でしょう?」
立ち上がったメイちゃんが一歩、距離を詰める。
「私はライさんに選ばれたかったんじゃない。私がライさんを選んだんです。それが偶然でも、きっかけがネットでも」
小さく笑う。
「私は自分の意思で、ここにいます。裏が怖いならもっとあなたにさらけ出します。綺麗なとこだけじゃなくて、執着も、嫉妬も、面倒なとこも」
メイちゃんは優しく笑った。
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次に、りさが口を開いた。
メイと違って、言葉を探すみたいに、少しゆっくり。
「……私は」
ぎゅっと指を握る。
「裏とか、表とか、正直よく分からない私は……人に見せられる顔、あんまり多くない。描いてる時と、ライを目の前にした私は、たぶん同じ」
視線を上げる。
「それでも、嫌われるのは怖いし、見捨てられるのも怖い。ライが怖がってるの、分かる」
りさも一歩、でも確実に近づく。
「でも……裏があるならあるで疑われてもいい。それでもライと一緒にいられるなら、それでいい」
りさは真っ直ぐ俺を見る。
「偶然だって言われる方が、ずっと苦しい。だってそれは私がここにいる理由が、全部消えるから」
小さく、でもはっきり言う。
「私はライが好き。それは、私が選んだこと」
「信じてほしい、とは言わない。でも……否定しないで」
りさの声は震えていた。




