ス、ストーカー?
仕事はつつがなく終了した。
「おぉ、天雷!久しぶり」
「おっす、池村」
同期の池村が話しかけてきた。
池村は営業が好きで、俺と違ってリモートワークでは無い。
大体営業に走り回ってるやつだから、社内で会うのは珍しい。
俺も俺で、リモートワークが基本だから、大分久しぶりに会うことになる。
「何ヶ月ぶりだ?」
「俺はたまに会社に来てるぞ?池村は営業で居ないことが多いだろ?」
「そうだな。でもお前も話は上手いから営業すれば良いじゃん。俺と一緒に回らないか?」
「やだよめんどくさい」
「美味い店知れるぜ」
ちょっと魅力あるが、営業は嫌いだからなぁ。
「営業は面白いぞ?この前なんかなぁ、水辺の森を横切ったんだけど、凄い死亡フラグを見たんだ」
ほぅ?
「どんな感じ?」
「2人の男なんだけどさ、1人はめっちゃイケメンで、もう1人はフツメンなんだけどさ、警察官と追いかけっこしてるんだよ」
おっと、既視感があるぞ。
「それ、身長高かったりしてる?」
「イケメンの方は背が高かったぞ。なんか知ってたりするのか?」
「いや、知らんけど。そして続きは?」
「あ、そうそう。なんか警察に囲まれそうになった時に、フツメンの方が『ここは俺に任せて先に行け!』って言ってイケメンを逃がしてんの!ラノベ以外にそういうこと言う奴いるんだ!って思ったんだよ!!」
やばい。どっちも知ってるやつだ……。
深堀はやめとこう。
「なんであいつら追いかけ回されたんだろうな」
「さぁ?」
「まあいいか。話は変えるけど、営業と営業の合間でさ、星評価がない店探してリピートするとか、新しい場所を探検するのって、結構楽しいぞ?」
なんだその孤独のグル〇は。
「昼飯の流儀に憧れてんだよ」
「ほぅ、ご〇うさん?」
「ちゃう、ヒ〇シの方」
「なんで本家じゃねえんだよ」
「一人で飯食い行くなら誰でも実況したくなるだろ?」
それは人によるんじゃないのか???
俺は違うぞ。
そんなんするのお前か作者くらいだろ。
「どうだ?久しぶりに飯食い行かないか?最近美味い店見つけたんだよ」
確かに魅力的な提案だが、今家に2人居るんだよなぁ。
「ありがたい提案なんだが、また今度で良いか?」
「良いぜ。飯屋は逃げねぇからな」
歩きながら会話してたが、会社から出ると池村が何かに気付いた様子だ。
「めっちゃ可愛い子いるんだけど」
「は?」
メイちゃんでした。
HAHAHA、そんな馬鹿な。
そう思ってもう1回同じ方を見ました。
メイちゃんでした。
「あ、ライさーん!!」
「えっ……!?!?天雷の知り合いか???いや、この反応……まさか彼女か!?!?」
「妻です」
間髪入れずにメイちゃんが答えると、池村はめっちゃ動揺した。
「!!!!???お前いつの間に結婚してたの??」
「断じて違う!!じゃあ俺は行くから!」
「いやいやいや、説明クレメンス!!!」
「また今度な。仕事頑張れよ」
池村に捕まると根掘り葉掘り聞かれてめんどくさい。
まさかメイちゃんが会社に来てるなんて思わなかったし。
「メイちゃんもなんでいるの?」
「えっ……来たらダメ……でしたか?」
「監視アプリとか消したよね?」
「出社の時に後ろから付いてきただけなのでセーフです」
どこがセーフなの!?!?
「さ、夕食を一緒に買いに行きましょう!」
「……今度から俺が出社する時に入口で待つのは止めてな。心臓に悪いから」
「はい♡」
出来れば彼女達が帰るまではリモートワークになってほしいと思う俺だった。




