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第68部分

「さて、盗賊退治に向かうとしよう。今日は出来るだけ殺さずに、情報を集めたい。」

「了解です。」

「クララとオクタビアは実戦経験が無い。なので、馬車の警護といった退屈な任務が中心になるが、宜しく頼む。」

「はい、ありがとうございます」


馬車でルーシル村を出て南西方向へと足を進める。

遠くに山が見えるだけの風景だが、この先に問題の拠点があるのだろうか。

「リーダー、煙が見えます。」

クリスの報告の方角に、確かに煙が上がっているのが見えた。

馬車を近くの岩陰に停車し、作戦を話し合う。


「相手の戦力が分からないね。まずは偵察からだ。」

「今までの流れからすると、盗賊達は寝ている時間よね」

「でも煙が上がっているということは、何かを燃やした後か、料理しているかだ」

「じゃあクリスと私の2人で偵察に行かせて頂戴。クリスの邪魔はしないけど、いざという時は突撃してクリスを守るわ。」

「うん、じゃあその方向で頼む。山沿いに木が生えてる箇所があるので、あそこに身を隠して進んでくれ」

「了解」


2人が出発して一時間程度だろうか。クララとオクタビア、リンマの4人で鍛冶のことをあれこれ話していた。話の中心は武器の作り方。2人は目を輝かせて鍛冶の楽しさを説明してくれる。愛用するエストックは、昔の顧客で愛用している人が居たそうで、エストックばかり触ることが多く、いつの間にかその扱いに慣れたそうだ。そんなこともあるもんなんだ、と関心していると、シャルとクリスの2人が戻ってきた。ただし、オマケ付きだ。


ぐるぐる巻きにされ連れて来られたのは女の盗賊らしき人物だった。

猿ぐつわが外され、尋問の開始である。

「状況は分かっているか?」

「早く殺せよ」

「昨日、仲間の一人がフラフラで戻って来なかったか?」

「一人そんなのは居たな」

「正直に話さないから、ゴブリンとお楽しみを味わってもらったんだ」

「えっ???」

「今回は選ばせてやるぞ。ゴブリンがいいか、コボルトがいいか、オークがいいか。殺させはしないけど、同じようにフラフラでここに帰ることになる」

「あんた達は国軍兵士なのか?」

「いや、ただの冒険者だ。」

「私も冒険者になったけど、この国に入る前に聞いていた話と違うからあの一味に参加した」

「聞いてた話とはなんだ?」

「パール王国へ冒険者として行けって話。犯罪歴を消すから、パール王国で冒険者として依頼を受ければ食べていける。ある程度の金は支度金として払うから、国から出ていけばいいと。」

「犯罪歴はなにをしても消せないと聞いているが?」

「そうみたいだね。何人もの仲間がルーシル村に依頼を受けに行ったけど、犯罪歴があるので断られて戻ってきた。私は人殺しをする勇気がないから、あそこに食事当番で残ったの。こちらに来てからは、あそこから動いてない。」

「過去の犯罪歴の内容は何だ?ここで嘘をつけばお楽しみに参加する亜人が1匹増えるぞ?」

「教会の神官から体を触られるので、抵抗したら殴られた。殴られたので殴り返したら傷害と言われて捕まって、犯罪歴を付けられた。」

「それは犯罪ではないだろ?正当防衛だ」

「あの国では王と貴族。そして教会が全て。それ以外は家畜以下なので、普通にある話だよ。」

リンマは信じられないという顔をしているが、汚職の蔓延した国では起こることであろう。

「他に同じ様な罪状でパール王国に来ているのは何人いる?」

「入り口近くで寝てる者がそうだね。私入れて3人。」

「シャル、クリス、残りの2人を連れてきてくれないか?」

「了解。すぐに戻ります。」


2人が確保に向かっている間に、パール王国へ来るまでのこと聞き出す。

思っていた通り、犯罪者を冒険者に偽装して送り出す手口が確立している様だ。

「マナト王国では他国に犯罪者を送り出すことに罰則はないのか?」

「罰則どころか、報奨金が出るらしいです。」

「なんで報奨金??」

「処刑するにも奴隷の手を取られる。他の国に犯罪者を送り出せば、国は安全になるからだって言ってた。」

「他に何か知ってることはあるか?」

「あの洞窟はマナト王国に繋がっている」

「どういうことだ?近くの村でもその情報はなかったが?」

「マナト王国側から掘ったらしい。国境から犯罪者が入れなくなったから、代わりだそうよ。」

「そういうことか。」


話をしていると、シャルとクリスがぐるぐる巻きの女2人を抱えて戻ってきた。

「話してたのはその2人。お願いだから酷いことはしないであげて」

「しっかり話した者にはそれなりの対応を約束する」

猿ぐつわを外して、2人と向き合う。

「中に何人いるか分かるか?」

「正確には分かりません。昨日の夕方に出ていった者もいますので。」

「では一番最後に作った食事は何人分だった?」

「20人くらいです」

「男と女はどっちが多いか分かるか?」

「男は夕方に多く出て行きましたので、恐らく女が多いかと思います」


「どう思う?」

シャルとクリスに問いかける。

「奥から順に処置していけばいいわ。加減して殴れば一時間は動けないから。」

腹パンマイスターのシャルさんは言うことが違います。

「起きてそうな者は先に処置しますので、リーダーは入り口で待機してて下さい。拘束と治癒をお願いします。」

「分かった。その作戦でいこう。洞窟が隣国に繋がっているという話もあるから、洞窟の奥に入る場合は十分気をつけて欲しい。」

「了解しました。」


そして作戦が開始される。先に確保した3人の見張りはクララとオクタビアがするということで、入り口待機はリンマと2人になった。

「終わりました。1人面白い者が居ますので、後でお話を聞こうと思います。」

クリスがそう言って連れてきたのは革鎧だが装備のしっかりした男だ。

入り口に運び出される盗賊達を手分けして縛り上げ、連結していく。

今回は男5人、女15人、面白い人1人であった。


治癒を施し、連結した盗賊たちを馬車の場所まで歩かせる。


「リーダー、この面白い方は任せて頂けないでしょうか?」

クリスが愛用のメイスを手にし、ニッコリと微笑む。

「ああ、構わない。ただ、聞き出すことは多くあるから、慎重に頼む。」

そう返事すると、クリスが猿ぐつわを取り外す。

「お前たち何様のつもりだ!私に……」

威勢は良かったのだが、いきなりのトーンダウンか。

リンマが駆け寄り治癒を施している。

男は岩の近くにある木に縛り付けられて、お話が再開される。

「こんなことをしても絶対に口を……」

「私の家を舐めるな。ナマト王国では有力な……」

なかなか口を割らない。ここは作戦を変える必要があるかもしれない。

「なぁ、軍人さん。治癒術は優秀だと分かっただろ?」

「それがどうした」

「足を何箇所か槍で貫けば、歩くのに不自由すると思う。治癒術も全てが治る訳じゃないから。」

「何が言いたいんだ?」

返事をする前に軽く足にロングスピアを刺して答える。

「今回は治るように綺麗に抜くけど、次は後遺症が残るかもしれないね」

悶絶しているが気にせず治癒を施し話を続ける。

「次は手が滑るかもしれない。槍はあまり得意ではないんだ。」

「何が知りたいんだ?」

「貴方の所属は?」

「マナト王国 国軍の…」

観念したのか素直に話を始める。

「それで、これは一番の疑問だけど、マナト王国はどこからこれだけの犯罪者を集めているの?短期間に送り込む量としては明らかにおかしいよね?」

「それは…」

口ごもると、即座にクリスのメイスが股間にめり込む。

「早く喋らないと、治癒で回復できなくなると思うよ?」

「犯罪者は周辺国から犯罪奴隷を買い集めていると聞いている」

「奴隷の身分では簡単に国境を超えられないはずだけど。」

「国境を超える前に奴隷から解放して身分を与えている。新しい名前で冒険者登録をさせて、任務を受けさせている」

「では犯罪者が国境を超えることができたカラクリは?」

「国境守備兵を買収していたが、警備が強化されて無理になった」

「それでトンネルを掘ってまで、送り込んできたわけだ」

「そうだ」


そして振り返り、20人の盗賊達を見渡す。

見覚えのある女盗賊を見つけ引きずり出す。

「覚えているか?」

「…はい」

「パールダンジョンで何をされたかここの女たちに話してやってくれ。断るなら、また連れていくだけだ。」

「話します。話しますから勘弁してください。」

女盗賊がパールダンジョンで体験したことを克明に説明をする。

「こうやって聞くと、どっちが悪人なのか分からないわね。」

シャルが苦笑しながら話しかけてくる。

「別に好きでやってる訳じゃない。」

こうして心が折れた20人と変な人1人はルーシル村へ移送されることになった。


村長に事情を話し、メーヘン町から応援を寄越してもらう手筈となる。

洞窟の封鎖も必要なので、建設魔法使いもお願いする。


「さて、応援が来るまで洞窟は封鎖しないといけない。行きたくはないが、また洞窟まで行ってお客さんのお出迎えが必要だ。」

そう伝え、夜明けに到着する時間に調整し、村を出発する。


岩陰に馬車を隠し、洞窟へ接近する。

「リーダー、また居ます。どんだけ用意しているんでしょうか?」

「そうか、軍人っぽいのは何人いる?」

「今回は5人居ます。盗賊候補は30人。」

「軍人は問答無用でメイスの刑でいい。残りは犯罪の内容が分からないので、まずは腹パンで制圧して欲しい。」

「分かりました。奥からシャルと制圧しますので、入り口からお願いできますか?」

「ああ、分かった。」

クララとオクタビア、そしてリンマを連れて遅れて洞窟の中へ入る。

洞窟の内部は入り口に比べて広くなっており、何箇所もの横穴が存在する。

クララとオクタビアには腹パンの威力調整が分からないだろうと言うことで、リンマと2人でひたすら寝ている盗賊候補にお見舞いしていく。しゃがむのが面倒になって、最後はキックになっていたことは内緒である。

まずは軍人の5人をぐるぐる巻きにして洞窟の入り口に連れ出す。

続いて盗賊候補を順次運び出し、拘束していく。


岩陰の馬車まで35人を連れて移動し、防護柵を展開し、縛り付ける。


「ひとまず休憩しよう。もう少しで応援が来るはずだ。」


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名前:ヤマト

職業:狩人A

所持P:6,150P

冒険者ギルドB 5,150/10000P、商業ギルドB 6,150/10000P

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