第63部分
「おかえりなさいっ!!!」
ローカニルの家に戻ると、多くの人が出迎えてくれた。
いろいろと話すことはあるが、まずは最初に話すべきはフェルナンドとアクセルだろう。
エリス村攻防戦の話、鍛冶師の開発する新たな武器の話、途中で遭遇した盗賊の話。
その話に2人は何も言わずに頷き続けるだけだった。
「フェルナンド、アクセル、後遺症で戦えないのは分かっている。だが、だからと言って2人の貢献を忘れた訳ではない。何かやりたいことでもあれば言ってくれないか?」
「それではお言葉に甘えて。アクセルとも話し合いましたが、戦闘技能を教える施設等をやれればと思っております。」
アクセルもその言葉に頷いている。
「対象は孤児院に限らず、低ランクの冒険者も受け入れます。主に剣術と盾術を教えて、1人でも多くの人が戦闘技能を身に付けさせたいと思っています。資金的に厳しい者には、この家へ ベビーボア等の難易度の低い魔物を収めることを条件にしようと思います。」
「うん、いい話だと思う。土地は宿舎の隣が空いているから、その土地を使って欲しい。資金的には3000万Gは今渡せるから渡しておく。必要と思われる全てに使っていい。足りない場合は近々追加で払えると思うので、気にせず言って欲しい。」
こうして2人との話を終え、後日ローカニル村で初となる戦闘技能道場「双璧」の開設が決まった。後日談とはなるが、この道場では家の住人ほとんどが戦闘技能習得に励み、最低でも剣術C盾術Cを住人が持つこととなる。
2人との話を終え、食堂でマッタリしているとパトリクが入ってくる。
「パトリク、後回しになってしまって申し訳ない。負傷した2人との話を優先したかったんだ。」
「いえいえ、貢献に報いることは主として重要なことです。」
「細かい報告もあるとは思うが、今日は休みたいと思う。」
「はい、細かい部分は明日以降にゆっくりとさせて頂きます。ただ、1点だけ耳に入れたいことがありまして。」
「余程のことなんだろう。気にせず言って欲しい。」
「はい、それでは。実はマリベル、リナ両方に子供が出来た様でして……」
「それは吉報じゃないか!2人はあまり無理をさせないようにしないと。クリスママが居るから、普段の生活での注意点を聞くといい。」
「ありがとうございます。新居も完成はしましたが、2人が落ち着くまでこちらの家にお邪魔させてもらいたいと思います。」
「ああ、それは構わない。時期を見て引っ越しをすればいいし、不安があるなら出産まで過ごしてもいいと思う。」
「ありがとうございます。では細かい話は明日にでも。」
パトリクと入れ替わりで3人が食堂に入ってくる。少し険しい顔をしているので、吉報を耳にしたんだな、と直感的に感じる。
「パトリクの話は嬉しい話題ね。私も子供は欲しいけど、いろいろと落ち着かないとね。」
シャルが意外にも慎重な姿勢を見せたことで、シフト表を出そうとしていたリンマが思いとどまる。
「分かって欲しいんだが、まだ大いなる戦いは終わっていない。それが終わるまで待って欲しい。」
そう3人に伝えると、特に言うことはない様で、頷いている。
「次に大きな問題として、戦力の補充を考えるべきだと思う。」
そう3人に伝えると、クリスが面白いことを口にする。
「パトリクが育てている子が多くいます。その子の中に代弁者が居る可能性があるのではないでしょうか?」
おお、なるほど。代弁者であれば戦力としてはかなり有望といえる。
「あの本はどうなっている?」
「英雄伝は一度教会に返却しています。借りてきましょうか?」
「そうだね。クリスの案を実行してみよう。」
こうして英雄伝を使用した候補者探しが始まったのだが、本を開くことが出来る者は見つからなかった。
「これは結構ショックだな。1人でも居るかと期待したのだが。」
「そうね。でも、代弁者はその辺に落ちてるようなものではないから、妥当な結果かもよ。」
シャルが案外冷静な判断をするので、軽くチョップをお見舞いしておく。
そんな話をしていると、紡績・機織・裁縫の技能を持つ奴隷達が食堂に入ってくる。
シャルとチョップの応報をしている姿を見て、笑いながら話しかけてくる。
「お二人の仲が良くてなによりです。何かお困りでしょうか?皆さん、考え込んでいるように見えますが。」
そう言われて、代弁者を探しているが見つからないことを伝える。
「それでしたら、生産技能を持つ奴隷を探すのはいかがでしょう?例えばですが、鍛冶師でしたら剣術を持っている者も居ると聞きますし、完全解放する条件でパーティーに加えるのはいかがでしょうか?」
「なるほど、その手があったか!しかし資金的に厳しいんだよな…」
そう言うと、奴隷の1人が立ち上がり、部屋へクリスママを連れてくる。
「資金面のことでしたら、羊毛の加工で潤沢にございます。」
そう言われクリスママが見せてくれたギルドカードには3億Gの残高が表示されていた。
「流石にこの資金は使えない。必要な資金は稼がないと。」
少し誘惑はあったものの、家の資金とは切り分けて考えていくべきだ。
「奴隷を買うというのは良い案だと思うわ。資金を稼ぐなら既に良い方法があるんだから、あれをまたやればいいのよ。」
シャルがケロっと言うその方法。羊さんとの楽しい1週間だ。
「それに、今後はお金の管理はヤマトがする必要はないわ。私が代わってあげる。だから、戦力強化のことだけを考えて頂戴。」
なるほど、お金のことを気にせずに買い物が出来る。なんていい話なんだ。
「じゃあ手持ちの残金をシャルに全部渡すから、今後はお金の管理はお願いするね。」
残っていた端金をシャルに渡し、これからのことを思案する。
「ふと思ったんだけど、キラーシープは何人居れば対処できるだろうか?」
3人がえっ??という顔をする。
「いや、アイテムボックスは2個あるから、2手に別れればいいんじゃないかと」
そう言うと3人は更に???な顔をする。
「5階の熊は眠っている。そしてこちらには暗殺を得意とするクリスがいる。」
そう言うと、理解したのか3人の表情が明るくなっていく。
「4階を私とシャルで回る。5階をクリスとリンマで回ってくれないか。」
この作戦には異論は無く、明日から実行しようという話になる。
休暇なんてなかった。
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名前:ヤマト
職業:狩人A
所持P:4,150P
冒険者ギルドB 150/10000P、商業ギルドB 150/10000P
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