第58部分
魔物と人間の叫び声が混在する場所。
国軍と魔物の最前線近くまでやって来た。
魔物から魔法攻撃が続いており、国軍は防戦一方。確かに状況はまずい。
「ヤマトさん、偵察に行ってきます。」
クリスが偵察を申し出るが、ここは敵陣のど真ん前。
「いや、流石にそれは無茶だろう。」
「いえ、なんとかなります」
そう言うと、クリスは鎧の胴部分を残し、防具を外していく。
「偵察に行くのはいいとして、何故鎧を脱ぐ?」
「血を浴びていますので、出来るだけ臭いを捨てたいと思い。」
そう言うクリスの姿は血で黒く染まった衣装を纏うもの。まさに暗殺者だった。
前線近くの地下道入り口から潜入すると言い残し、クリスは走り去っていく。
押される国軍の前線からは、どんどん負傷者が運び込まれてくる。
特に状態の悪い者をリンマが、状態の軽いものを私が、と分担し、手当に参加する。
「このままでは時間の問題よ。少し突っ込んでくるわね。」
無茶苦茶なことを言い出すシャルを引き止めるも、言うことを聞かない。
「リーダー、無茶なことは分かってる。でも、あのどこかにクリスが居るの。このままでは取り残されて、死んでしまうわ。」
決意を目にするシャルを止める言葉は見つからなかった。
リンマに盾を頼み、シャルが突入する場所に向け、支援攻撃としてアローレインをこれでもかと、降り注がせる。
突撃するシャルを目にした国軍兵は掛け声と共に再度前進を開始する。
「リーダー、クリスが戻ってきます!!」
リンマの声で弓を撃つのをやめ、その方向を確認する。
前進を血まみれにし、抜身の短刀を手にフラフラと走ってくる。
「おい、大丈夫か?血まみれすぎてどこが傷なのか分からない。」
クリスに話しかけるも、反応は薄い。深い傷を負っているのだろうか。
「おい!こっちだ!早く持ってこい!」
誰かの叫び声が聞こえる。その声の主は将軍だった。
将軍の寄越した物は水の入った樽だった。
樽の水を使い、クリスの血のりを洗い流す。
「そのお嬢さんは凄いな。敵陣に乗り込んで、魔法を使うやつを半分以上は刈り取ってくれた。」
「そうなんですね。」
なんと返事したらいいのか、まったく分からず、ポンコツのような返事になってしまう。
「リーダー、治癒を行います。一緒にお願いします。」
治癒を開始し、リンマから問題無さそうだと聞き少し安心する。
「これは…毒を喰らっているな。毒なら任せてくれ。」
将軍が治癒に似た何かを開始する。
「将軍、解毒が使えるのですね。ありがとうございます。」
「なぁに、魔物相手の戦いで覚えただけだ。…よし、体の毒はこれで問題ない。」
将軍の言葉と同時にクリスの顔色が良くなったような気がした。
そう言えば、シャルはどうなっている?
最前線に視線を動かすと、そこには2本の剣を持つ戦士が光輝いていた。
その姿は確かにシャル。違うのはその動き。回転するように魔物を切るのではなく、踊るように大太刀を振るい、魔物の群れを切り飛ばしていく。
国軍からは大きな歓声が上がり、前線はどんどん押し上げられていく。
「あれは戦技。技能を極めた者が身につける極意。戦神の加護でも受けたのか、あの破壊力は見たことがない。」
将軍のおっさんが興奮気味に語りかけてくるが、大丈夫なのかヒヤヒヤである。
「リーダー、ご迷惑お掛けしました。」
回復して意識が戻ったクリスが謝ってくる。
「無事に戻ったんだから、もう謝らないで。」
クリスといくつか会話をしていると、歓声がより一層大きくなった。
「何事?」
「オークの首領、オークキングが討ち取られた。無論、あのお嬢さんの手で。」
将軍から状況を教えてもらい、少しだけ安堵する。
「首領の首は取った。ここからは我々国軍の意地で魔物を押し返せ。全軍突撃!」
将軍の通る声で激が飛ぶと、国軍は一斉に魔物の群れに襲いかかる。
程なくして、前進の鎧をボロボロにしたシャルが戻ってくる。
不思議なことに、大太刀は根本から折れており、武器とは呼べない状態になっている。
「シャル、おかえり。鎧はボロボロでひどい顔をしている。」
「ご挨拶ね。私は愛刀が両方折れてショックなのよ。」
「ところで、あの光ってたのは何が起こってたの?」
「あれは女神が協力してくれたの。過去の英雄も使ったことがある技能で、技能を更に磨いたもの。戦技:踊剣術 という名前らしいわ。」
「なるほど。戦闘の女神からのプレゼントなんだろうね。大きな怪我はない?」
「それは大丈夫。後で治癒してくれればいいから。少し休んでもいいかしら。」
「ああ、ここは大丈夫なので休むといい。」
シャルは近くで座り込み、気づいたら眠っていた。
その日のうちにエリス村から魔物の群れは追い出され、エリスダンジョンへと撤退していった。エリスダンジョンのスタンピードを確実に鎮める為、ダンジョン近郊に陣地を築き、鎮圧部隊を送り込むという連絡を貰う。
「今回はクリスが怪我が多かった。シャルも鎧がボロボロで危うい状態には違いない。2人を責めるつもりはない。十分な防具を用意できなかった責任は私にある。」
「確かに普段から無茶苦茶だけど、今回は特別に無茶苦茶だから、死ななかっただけ良かったと思わないといけないわね。」
シャルは他人事の様に言うが、貴方も関係者なんだぞと。
「おお、ここに居たか。」
将軍がやってきた。いろいろと落ち着いてきたのだろう。
「二刀流のお嬢さんは…こちらの方だな。得物が折れたと聞いて、代わりになるか分からんが、部隊の物資から拝借してきたぞ。」
そう言うと、部下の兵士が2本の大剣を差し出す。
「まぁ、良かったら持ってみないか?悪い武器ではないぞ。」
将軍はニコニコしながらシャルに武器を勧める。
続く
☆☆本日のお仕事☆☆
魔石(小)残0個-入手0個-使用0個(残り0個)
魔石(中) 残0個-入手0個-使用0個(残り0個)
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名前:ヤマト
職業:狩人A
所持金:30,233,500G
所持P:4,150P
冒険者ギルドB 150/10000P、商業ギルドB 150/10000P
E強化短弓 Eサーベル Eハードレザーセット Eアイテムボックス(中)
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