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第56部分

エリス村からの部隊撤退はどうにか完了した。

国軍側には何人かの死者、重傷者が出たと聞いている。


「リーダー、この調子で消耗戦を続けると危ないですよ。夜間にダンジョンから応援の部隊が出てきているという情報もあります。」

リンマからの情報は衝撃的だった。だって、増援が延々と出てくる状態は勝てる見込みがない。

「あまり良い手ではないかもしれないが、増援を抑えないとジリ貧になるな。ダンジョンに対して投石を開始しよう。当たるかが問題だが、入り口周辺に当てることが出来れば、魔物の数を減らすことが出来るかもしれない。」

「ダンジョンを破壊するのですか?それはちょっと問題と言いますか、世界が破滅しますよ。」

「ん?どういうこと?」

「ローカニルの南にある森もそうなんですが、はるか昔にダンジョンがあった場所です。ダンジョンを脅威と感じた祖先は、その入口を塞ぐことで対処しようと考えたようです。ある場所では人為的な土砂崩れを発生させ、ある場所では堰を作って川の水を流し込みました。」

「ほうほう、なかなか良い作戦のように聞こえるね。」

「埋め立てて1年程度は確かに平和になったそうです。1年が経過した頃に、ダンジョンの入り口が爆発し、スタンピードを超える量の魔物が撒き散らされたそうです。」

「うわ、最悪。それでどうなったの?」

「ダンジョン近くの町や村はほとんどが壊滅。ローカニルの南にある森も、以前は別の国の領土だったと言われています。」

「触ってはいけない感じなんだね。」

「歴史的には投石するのは避けるべき行為です」

うーん、困ったな。このままだと押し負けてしまう。


「ヤマトさん、将軍さんです」

クリスが将軍の訪問を伝える。

「やあ、どうも。増援の話は聞いたかな?このままだとジリ貧になってしまうんだ。」

「将軍のほうでは現在の戦力比はどの程度と見ていますか?」

「地下に居る数が明確ではないけど、こちら1に対して2~2.5。オークの上位が多数居るとすれば3まで届くかもしれない。」

「火攻めは地下の通路か下水道に逃げられるので無理だとして、水を流し込むか、土砂で埋め立ててしまうか。なにかいい方法はないでしょうか?」

「そうかっ!!」

「将軍?」

「いや、すまん。地下通路をどうするか考えていたんだが、良い方法を見つけたかもしれない。」

「といいますと?」

「アイテムボックスは破壊されると、その中身を周囲にぶちまける。損傷の具合は鑑定持ちが鑑定すれば分かるので、破壊される寸前のアイテムボックスに土砂を詰めて、地下通路を南から埋めていけばいい。」

「アイテムボックスを穴に落として、上から岩でも落とすのですか?」

「そうだな。それでもいいが、油縄で巻いて、点火と同時に落としてもいいな。」

「結構えぐい作戦ですね」

「まぁ、そうすれば、南側では背後を取られる心配はない。」

こうしてエリス村攻防戦の第二幕が開始されることになる。


・シャルやクリスが索敵で地下通路の位置を特定する

・南側から順に建設魔法で井戸程度の穴を掘り、通路を特定する

・特定できた通路にはアイテムボックス爆弾で土砂を流し込み、生き埋めにする

これを繰り返し、2日でおおよその南側エリアから魔物の脅威を取り除くことができた。


南側の地下通路が制圧されたこともあり、魔物の群れは北側に集中している状態にある。


「なかなか順調に進んでいるな。ところで投石機の命中精度はどのくらいなんだ?」

ニヤッと将軍が笑い、悪巧みの顔をしている。

「正直、精度は悪いと言えます。飛ばす距離でおおよそ制御は出来ますが、任意の箇所を狙うことは不可能です。」

「ということは、北側へ延々と投石するだけなら可能なのか?」

「もしかして、投石機の支援で進軍を考えてますか?」

「考えている」

「何度でも言いますが、精度が悪い兵器です。石が味方に当たる可能性もあります。」

「ではどうしろと?」

「投石機で一定数の投石を行った後に突撃する、もしくは突撃すると見せかけて投石を再開する、といった所でしょうか?」

「誘い出して殴る、と見せかけて殴らずに石を飛ばす、と見せかけて殴る」

「そうです、言ってると意味が分からなくなりますが、地上に出てくるか、地下に籠もるかのどちらかの選択になります。地下に籠れば、土砂で埋め立てて分断すれば良いですし、地上に出てくるのであれば、投石の的になりますね。」

「その作戦も結構えぐいな」


将軍指揮の元、エリス村の南には主力部隊が集結している。


「投石はじめ!」

まずは中央~北部分への投石を開始する。

急造した櫓からその光景を見ているが、かなり悲惨な状態になっている。集結している亜人の群れに壁を破壊する石が投げ込まれ、引き千切られ吹き飛んでいく。


「投石やめ!」

将軍の合図で投石が中止される。南側の部隊も、いよいよ突撃開始か!?と整列を開始し、北側の亜人達も地下から多数の群れが這い出てくる。


「投石はじめ!」

誘い出された亜人の群れに、無慈悲にも投石機から石が降り注ぐ。亜人達はパニックに陥っており、我先にと地下へ潜る。地上から亜人の群れは姿を消す。


「進軍開始!」

合図とともに、進軍が開始され、建設魔法でマジックボックス爆弾が地下道に放り込まれていく。


「進軍停止、その場で待機!」

村の中央位まで進んだとろこで、将軍の指示により進軍が中断される。理由は分からないが、ある程度まで進んだので様子見であろうか?


「将軍がお見えです!」

櫓の下にいる冒険者が将軍の来訪を知らせる。


「これから総攻撃を掛ける。冒険者諸君にも協力をお願いしたい。戦力比は1に対し1.5から2まで削った。」

「分かりました。我々も進軍を開始します。」


先鋒を国軍が努め、中堅は国軍の建設魔法部隊。後方に冒険者部隊。


いよいよエリス村の所有権をかけた最後の戦いが始まる。


将軍の情報によると亜人の群れはゴブリン、コボルト、オークの順に並んでいる。


ゴブリンの群れはコボルトクイーンと思われる魔物が指揮している。

コボルトの群れはオークジェネラルと思われる魔物が指揮をしているそうだ。


「クリス、どの辺りまで矢は届きそうだ?魔法の被害を抑えないとまずい。」

「今の場所でしたら、コボルトの列までは届きそうです。」

「そうか。両方が動き始めたら、指揮官らしき魔物を狙撃することは出来る?」

「はい、指揮官らしき魔物を集中的に狙えばいいですね!」


先手を取ったのは人間側だった。冒険者が放つ矢の雨がゴブリンの群れを襲う。

一部のゴブリンは盾を持っていたものの、矢の雨を完全に防ぐことは出来ていない様だ。

矢の雨から逃れてきた集団は国軍の最前列に居る重装部隊にことごとく叩き切られていく。


ゴブリンの群れが散り散りになり、続くコボルトの群れが視界に入る。

コボルトの指揮を取ろうとやってくるオークジェネラルらしき魔物は姿を見せると同時に、クリスの矢が刈り取っていく。こちらにも冒険者の矢が雨のように降り注ぎ、集団は次第に削られていく。途中、何度か魔法のような物が飛来するが、前列の重装部隊が盾でそれを防ぎ、軽傷者を出すのみで済んでいる。


「ヤマトさん、伏せてください!」

リンマの叫び声が聞こえ、目の前に盾を構えたリンマが飛び込んでくる。

ドンッ!ドンッ!ドンッ!連続して3つの爆音が聞こえ、リンマが盾を持ったまま吹き飛ぶ。

「おい、リンマ、大丈夫か??」

慌ててリンマに駆け寄ると、リンマはすぐに立ち上がる。

「この盾は凄いですね。魔法を防ぎ切りました。フェルナンドとアクセルも凄いです。私の倍以上の魔法を受けて立っていたのですから。」

「そうだな。怪我はないか?」

「背中を思い切り打ち付けただけです。問題はありません。」

念の為、リンマに治癒を施し、慎重に移動させる。

「リンマ、魔法を使ってきた魔物は全て処理してきた。」

隠密を発動させた状態のクリスが戻ってくる。クリスも怪我は無い様だ。


魔物の群れの1列目、2列目を突破し、残るは3列目のオーク部隊との決戦を残すのみとなった。


☆☆本日のお仕事☆☆

魔石(小)残0個-入手0個-使用0個(残り0個)

魔石(中) 残0個-入手0個-使用0個(残り0個)

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

名前:ヤマト

職業:狩人A

所持金:30,233,500G

所持P:4,150P

冒険者ギルドB 150/10000P、商業ギルドB 150/10000P

E強化短弓 Eサーベル Eハードレザーセット Eアイテムボックス(中)

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

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