第52部分
次の日から王都にある武器屋や素材を扱っている店を中心に訪問していく。
まずは武器屋を当たってみたが、武器屋は完成品を売ることが専門で、新規で武器を作ることはしていないという。武器のランクも1~5の物が沢山あったが、強化に困る4や5を手に入れても仕方がない。武器屋で探す方向は諦めた。
次に鍛冶師向けの素材店。金属の鉱石のような物から、金属のインゴット、武器の鋳型のようなものまで様々あった。不思議なことは、太刀の型のような物まであったことだ。
「ご主人、お聞きしてもいいでしょうか?」
素材店の店主に話しかける。
「いらっしゃいませ、何かお探しでしょうか?」
「ここにあるのは太刀の型だと思うのですが、太刀は鋳造で作られているのでしょうか?」
「これはこれは、鍛冶にお詳しい様ですね。ご指摘の通り、太刀は鋳造で作られます。」
「太刀は鍛造された物というイメージですが、違うのでしょうか?」
「お客様、失礼ですが鍛冶師ではないのですよね?」
「ええ、職業は狩人ですね。剣術系の技能は有していません。」
「おかしいですね、それで何故鍛造をご存知なのでしょうか。鍛造は鍛冶師にとって秘術なのです。この王都にも製法を知るものはごくわずかです。」
「しかし変ですね。仲間に大太刀を使う物がいますが、波紋もありますし、鍛造だと思っていました。」
「それは鍛冶師の技です。確かに刀は鍛造で鍛え上げられ作られる武器とも聞きます。しかし作れる鍛冶師の数が圧倒的に少ない。そこで鍛冶師の技で、鋳造された物を鍛造された物と同じ性質に変化させ完成させます。ですので、見た目は刀ですが、正確には強化された鉄の長細剣というところでしょうか。」
「なるほど、それで強度はそれなりにある訳ですね。納得出来ました。それで、武器や防具の材料になる金属の種類を教えて頂けますか?」
「はい、まずは鉄です。説明は不要ですね。次に軽鉄。軽鉄は武器には向きません。戦場では治癒師や弓術士の重装化に使われます。次に黒鉄。扱える鍛冶師も少ない上に重量が鉄に比べ大幅に重いので、豪腕でも無い限り扱えません。武器や盾の材料に使われます。あとは魔鉄と呼ばれるもの、ミスリルと呼ばれる物がございます。」
「ミスリル?それは鉱山から入手可能なのでしょうか?」
「いえ、ミスリルが掘れる鉱山は残念ながらありません。詳細は知らないのですが、ミスリルの装甲を纏った魔物が居るそうで、その装甲を剥ぎ取り、材料にするそうです。数年前にミスリルを持ち帰っていた冒険者が流行り病で亡くなり、今は供給がありません。」
「なるほど、詳細は失われてしまったのですね。」
「はい、残念なことですが。」
「いろいろとありがとうございました。それでは。」
何軒もの素材屋を回るものの、得られる情報に大きな差はなかった。
それから5日が経過し、王都にある図書館や教会を回るも大きな収穫はない。
教会に行くと、代弁者云々で面倒が増えるので、挨拶程度で終わらせることにした。
宿に戻ると、見慣れた馬車が止まっているが、あれはローカニル村に置いてきたほうの馬車だ。
「ヤマト様、遂に分かりましたぞ!」
喰い付くように馬車から降りてきたのは鍛冶師のおっさんだった。
「遠路ご苦労だった。中に入って話そう。」
物凄く遠慮している鍛冶師達を宿の中に連行する。
「ヤマト様、この宿と言いますか館は宿なのでしょうか?」
「その気持は分かる。物凄く落ち着かないが、ここは宿だ。」
「そ…そうですか。」
「それで遂に分かった詳細を教えて欲しい。」
「はい、魔鉄と黒鉄の作り方について神託を頂きました。魔鉄に関しては材料がありましたので、すぐに作り、繊維状に加工まで進みました。今は村のほうで防具として加工出来るように、紡績、機織、裁縫の各位が頑張っております。」
「それなら近いうちに仕上がりそうだね。よくやってくれた。」
「ありがとうございます。あともう1点ございます。当初から言われておりました枠を超えた武器の製造ですが、これにも成功しました。」
「どのような内容なのか詳しく話して欲しい」
「武器は基本的に型に金属を流し込み、表面を整えて鍛冶師の技で金属の強度を高めます。この製法だと枠を超えると棒きれになりますので、枠は使わずに叩き鍛え上げて武器を作ることに成功しました。」
「…ということは、鍛造の製法が分かったということ?」
「これが鍛造なのでしょうか?鍛冶師の極意と呼ばれますが、このような??」
「試しに作った武器はある?」
「はい、短刀になりますがこちらに」
取り出した物は短刀と呼ぶにはやや大きい。大太刀のような曲がりはなく、真っ直ぐの刀身ではあるが、刃の紋様は大太刀のそれと似ている。
「この武器には鍛冶の技は使われていない?」
「金属を錆びから防ぐ技は使用しておりますが、それ以外は一切使用していません。」
ドアの向こうにいる近衛兵を呼び、団長か隊長を呼んでもらう。
暫くして、団長が部屋に入って来た。
「団長、お忙しい中すみません。こちらは私の仲間の鍛冶師。訳あって奴隷の身ですので、お伝えする名前がまだございません。近日中に完全解放しますので、改めてご紹介をさせて頂きます。 こちらは近衛第3騎士団の団長であるローラ = ペドレル様だ。」
「ご紹介ありがとうございます。お仲間の皆様もどうか頭を上げてください。今日はどうされましたか?」
「実はユニーク武器をお持ちの団長にこちらを見て頂きたく。」
鍛冶師が作ってきた試作品のそれを団長に手渡す。
「はい、それでは失礼させて頂きます。……これはっ!!」
「如何でしょうか?感想を聞かせて頂けると嬉しいのですが」
「こればかりは口で説明するより、現実を見て頂きましょう。おい、一人こちらへ来てくれ。この盾を持ってそこに立つんだ。この部分を刺すので……」
団長が部下を呼び、アイテムボックスから装飾されたカイトシールドを構えさせる。
「ではヤマト様、その武器の真髄をご確認下さい。私は剣術A体術A豪腕Bの技能を有しております。」
シャル同等かそれ以上の技能持ちということか。
団長が試作品を手に取り構え、カイトシールドに一気に突き刺す。
試作品は根本までずっぽりと刺さっており、盾がその役割を失っている。
カイトシールドから引き抜いた試作品をハンカチのような物で拭き、鞘に収める。
「ご覧頂きました様に、あのカイトシールド程度は軽く貫通します。あの盾は強化しておりますので、ランク合計で言いますと+12になります。」
「ということは、この試作品は低くても10前後のランクがあると?」
「いえ、ランクはありません。刀身が短いですので、斬撃には向きませんが、回り込んで急所を突く武器としては最高の性能でしょう。魔法に関する対抗武器ではありませんが、装甲の厚い魔物に効果的な武器とも言えます。重ねて言いますと、恐らく私の鎧も簡単に貫くと思います。」
「歴史の中でこのような武器は登場してますか?」
「はい、何度か登場しています。この王都にも同様の性能を持つ大剣が1本ございます。過去に何度かこの国を危機から救った英雄達の武器がこのようなランクを無視した威力を誇る武器や、魔法を打ち砕く武器だったと言われています。」
「ということは、この武器もユニークなのですか?」
「いえ、この武器はユニークの域を超えております。よければ教会に知恵の女神の加護を受けた者がいますので、鑑定を受けて見ませんか?」
「鑑定?」
「ダンジョンや遺跡から正体不明の武器や防具が見つかる場合があります。その際に、知識の女神の加護を持っている者に見てもらい、その詳細を知ることが出来ます。」
「なるほど、鑑定を受けるのがいいかもしれない。」
鍛冶師も一緒に行こうと思ったものの、遠慮したので宿に残した。
☆☆本日のお仕事☆☆
魔石(小)残0個-入手0個-使用0個(残り0個)
魔石(中) 残0個-入手0個-使用0個(残り0個)
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名前:ヤマト
職業:狩人A
所持金:30,233,500G
所持P:4,150P
冒険者ギルドB 150/10000P、商業ギルドB 150/10000P
E強化短弓 Eサーベル Eハードレザーセット Eアイテムボックス(中)
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