第39部分
「緊急会議」発令によりメンバー各位が集合する。
シャルはお約束の様にシフト表を準備しているが、あれは無視でいい。
「さきほど、おっさん…じゃなくて村長が来て話があった。1つは村の拡張工事が行われること。1つは馬車が2~3日の内に手に入ることになった。」
「馬車の話は突然すぎませんか?」
クリスが突っ込んでくる。そらそうだよね。
「前に相談したことがあるんだけど、駄目だった。今回は何故か王都の教会から推薦があった様で、多分だが優先的に回して貰ったんだと思う。」
王都教会というパワーワードにより皆は頷く。
「それで相談なんだが、まずは馬車の運用。1台は私が使う。実はもう1台あるので、それはパトリクに任せようと思う。これは軽い気持ちでもなんでもなく、何かあった場合にこの家の者を連れて逃げるのはパトリクだから、パトリクに任せる。」
パワーワードの後だからか、反論は無い様だ。
「最後に、馬車を手配して貰った手前、王都の教会に行くべきだと思う。」
皆一斉に、うわぁ……って顔をしている。
「まぁ、実際に行くのは私とリンマなんだけどね。」
リンマはうわぁ……という顔のまま、他の皆は笑顔になる。
「リンマ、流石に一緒に行かないと後で最高に面倒になるから。」
「それは理解してますが、教会訪問後に王都でお買い物に付き合ってください。」
うわぁ……
「ひどい顔しないで、お買い物に付き合ってくださいね。それが条件です。」
「ワカリマシタ」
「それで出発は馬車が到着して何日後にしますか?」
王都に行きたいクリスはウキウキである。
「到着した翌日は試運転で近場を往復しようと思う。なので、到着の翌々日かな。」
「リーダー、王都に行かれるのでしたら例の魔道具の件、お願いします。あと、馬車用というか馬用の魔道具があるらしいんです。」
「詳しく教えて欲しい。」
「軍隊用の馬車では普及しているそうですが、馬の疲労を回復する魔道具と、馬車や馬の防御力を上げる魔道具です。魔道具付けた馬車は休み無しでメンヒウ~王都は普通に走るそうですよ。」
「人外ならぬ、馬外な存在になるんだね。」
「詳しく仕組みは分かりませんが、そんな感じです。」
そんな会話をして王都へと向かう日程は馬車到着の翌々日だ。
その日までにすること?英雄伝をなんとかして読み終わりたい。
名前が違うだけの同じ様なストリーが続き、睡眠耐性Aがないと読み終える気がしない。
「リーダー!寝てますよ!」
「はっ!!」
「ヤマト君!寝ております!」
「はっ!!」
そんなある日、クリスパパが読んでいる本を覗き込んで爆弾発言をする。
「ほぉ~これは英雄の活躍をした記録ですか。文字はある程度読めますが、若干読めない箇所も。」
この発言を聞き、凍りつく一同。
その反応に困惑するクリスパパ。何かマズかったのか?という表情をしている。
「クリスパパ、この本読めるのですか?」
「文字をしっかり勉強していないので、読めない文字もあるが、ある程度は。」
「これは凄い発見をしたのかもしれない。」
すぐさまスマフォを取り出し、転生課に問い合わせる。
問「クリスパパは加護持ちなのでしょうか?」
答「狩猟の女神Cの加護を持っています。英雄伝は読むことが可能です。」
問「では、こちらの皆が言う「神託」は行われていますでしょうか?」
答「行われていますが、ただの夢だと思われている様です。」
うわぁ……
「リーダー、パパがどうかしましたか?」
クリスが心配そうに聞いてくる。
「クリスパパは狩猟の女神Cの加護を受けている。何か思い当たることは?」
「えっ??」
「だから、他の人と違うと思ったことはない?」
「あります。狩りに行って獲物が取れない日がありません。貧乏でしたけど、それで生きていけました。」
「なるほど、詳しく本人に説明すべきか、時間を掛けて考えてみよう。」
クリスに事実の告知を保留することを伝え、クリスパパとの話に戻る。
「クリスパパ、読めない文字を書き出すことは可能でしょうか?」
「ええ、それは可能です。」
「クリスママは読み書き出来ますか?」
「はい、問題無くできます。」
「お願いがあるのですが、この本は過去の英雄が活躍したことが書かれています。クリスパパは読むことができる不思議な本なのですが、変わった活躍をした英雄が居たら書き残しておくことは可能でしょうか?」
「では夫に音読をさせて、読めない文字を解決しながら、今までに無い活躍をした英雄を書き出していけばいいですね。」
「はい、それで宜しくお願いします。」
こうして睡眠耐性Aの取得は回避された。加護持ちに気付くのが遅かった。
振動するスマフォ。なんだと見てみると、
「そもそも加護はある分野で貢献があった人に与えられたりもします。狩猟で家族以外の生計を維持していましたので、長年の功績により狩猟の女神がCの加護を与えました。生産に関わる人は大地の女神の加護を受けているケースもあります。また、仲間に恵まれる技能のことを忘れているのではないでしょうか?」と書かれている。
ほうほう、ということは……
「パトリクに羊毛に関わっている奴隷を全員連れて来るように言ってくれ。」
アクセルに頼んでパトリクを呼んでもらう。
「リーダー、お呼びと聞きましたが何か問題でも?」
「先日、羊毛加工で買った奴隷を全員ここに並ばせてくれ。」
「わかりました。ほら、皆そこに並んで。」
物凄く緊張して並ぶ奴隷。何か罰でも与えられるかと怯えているのか?
「リーダー、勘違いしている。座らせて緊張を解くべき。」
リンマが耳打ちしてくる。やはりそうか。
「驚かせた様で、すまない。そこに座ってくれるか。」
リンマが英雄伝をクリスパパから受け取り持ってくる。
「文字が読めるか、読めないかの差はあると思うけど、この本を開いてみてくれ。」
頷く奴隷達。そして驚愕の事実が明らかになる。
「……信じたくない現象ですが、全員開けていますね。」
リンマが近くで囁く。
「代弁者が奴隷というこの事実をどう受け入れたものだろうか。」
「教会に伝えると大事になりますので、クリスパパもですが、内密にされて下さい。」
リンマの言うことはごもっともだが…と悩んでいると、
「奴隷の身分から解放するべきです。ただ、名前までは与える必要はまだないでしょう。名前は過去の名前を使うことを許す、という流れでいいと思います。」
なるほど、それなら解放はしたことになる。
「結婚する時に名前を与えるでいいかな?それで完全に解放で。」
「それでいいと思います。」
「ご主人様、話してもよいでしょうか?」
不意に奴隷から声が掛かる。
「ああ、なんでも気にせず話してくれ。」
「実は何日か前に変な夢を見ました。綺麗な女の人が、本を開く時が来れば大きく変わると言っていました。ご主人様は本を開くようにお命じですが、関係ありますでしょうか?」
ほう、神託まで下っていたのか。それはそれは。
「では皆に聞く。同じような夢を見た記憶がある者は手を挙げてくれ。…うん、下げていい。」
「リーダー、これは疑えないですね。代弁者の根拠が2つあります。」
「そうだね。」
「まず最初に本を開かせたこと、夢の話を聞いたことは、あることの確認の為だった。それが何なのか知っていたとしても今は口外しないで欲しい。ただ、私が知った以上はこのまま奴隷のまま過ごさせる訳にはいかない。なので、只今をもって奴隷の身分から無条件で解放する。ただし、完全解放となる名前を与えることは今は出来ない。将来、結婚する時が来たら、然るべき名前を必ず与えると約束する。これで納得して欲しい。」
「リーダー、いきなり奴隷から解放するとは、何事ですか?」
焦って聞いてくるパトリクにリンマが耳打ちをして、パトリクが固まる。
「私達の価格は知っています。高い者は1000万Gで買われたと聞いています。無条件で解放は有り難いのですが、解放の理由をお聞かせ頂けませんか?パトリク様のお手伝いはもう必要ないということでしょうか?」
「いや、今後とも必要なので奴隷から解放することに決めた。理由は今は話せない。そのうち皆にはちゃんと説明するので、名前を与える日まで解放奴隷として過ごして欲しい。今までと同じく衣食住の保証はする。これでどうだろうか?」
「条件が信じられない位良いのですが、いいのでしょうか。ありがとうございます。」
「うん、それで問題ない。最後に1つ質問なんだが、綺麗な女の人の夢を見るようになったのは何時からか覚えていれば教えてくれないか?」
……皆、一様にこの家に来てからだと回答する。
「分かった、ありがとう。今日は作業を切り上げて早めに休んでくれ。変な緊張をさせてしまい悪かった。」
パトリクに奴隷を連れて行かせ、何故こんな現象が?と考え込む。
クリスパパ、ママは部屋で本を音読すると戻っていった。
「リーダーいいでしょうか?」
リンマの話からちょっとした騒動が巻き起こる。
☆☆本日のお仕事☆☆
魔石(小)残280個-入手0-使用0個(残り280個)
魔石(中) 残145-入手0-使用0(残り145)
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名前:ヤマト
職業:狩人A
所持金:130,233,500G
所持P:9,150P
冒険者ギルドB 150/10000P、商業ギルドB 150/10000P
E強化短弓 Eサーベル Eハードレザーセット Eアイテムボックス(中)
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