第36部分
目が覚めると、隣にクリス・シャル・リンマの3人が居た。
流石に呪いを受けたこともあり、当面はシフト表は使われない様だ。
治癒を延々と行い続け、何度もぶっ倒れたと聞くクリスの頭をナデナデしながら考え事をする。
実は昨夜、3人と部屋で話している時にリンマから言われたのだ。
「教会で聞いていた呪いと違う部分がありましたので、教会に確認に行ってきました。呪い自体は石化の呪い・硬直の呪いと呼ばれる物で呪い自体におかしな部分はありません。何が違うかと言いますと、呪いの進行速度です。呪いに気付いて部屋の隅に引きずるまで恐らく数分。最初の治癒を発動するまで、10分は掛かっていないはず。10分頃には左手、左足は動かないか、動くにしても困難な状態。世間で知られている呪いは動かなくなるまで半日は余裕があります。異常な進行速度の原因を調べないと、呪いを持つ魔物相手の戦闘は致命的な弱点になる可能性があります。」
と言われていたのだ。ナデナデナデナデ。
そもそも私は誰なんでしょう?ヤマトという名前は分かっていますが、転生課に来る前の記憶という記憶に何か蓋がされているかの様に、思い出せません。女神の加護のことなんか、どこまで話したらいいものだろうか。ナデナデナデ。
その時、スマフォがブルブル振動しだす。
・ヤマトの正体、その過去はまだ公開出来る段階にありません。
・ヤマトは女神の代弁者であり、加護を受けた女神の剣。
・リンマ以外には理解し難い話でしょうけど、リンマには話して問題ありません。
と書かれていた。ベッドから起き上がり、リンマのほうへ移動する。
「リーダー、起きたのですね。」
すぐに目を覚ましたリンマが話しかけてくる。
「ちょっとリンマの部屋で話出来るかな?」
「はい、構いません。」
静かにリンマの部屋へと移動する。
「これから話す話は当面内緒にして欲しい。というか、話しても皆には理解出来ないというか、理解し難い部分があると思うんだ。」
こう切り出すと、険しい顔をしつつリンマは頷く。
「まず最初に私には大地の女神、商売の女神、狩猟の女神、戦闘の女神の加護がある。」
「……4神の加護ですかっ???」
ほぼ絶句しているリンマであるが、話を続ける。
「昨日の話を聞いて、あれこれ考えてたんだよ。私は誰なんだと。」
「確かにそれは悩まれますよね。」
「そしたら、答えを貰えた。私は女神の代弁者であり、加護を受けた女神の剣なんだって。」
「疑う訳ではありませんが、確かに代弁者・女神の剣という言葉が出たのですか?」
「間違いなくその2つの単語が出た。」
「…なるほど。少し呪いの不思議が説明できます。まず、代弁者ですがこれは「神託」を受けることが出来る者をそう呼びます。修行に修行を重ねた聖職者が高齢になってようやく辿り着く信仰の証こそ「代弁者」なのです。世界に大きな変化がある時に、その言葉を聞くことができるとも言われています。」
「なるほど、人外な存在である訳だね。」
「次に女神の剣ですが、この言葉の対をなす言葉は魔界の剣。つまり、聖剣と魔剣のことです。過去の戦争で使われた聖剣はあくまでレプリカであるとも言われていて、その存在自体よく分かっていないのです。」
「なるほど、ところで女神は何人にいるか分かってるの?」
「いえ、女神がどの程度存在するのか、記録には残っていません。言われていた大地の女神は豊作の神、商売の女神は商才の神、狩猟の女神は森林の神、戦闘の女神は剣の神とも呼ばれています。地方によって呼ばれ方が異なったり、1女神2神と理解するところがあったりと、はっきりしません。」
「結論として、よく分からんということかな。」
「この村の教会の神官長は確か大地の女神の代弁者だったはずです。一度行ってみませんか?」
「同じ声を聞ける代弁者に話を聞くというのは名案だね。」
そう話していると、スパーン!!と勢いよくドアが開られる。
怒った顔のシャルがズンズンと迫ってくる。
「呪いのことを教えてもらってマシタ……」
「そう、早速元気になってシフトを受け入れてくれたのか気になって」
怒ってるシャルもナデナデしてご機嫌を取ることにする。
「これは反則だけど、もう少し続けてくれたら許してあげる。」
ナデナデナデナデ。
「じゃあ、この後教会に行って詳しい話を聞いてみようか。」
「そうですね。詳しい話が聞けるかもしれません。」
ナデナデナデナデ
「次の番は私だからっ!!」
と満足してシャルは去って行った。
暫くして、食堂で遅めの朝食を食べて教会に行くことにした。
孤児院に行くことは抵抗がないものの、教会は皆トラウマがある様で行きたがらない。
「なんで教会は一様に嫌がるんだろう?」
「厳しい教育の場ですので、皆嫌がります。」
リンネが苦笑しながら教えてくれる。そんなもんなんだろう。
教会に着くと、リンネが面会の交渉をしてくれる。
「リーダー、大丈夫です。時間を取ってくれるそうです。」
神父さんに案内され、教会の奥へ案内される。
「リーダー、神官長は名前を名乗りません。あくまで神官長です。」
「面白い文化なんだね。名前を捨てたという解釈でいいの?」
「よくご存知で。その解釈で間違いありません。」
部屋には60歳位の方が待っていた。
「あの服装は神官長です」
リンマが耳打ちしてくる。
「お会い頂き光栄です。ヤマトと申します。」
「こちらこそ、ローカニルの守護者にお会い出来る光栄を与えて頂き、感謝します。」
「立ったままも何ですので、お掛けください。」
ソファーに腰掛けると、神父さんがお茶を運んでくる。
神父さんにお礼を言い、お茶を頂く。
「孤児院に多くの援助を頂いていると聞いております。ローカニルの神官長としてお礼申し上げます。」
「いえ、孤児院への支援はパトリクが主体となってやっております。パトリクには神官長のお言葉を必ずお伝えしましょう。」
「ほう、、あのパトリクがですか。いや、失礼。一時期、彼とは何度か話したことがありますが、そのような人物に成長を。」
「全てを救うことは無理ですが、可能な支援をしたいというのは間違いなく彼の意向です。」
「なるほど、ローカニル村からそのような人物が出たことはありがたい話です。」
「とろこで、神官長。お伺いしたいことがあるのですが。」
「はい、私に答えられることであれば何でもお聞きください。」
「女神の加護とはなんなのでしょうか?」
「これまた難しい話を。加護とは簡単に申しますと女神から神託を頂くきっかけのようなもの。女神との繋がりを表す場合に加護と表現する場合があります。」
「では代弁者とはなんでしょうか?」
「これはこれは。よく勉強されておられる。そちらのリンマも熱心でしたが、ヤマトさんはそれ以上ですね。代弁者とは女神の声を聞き、実行に移す力を与えられた者。私は大地の女神様より加護を頂き、代弁者としての力を頂きました。」
「差し支えなければ、その代弁者の力の内容を教えて頂けますか?」
「問題ありませんよ。私は大地の女神様より多くの恵みをもたらす祈りを頂きました。この祈りを毎年収穫時期の前に使い、安定した食料供給が行えています。」
「なるほど、餓えずに生きていけるのは神官長のお陰ですね。ありがとうございます。話は変わりますがこれが本題です。「女神の剣」の意味をご存知でしょうか?」
「……その言葉をどこでお知りになられた?リンネからですか?」
「いえ、知った後にリンネには質問しましたが、私個人で知った言葉です。」
「……ということは、ヤマトさんも加護を受けている身なのですか?」
「えっと、それはですね。」
言葉に困ってしまうと、神官長は続ける。
「大地の女神の名のもとに誓います。口外したり、何かに利用することはしません。」
「私が頂いている加護は大地の女神B、商売の女神B、狩猟の女神A、戦闘の女神Cの加護です。4女神の名のもと、嘘ではないことを誓います。」
「……4神の加護をお持ちなのですか。しかも上位の女神まで。」
「それで女神の剣の件ですが……」
「はい、その言葉を伝えたお相手は我々が信仰の対象とする主神。多くの女神をまとめている神の中の神と言われています。そのお方が伝えた言葉にありません。女神の剣の意味ですが、言葉の通り女神の剣そのもの。一説には聖剣と呼ばれるものではないか、とも言われています。」
「解釈はいろいろとあると思いますが、私が聖剣、もしくはそれに類する存在ということですか?」
「間違っていません。聖剣という物があるのか?という疑問は過去に何度も議論が行われてきました。しかし、結論は出ていません。聖剣を生み出す女神は戦争の女神とも言われています。戦争の女神の加護を受けることが出来れば、何か分かるかもしれないですね。」
「私からも宜しいでしょうか?」
リンマが手を挙げて、呪いに関するアレコレを質問する。
「呪い?リンマが解呪?……なるほど。」
神官長は考え込んで、口を開く。
「私も研究はしておりますが、断定できていない事は多くあります。しかしリンマの話を聞くに、私の考える聖剣説は正しいのかもしれません。」
「お聞かせ頂けますか?」
「聖剣とは神の遣わす剣を持つ者。そして持つ剣とは物質としての剣ではなく、人物としての剣。剣とは力の象徴として使われることもあります。人が持つ特技を聖剣の1つとして考えるなら、「女神の剣」とは人に類を見ない力を与える存在なのかもしれません。ヤマトさんは特技を与える代弁者なのかもしれません。」
「なるほど、理解できました。ありがとうございます。」
「ヤマトさんは「大いなる戦い」の警告は受けておられますか?」
「はい、大いなる戦いは近づいている。注意しろ。と言われています。」
「大いなる戦いとは、大規模なスタンピードのことではないかと考えられています。過去に何度かスタンピードは発生していますが、いずれも森を発生源としたもの。ダンジョンを発生源とする場合は、その規模は何倍にもなると言われています。」
「なるほど、ダンジョンでのスタンピードですか。情報を集めないといけないですね。」
「首都北東のダンジョンは最近スタンピードが発生し、多くの犠牲者が出ました。ローカニル、メンヒウ、パール首都のダンジョンはその情報がありません。」
「3つのどこかで起こる可能性があると。」
「断言する訳にはいきませんが、4神の加護をお持ちの方にも同じ警告が出ているなら、間違いないと考えます。」
「メンヒウとパール首都のダンジョンで発生すると収集がつかない可能性もあります。あの2つのダンジョンは亜人型の魔物が生息すると言われていますので。」
「亜人ですか?何か問題でも?」
「ローカニルのように10匹前後の群れではなく、亜人は種族全体で攻めてくると言われています。人間が結成する軍隊のように機能する魔物です。」
「それは問題ですね。対策を考えねば。」
「最後になりますが、体がある程度回復したら、首都にある教会に行かれませんか?聖騎士が身につける鎧は呪いの効果を受けないとも言われます。通常は正規の手順で作られる鎧が聖なる鎧なのですが、防具に刻印を刻むことである程度防ぐことができます。」
「なるほど、それは良い情報です。」
「先に手紙を出しておきます。体調が回復されたら、訪問されてみてください。」
神官長との面談を終えて、教会を後にする。
続く
☆☆本日のお仕事☆☆
魔石(小)残280個-入手0-使用0個(残り280個)
魔石(中) 残145-入手0-使用0(残り145)
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名前:ヤマト
職業:狩人A
所持金:150,233,500G
所持P:9,150P
冒険者ギルドB 150/10000P、商業ギルドB 150/10000P
E強化短弓 Eサーベル Eハードレザーセット Eアイテムボックス(中)
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