第33部分
「投擲って投げる物全てが投擲になるんだろうか?」
「どうしましたリーダー?」
朝食を食べながら、パトリクが不思議そうな顔で聞いてくる。
キメラに弓が有効ではないこと、対策として入手した矢はあるが物凄い高いこと、技能の差なのか強化したサーベルでも戦士と同じ攻撃力が確保できない不満を話す。
「そこは職業の差じゃないですか?弓を主に使うリーダーが剣で戦士と同じ攻撃が出来ていたら、戦士は全員奴隷落ちしてしまいますよ。」
「奴隷落ちはしないだろうけど、職業の優位性はなんだ?という話にはなるよね。」
苦笑しながらパトリクの奴隷落ち発言に答える。
「クリスは土の投槍を緊急時に撃つ役割をお願いしようと思ってるんだけど、矢が無効化されるなら弓2人は多いなと正直思う訳。」
「それは確かにそうですね。それで投擲で何を投げるつもりなんですか?」
「ん~今までみた武器だったら槍が最適だと思うんだよね。」
「でも槍なら槍術の得意分野なんじゃないですか?」
「そうなんだよ、壊しても問題ない槍を買ってリンマと投げ比べてみるしかないか。」
その後も投擲の可能性についてパトリクとあれこれ話をして朝食を終える。
「リンマ、一緒に来てくれ。他のメンバーは各ギルドで9階の依頼受注と昨日の報告を済ませておいて欲しい。」
シャルがシフト表を提示して抗議してくるが、事情を話すとシフト表を大切に保管箱に戻す。
「では行こうか。」
武器屋へと移動し、まずは試しに使う槍を探す。
「おはようございます、リリーさん。中古でいいのですが、槍はないでしょうか?」
「おはようございます、ヤマトさん。槍ですか?中古はないですが処分前の槍ならありますよ。訓練用でしたら使える物ですけど、どうでしょうか?」
「処分前の物がありますか、それ1本頂けますか?裏で試しに使い終わったらお返ししますので。」
「はい、問題ないですよ。今、他の方もいますので、気をつけてくださいね。」
リリーさんから槍を受け取り武器屋の裏へ移動する。他の冒険者が居たので、一礼して空いてるスペースで実験開始だ。
「リンマ、この槍で試しにいつもの突きを見せて欲しい。」
リンマはうなずき、カカシのような何かに突きを繰り出す。いつも通りの突きだ。
「では、ここまで移動して槍をあのカカシに向かって投げてみて欲しい。」
「槍を投げるんですか?投げることにはあまり自信がないですが。」
リンマに槍を投げさせると、言っている通り命中率は0に近い。
奇跡的に命中したものも、勢いは無く突きには余程及ばない。
「リンマ、ありがとう。その槍を貸してくれ。」
試しに突きを繰り出してみるも、お話にならない威力なのはわかる。
「リーダー、言いにくいですが実戦で使える威力ではありません。」
リンマの悲しい一言で少し悲しくなる。
「そうだね。では、次は槍を投げてみようと思う。」
そう宣言してリンマと同じ位置から槍を投擲で投げてみる。投げられた槍はカカシのような何かに見事命中し、威力もリンマも突きと同じくらいだろうか?
「リンマ、威力はどう思う?」
「もう一度投げてもらえますか。近くで見てみようと思います。」
投げられる槍。破壊されるカカシのような何か。
となりの冒険者からは不思議な顔で見られている。主力武器を投げる等、考えられないといった顔だ。
「威力は私の突きと同じか、やや劣る程度でしょうか?実戦で使う攻撃としては問題ありません。ただ、主力武器ですので、投げると回収できない問題がありますが。」
「主力武器は剣を使う。槍は投擲武器として使おうかと思ってる。軽量化で強化すればキメラ程度なら有効に使えそうな気がするんだよね。」
「確かにそれはそうですが、槍を投擲ですか……」
リンマは少し不満がある様だ。こればかりは割り切れないと受け入れることができない。
「店の中に戻ろう。」
リンマを連れて店へと戻る。
「ヤマトさん、どうでしたか?」
「槍を買おうと思う。ランク2の槍を2本欲しい。魔石はあるので、+7まで強化してくれ。」
ロングスピア×2 計80,000G
軽量化強化代金×2 計1,400,000G
強化された武器を受け取り、家へ戻る。
皆と合流し、ダンジョンへと向かう。
「武器の区別というか分類?って誰が決めているんだろう?」
「聞いた話ですけど、武器は伝えられた方法でしか作れないと聞きます。リリーさんの店にも多くの種類の武器がありますが、伝えられた方法の枠から出る物は作れないそうです。例えば、シャルの大太刀をロングソード並の長さで作ろうとしても、作れることは作れますが武器として機能しないと言われています。」
「なるほど、そういう制限があるのか。その制限ってなんで生まれたんだろう?」
「これは神話のような話ですが、過去に魔物と人間が戦う大きな戦いがあったそうです。その際、人間は魔物を討ち滅ぼす力を持つ「聖剣」を作り出し、魔物は聖剣を持つ人間特攻武器として「魔剣」を作り出したそうです。多くの規格外武器の登場により戦争は更に悲惨なものとなり、戦争の集結と共にその技術は封印され今の製造方法のみが残ったと言われています。それ以降、「聖剣」「魔剣」は生まれていないそうです。」
「世界の均衡を崩す力として封印された、というとこかな」
「そうなります。この類の話はあまり好まれませんので、人にされない様に。」
アクセルからいろいろと教えて貰うことができた。収穫なのかな?
話も終わり、ダンジョンの魔法陣へと向かう。
9階へと移動し、探索を開始する。
「この先に小部屋があります。魔物はベビーグリフォンです。どうしますか?」
「ベビーグリフォン?四足歩行の鳥の頭がある魔物?翼があるんだっけ?」
「よくご存知ですね。私はギルドで教えてもらったばかりなのに。」
クリスは少し不満そうだけど、グリフォンと言えばアレだろう。
「矢が有効なのか確認したいので、最初は攻撃させて欲しい。」
クリスと2人で入り口に近づき、速射・早合で矢の雨をお見舞いする。
懸念していた無効化はなく、普通に倒すことが出来た。
「問題は次の階なのかもしれないね。今日はこの階を抜けることを目標に進もう。」
10階への階段に辿り着くまで、半分を弓で、半分を剣や槍で倒し進んでいく。
ベビーキメラ以降気になる部分としては、やや戦闘時間が伸びていることだろうか。
ベビーグリフォンに至っては空を飛ぶので、攻撃が当て難いという課題も出てきた。
先制攻撃でまずは何匹の行動を制限できるか?が重要な気がする。
10階へと降り、魔法陣から地上へと戻り、冒険者ギルドへと向かう。
「エルサさん、こんにちわ。依頼の達成報告をしたいんですが。」
「あら、ヤマトさん。今日は何階まで進まれたんですか?」
「えっと10階の入り口までですね。」
「それは凄い。早速精算しましょう。」
達成件数 15件 討伐報酬 65万G
(得られるギルドPが一気に減ったな…)
「時間が時間なので、先に商業ギルドに行かれて下さい。終わりましたら、お戻り頂けますか?」
「他に何かありましたか?」
「いえ、少しお話したいことがありますので、是非お越し下さい。」
急いで商業ギルドへ行き、エステルさんに精算をお願いする。
達成件数15件 素材価格 240万G
(得られるギルドPが一気に減ったな…)
エステルさんにはお礼を言うだけ言って、急いで冒険者ギルドへ戻る。
「ヤマトさんおかえりなさい。こちらへお越し頂けますか?」
通されたのは会議室だった。
「確認ですが、10階に到着された。間違いないですか?」
「はい、間違いないです」
「冒険者ギルド職員としての立場から言わせて頂きます。これ以上下の階を目指すことはお辞めください。」
「えっ……?」
☆☆本日のお仕事☆☆
魔石(小)残1,550個-使用1270個(残り280個)
魔石(中) 入手60-使用0(残り145)
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名前:ヤマト
職業:狩人A
所持金:150,233,500G
所持P:69,150P
冒険者ギルドB 150/10000P、商業ギルドB 150/10000P
E強化短弓 Eサーベル Eハードレザーセット Eアイテムボックス(中)
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