第32部分
「今日はまず武器を強化しに行こう。」
メンバーに伝えて朝一番で武器屋を訪れることにした。
「あら、ヤマトさん、おはようございます。今日はどうされました?」
「今日は武器の強化をお願いしようと思いまして。大太刀が強化する武器です。」
「軽量化と強靭化、どちらにされます?」
そう聞かれ、大切なことを決めていないことに気付く。そう、強化の方向性だ。
急遽、メンバーを集め緊急会議である。
「問題が発生した。強化の方向性を考えていなかった。」
「それってここで気付くことでしょうか?」
リンマが鋭い指摘をしてくる。
「自分でもまさか考えていないとは思わなかった。」
仕方ないので認めてしまう。
「いや、そこは認めるとこじゃないと思いますよ。」
そんな話をしていると、フェルナンドとアクセルが口を開く。
「強靭化は我々の武器で経験している強化です。方向性の確認であれば、我々の2本で試し切りしてみて、違和感があれば軽量化でいいんじゃないでしょうか。」
ナイスアシスト。これこそが有能な部下というものである。
「リリーさん、裏で試し切りさせてください。武器は自前のを使いますので。」
「いいけど、あまり暴れないで頂戴。店が壊れたら大変。」
店の裏には何個かのカカシのようなものが置かれている。これは壊してもよいやつだ。
「シャル、まずは自分の武器で試し切りをしてみてくれ。」
シャルが回転斬りを繰り出すと、カカシは綺麗に切断される。
「では次はこれだ。強靭化されているので、切れ味はないが、鈍器としての威力はあるぞ。」
再びシャルが回転斬りを繰り出す。カカシは粉砕されるも、シャルは不満顔だ。
「私にはその武器は向かないと思う。切れ味がないと切る速度が落ちてしまうので、強靭化された武器を2本持っても1本分かそれ以下の働きしかできないと思う。」
「では軽量化の方向で強化しよう。元がランク3の武器なので、簡単に折れることはないと思うからね。」
リリーさんの元へ戻り、軽量化で強化する旨を伝える。
「魔石中は1500個用意できたので、+7強化で1270個使います。」
「分かりました。強化費用は140万Gになります。」
特に問題はなく強化は終了した。
「あと、矢を無効化する魔物への対処なんだけど、良い物を手に入れてるわ。」
取り出して見せてくれたのは「矢」なのだが、鏃がなんか違う。
「この矢は特製ですか?鏃がなんか違うと思います。」
「そうなの、これは特製の矢になるんだけど、土魔法が付与されているの。」
「魔法??」
「そう、魔法。でも、この矢自体が魔法をどうこうするものではないの。あくまで土魔法の付与。この矢を放つと、その矢は土の槍のように変化し命中するの。」
「なるほど、それでこの矢は何本あるんですか?」
「実は数があまり無くて、合計で100本しかないの。クリスさんと分けるでしょうから、1人50本づつしか持てないの。価格は結構高いわよ。」
「そんなに?魔法を付与されたものなりの値段ということですね。」
「そうなるわね。1本10万G。100本あるので、1000万Gです。」
え?そんなにするのかよ!!?3ランク装備以上の値段がするな。
「通称、土の投槍とも呼ばれるそうよ。3ランク前後の槍を消耗品のように投げるイメージね。同じ様に矢を無効化された人が生み出した苦肉の策なので、問題の階は一気に抜けてしまうのがいいらしいの。」
「なるほど、確かにその矢をバンバン撃ってたら、破産しますよね。」
「そうなの、だから多くの場合は近接武器で押し切るそうよ。」
そりゃそうだよね。この矢は秘密兵器だよね。
「それでこれは提案になるんだけど、ヤマトさん剣で戦えばいいんじゃない?」
「私に近接戦闘をせよと?」
「そうは言っても、技能持ってるでしょ?」
確かにそうである。サブ武器として剣を用意しておけば安心出来るであろう。
「ではサーベルを買います。魔石は残っているので、+5まで強化して貰えますか。強化は軽量化でお願いします。」
使わなくなった場合でも、フェルナンドやアクセルに使わせることもできる。
「わかりました。矢も買って頂きますので、サーベルの代金はサービスで。強化代金は頂きます。」
少しだけ安くなった。ここで交渉しても仕方ない。
武器の購入と強化も終わり、リベンジとしてキメラの居る8階へと向かうことになった。
途中でギルドへ寄り、依頼の受注は忘れない。
魔法陣で8階へと移動し、今は小部屋の前に居る。
「まずは土の魔法が付与された矢の効果を見たい。クリス試しに撃ってくれ。フェルナンドとアクセルは何時も通り盾で耐えてくれ。シャルは試し切りなので、一緒に出よう。リンマはサポートで待機しててくれ。」
皆が頷き作戦が開始される。
魔物がこちらに気付き、攻撃してこようとするが「牽制」で一定の距離が維持できている。
そこへクリスの矢が襲いかかる。弓から放たれたそれはモヤモヤした何かを周囲に発しながら、キメラの胴体目掛けて一直線に飛んでいく。
以前はこのタイミングで矢が無効化されたよね、というところでモヤモヤが爆発するように大きくなり、キメラに見事矢は命中したのであった。ただ、致命的なダメージにはなっていない様な気もする。
「シャル、行こう。」
シャルと2人でキメラに接近する。シャルはまず尻尾を切断し、尻から一気に大太刀を差し込み抜く。アーーーッという声が聞こえそうな一瞬だった。クリスのほうへ振り返った所で足にサーベルを何度か突き入れる。暴れるキメラを避けながら、何度か突き入れるとバランスを崩してキメラはこけてしまう。
そこにシャルが飛び込んでくる姿が見えたので、急ぎ飛び退く。
ズドォン!
大太刀が地面に当たった音かと思い見ると、キメラの首が落ちていた。
「あれ、このサイズの魔物の首まで切り落とせるの?その武器の性能凄くない?」
「そうですか?残っているこちらの頭を切ってみてください。」
シャルに言われるまま、サーベルを振り上げて山羊の首に叩き込む。が、
「半分も切れてないよね。やっぱり強化値の違いかな?」
「いえ、そんなことはありません。ちょっと武器をお借りしますよ。」
シャルがサーベルを手に取り、より根本に近い部分を一気に切断する。
「あれ?シャルは剣術Cだよね?なんで剣術Bなのに切れないんだろう?」
「……リーダー、そろそろ移動しましょう。あまり長居するのも気分が良くないです。」
アクセルに怒られて次の部屋へ向かうことにした。
その部屋のキメラは少し悲惨だった。
まず牽制で動きを止めたキメラの足元にシャルが滑り込む。それと同時に足を切断。
戻ってきたシャルからサーベルを所望され、手渡すとシャルはサーベルをアクセルへと渡す。
「アクセル、首を跳ねてみて。」
なかなか渋い要求をするシャルだが、キメラはまだ騒いでいる。
アクセルが受け取ったサーベルを山羊の首に向けて振り上げ、振り下ろす。
スパン!と首は宙を舞いその場を離れる。
「次はフェルナンド試してみて。」
暴れているキメラの鳥のような頭に向けてサーベルを振り上げ、振り下ろすフェルナンド。
こちらも同じように首はその場を離れて飛んでいく。
「移動しながら話しましょう。」
そう言われ頷き部屋を後にする。
考えられる可能性としては、
・職業の差
・技能の差はあまり関係が無いと思う
・もしかしたら体術が関係しているかも?
・狩人なので剣にマイナスが入るのかもしれないが、足へのダメージが入る時点でそこまでの影響があるとは思えない。
というものだった。貴重なPを使用してまで検証するのはもったいないので、深く考えないようにした。
その後は矢は使わずに、シャルの一撃で足を切り落とすという方法でキメラの攻略に成功した。
9階へと降り、魔法陣で地上へと戻る。
「疲れたね。今日はこのまま家に戻って休もう。」
ギルドへの報告は明日にして、今日は早めに休むことにする。
未精算:キメラ10
☆☆本日のお仕事☆☆
魔石(小)残1,550個-使用0個(残り1,550個)
魔石(中) 入手75-使用0(残り85)
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名前:ヤマト
職業:狩人A
所持金:151,713,500G
所持P:67,650P
冒険者ギルドB 0/10000P、商業ギルドB 0/10000P
E強化短弓 Eサーベル Eハードレザーセット Eアイテムボックス(中)
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