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戦国武将依田康真が囲碁の対局後に間違いを犯さなかったら?  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』


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高野山に居る理由は?

 気付いたら高野山。それも西暦1600年。次々と飛び込む事実か否か不明の情報に困惑する中、更にわからないワード。依田康真が。

「依田康真って誰?」

「知っている方が不思議でありますね。歴史の教科書に登場する事はありませんし、徳川家康にまつわる話にも登場しない人物。強いて言えば戦国時代のシミュレーションゲームに時々出て来るかも?ぐらいですね。」

「高野山に流されるぐらいだからな。」

「でも最後は家老になるんだぞ。」

「えっ!そうなの!?」

「だから心配しなくても良い。」

「でも今は高野山だよね?高野山に居るって言う事は、何か悪さをしたって言う事だよね?」

「……うむ。確かに言われて見ればそうではある。それにさっき家老とは言ったのだが、その家老と言うのは徳川幕府のそれでは無く越前。今の福井県を領した松平の家老に過ぎぬ。」

「今の境遇に比べれば栄転中の栄転。」

「そう言ってくれると嬉しいのだが、実はな。ここに来る前、康真は上州。今の群馬県の藤岡にある3万石の所領を任されていた。と言っても独立した君主では無く徳川家康様の家臣と言う立場ではあったのだがな。」

「何故そうなったの?」

「原因は……。」

 囲碁。

「囲碁!?」

「うむ。囲碁が原因で高野山に入る事になってしまった。」

「なってしまった。と言う事はタイトル戦の挑戦者を決める会場がここ高野山だったから。では?」

「勿論無い。」

「勝負に負けた罰として?」

「康真は囲碁で生計を立てては居らぬ。それに囲碁には勝っている。」

「では何故?」

「勝ったまでは良かったのだが、その相手に言われた一言に怒ってしまい……。」

「どのような?」

「正月の挨拶も終わり、皆リラックスしていた。そこにお酒も入っている中での対局。とは言え負けた方は面白くない。康真に何か言ってやりたい。でそいつが選んだのが……。」

 康真の妻に関する事。

「康真の妻は初婚では無い。とある人物が亡くなった事に伴い、家康様の推薦により康真に再嫁している。そのとある人物とは……。」

 依田康真の兄康国。

「えっ!?」

「『囲碁には負けたが、誰かと違い兄の古女房を……。』

と言われたものだから……。」

「喧嘩に?」

「それどころの騒ぎでは無い。で無ければ3万石を失うような事は無い。ただ幸いにして事情が事情であった事。康真の妻が徳川の重臣大久保の娘であった事。更には康真の父と兄。そして康真自身のこれまでの功績も鑑みられ、高野山に流罪で留められた次第である。」

「情状酌量が認められた?」

「まぁそんな所かな。」

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