と言われても
目を覚ますと僕は布団の中に入っていた。
「どうやら生きていたらしい。」
安堵すると同時に
「しかし車に轢かれたのは事実。」
と身体の様子を探る私。手は動く。欠損も無い。身体の様子を探る。問題無い。それどこか痛みも無い。
「持っていた碁笥がクッション代わりになったのか?」
いやそんな事は無い。ふと頭に手をやる。
「ん!?」
外側に髪の毛が。私は普段丸坊主にしているため、側頭部に髪の毛は無い。
「そうか。暫く入院していたのだな。」
額に手をやる。
「ん!?」
前髪が無い。長期の入院中、前髪だけ手入れ。それもつるっ禿にする事等あり得ない。それに脳の手術のしたのなら側頭部にも髪の毛は存在しないはず。更に手を伸ばすと、変な感触が……。形状から想像するに。
「排泄物!?」
いやそんな事は無い。無いと信じたい。その物体を払い除ける。しかし……。
「頭頂部から離れない。」
知らない医療器具が取り付けられたのか?改めて目を開き辺りを見回す。
「和室?」
僕の家は下にタイヤが付いたトレーラーハウス。内装は和だが、障子は無い。仮にここが病院だったとした場合、
「和の病院って?」
ここはいったい何処なのだ。僕は今どのような状況に置かれているのだ?困惑する私に……。
「お目覚めですか?」
の声が。
「誰?」
と恐る恐る返事をし、目を向けるとそこに立っていたのは一人の僧侶が。
「驚きました。先日来たばかりの人に別の方が乗り移る事になるとは。」
「どう言う事?」
「あなたは今、あなたになっている方に転生しました。」
「えっ!?」
「あなたに付きましては、残念ながらであります。しかしもう一度生きる機会が与えられました。ただ今は西暦1600年。あなたが生きていた時代の400年前になります。」
「1600年?」
「はい。今居る場所は高野山であります。」
「和歌山県の?」
「はい。ただこの時代高野山があるのは紀伊国であります。もしかすると高野山に付きましては400年前とあまり景色は変わっていないかと。勿論、この時代はアスファルト舗装はされていませんし、ケーブルカーも存在しません。移動は全て徒歩となります。」
「徒歩か……。」
「御心配なく。体力は1600年当時のままになっていますので、問題ありません。」
「で。僕は誰になったのですか?」
「あなたになった方の名は依田康真。つい先日。とある事情でここに流されて来た人物であります。」




