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世界の果て

 『世界の果て』………そう呼ばれ続けている未知の場所があった。

 一万メートル級の山々が覆う大陸。山頂は日々猛吹雪に見舞われ、長い歴史上最も低く観測された気温はマイナス100℃近くになるとも言われている。山肌を覆った氷や雪が日々地形を変える未開地………。

 全てを書き記した最新の地図でさえ、この大陸の事は書かれていない。その謎に満ちた大陸を求めて何人もの人間が足を踏み入れていた、しかし、戻って来た者は誰一人として存在しない。

 その険しく長い山の中を長い機械仕掛けの隊列が歩み進んでいた。大規模なその隊列は剣と銃を模したマークの赤い旗を掲げている。

 彼らはこの世界で最も軍事科学が発達していると呼ばれる機械国家『アンクー』…略奪を繰り返しながら繁栄してきた帝国人だ。

 他国を武力で押さえつけ、無理やり従わせ、恐怖を与えてきたその国は以前、侵略(しんりゃく)激戦(げきせん)三国(さんごく)()と呼ばれ恐れられる大陸の一角に大人しく国を構えていたが、三十年前にその勢力図は大きく変わった。

三国の中心にあった最強国家が何の前触れも無しに滅びたのだ。

 その最も古き最強国家の名は『デザスポワール』。

不気味な神を崇拝する黒魔道師と魔女の国…

大した軍事科学も持たない小国だったが、彼らにはそれに代わる未知の力が備わっていた。

科学では到底解明することが出来ないような力。『黒魔道』を全ての民が持っており、天候を操作し稲妻を降らせ、大地を引き裂き、凄まじい炎を作り出しては水を自在に(あやつ)る。  

しまいには戦死した遺体までを生き返らせ使役するなど、人間では扱えないような悪魔の技を平然と繰り出すのだ。

彼らを率いていた者は王ではなく、十人の黒き神官たちだった。

戦場で漆黒の長いローブと仮面を被り、無慈悲に命を奪う彼らの姿は今でも恐怖としての代名詞に数えられる。

しかし、突如としてその国はたった一夜で滅びた。原因は未だ不明だが、それと平行して激戦国家には飢饉(ききん)疫病(えきびょう)が横行し、衰退した。

アンクー国家はそれを好機と、自ら汚染された国を捨て侵略を続けることで最強帝国にまで上り詰めた。

完全なる理想郷を求める彼らは一年前にある一人の商人を捕らえた。彼は世界の国々を歩き回り、金銀財宝と品を交換して回っていると言っていた。

その商人がアンクー帝国の兵の前でうっかりと口にしてしまった言葉があったのだ。

「自分はエテルニテから来た…」と………

 エテルニテは伝説の国だ。その名はよく出るが実在はしない楽園。恐怖の黒魔道国家デザスポワールに掛けて古代の人間が生み出した国…そう伝えられていた。

 だが、商人は厳しい拷問の末、『世界の果て』の中心にエテルニテがあると言ってしまった。

「エテルニテを囲む過酷な山には秘密の通路があり、そこを通れば周りを要塞のように囲む一万メートル級の山脈を容易に超えられる……」と…


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