第五場 写真
校内放送
『校内に残っている生徒は、下校してください』
三人、顔を上げる
雪弥「追い出される」
栞「最後やのに」
奏太「最後やからやん」
三人、帰る準備をする
雪弥が教室を見回す
雪弥「なあ」
栞「何」
雪弥「写真撮ろう」
栞が驚く
栞「珍しい」
雪弥「三人で」
奏太「誰が撮るの」
栞「タイマー」
スマホを教卓の上へ置く
栞が設定する
三人が黒板の前へ
栞「十秒」
雪弥「長ない?」
奏太「普通」
栞「行くで」
雪弥「何か喋れよ」
奏太「何を」
雪弥「知らん」
栞「笑って」
雪弥「無理」
奏太「いつも笑ってるじゃん」
雪弥「こういう『はい笑って』が一番無理やねん」
雪弥「あ、待って、これもう撮れる?」
栞「撮れる撮れる!」
奏太「二宮、前!」
雪弥「え?」
シャッター音
三人、一瞬止まる
栞が確認しに行く
栞「……最悪」
奏太「どんな?」
三人で覗く
雪弥「撮り直そか」
栞、しばらくスマホ画面を見る
栞「これでいい」
雪弥「いや俺、横向いてるけど」
栞「これがいい」
奏太「俺、目開いてない、めっちゃ半目」
栞「いい」
雪弥「何がええねん」
栞は笑う
栞「私ららしい」
スマホ画面を見つめる
栞「ちゃんとした写真って、たぶん、いつでも撮れるから」
二人を見る
栞「こういうのは、今日しか撮れへん」
間
奏太「その写真、箱に入れる?」
栞「入れへん」
雪弥「何で」
栞「持ってる」
スマホを胸元に抱える。
栞「これは忘れたないから」
奏太が笑う。
雪弥も、少し遅れて笑う。




