超技術と糸電話
今回は「謎の男」視点のお話です。
「スライム博士と言ったな。俺は……あの坊主を探しに行こうと思う」
今の所、雑兵としか遭遇しない。このままいけば脱獄は成功できるだろう。
そんな状況で俺がそう言うと、スライム博士は戸惑う。
「え……? いえ、それならワタシが行きます。彼の班長ですし、それに貴方は……」
そう。俺があの娘に拒絶されたせいで、坊主は連れ去られた。俺が行っても無駄……そう思うのも無理はない。
だが、あの坊主が「カビ助」で娘がその恋人ならば、俺が拒絶された理由は明白だ。
「俺は彼らに謝らないといけないことがある。彼らとの和解なしでは、奴らには勝てんだろう。だからあんたは……申し訳ないが、先に一人で脱獄してくれないか?」
俺は真剣な表情で言った。するとスライムは少し考え、同意してくれた。流石の頭の良さだな。
「……ええ。そういうことなら、分かりました。敵のアジトですから……十分注意してくださいね」
その点なら、心配ない。俺には頼れる「仲間」がついているからな。
……こうして、俺はカビ助の捜索に向かい、スライムと離別した。
◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎
俺は仲間達の協力を受け、物置予定地のような、広く地味な空間を見つけ出した。
ここにあいつらがいるはずだが……。
「なっ…………⁉︎」
手遅れだったか? この状況……相当まずいのが一目で分かった。
カビ助が、あの娘と……父親のクローンにいたぶられている。もう抗う気力も残っていないようだ。
「この腐った世界に……絶望を。」
その言葉を最後に、あいつは何もかもを諦めたようだった。
俺は咄嗟にカビ助と敵の間に滑り込む。……わかるよ、その気持ち。
これ以上こいつを傷つけるのはやめ…………俺はそう言おうとして訂正する。
……違うな。これ以上の絶望はない。
「お前ら……よくもやってくれたな」
「……お前は、まさか! ギャハ……マスター? もっと憎むべき相手のご登場だぜ?笑」
ミツバとかいう娘は、前とは雰囲気が変わっていた。
本性を隠して信用させ、邪魔のない場所に連れ去ってから裏切ったのか? 恐ろしい女だ。
「おい、聞いてんのか⁉︎」
奴はカビ助に向け叫び続けるが、あいつの返事はない。まあ……あの状態なら、意識を失っても不思議ではない。
とはいえ…………助かったな。俺の正体は自分で明かすべきだと思っていた。
「ちっ……。面白くねぇな。ならば『おっ3』よ! 仇打ちとでも行くか‼︎」
ミツバの声におっ3のクローンは俺へと標的を移す。
「…………!」
やはりそうくるか。このまま戦ってもいいが……カビ助の治療が最優先だな。
俺はあらかじめ用意しておいた、「緊急脱出システム」を使用する。
……とは言っても、ただの糸電話なのだが。
「もしもし? こちら『シャド』だ。カビ助ごと、いけるか?」
この糸電話は、遥か遠方にいるアイツに繋げてもらうよう仲間に頼んだものだ。
『了解。念の為カード登録しておいて良かったよ……シャド』
アイツの声と同時に、俺の周囲に橙色の光が現れる。
ミツバとおっ3の拳が迫ってくるが、もう遅い。
ピカっ!!
光が輝きを増した瞬間、俺たちは見知らぬ土地にいた。
「これが…………『ドリガジェ』の力か」
謎の単語ばかり……! 詳細は前作をご覧ください。
ゲホっ…ゴホっ…! 「ブックマーク登録」「いいね」「評価」を頂けると励みになります。




