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FIND FIXER:切り札は、この掌の中に。  作者: パタパタさん・改
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今後の方針

 「”悪意”ねぇ・・・・。でもそれ、冒険者に入って大丈夫かね?」

 

 セツラは興味深そうにレッドワーフの言った言葉を頭の中で吟味しながら、カグヤのデッキ構成にデメリットを生じさせないかを聞く。変に別種のテーマカードを入れてデッキ崩壊だなんて、洒落にならないのだろう。

 だが、そんな突き刺すような質問にレッドワーフは首を横に振る。

 

 「ものにもよるけど、大丈夫じゃないかな?”冒険者”のテーマにはもう”悪意”カード出てるらしいし。それとコンボで使えばハンデスとか墓地誘発とか色々出来るよ」

 

 淡々と説明するレッドワーフに置いてけぼりだったカグヤが声を上げた。


 「んんん?悪意、悪意ってなんなの?」


 「え、悪意って知らない?高校生だよな?」


 「馬鹿にしないで!意味くらい分かるよ!私が言いたいのは、”悪意”ってどういうカードなの?って話!」


 小馬鹿にするレッドワーフにカグヤが憤慨すると、レッドワーフはすぐさま両手を上げて「降参」の意を示す。

 半分拳を握っていたカグヤだったが、冗談と言うのも分かっていたためすぐに拳を下ろした。

 レッドワーフはそのまま続けて、


 「悪意ってのは、簡単に言えばクッソ強いカードだ。魔法カードの”悪意”や純”悪意”のカードを使ってそのクッソ強いカードを出して相手を妨害しながら殴り倒す。分かったか?」


 「最初からそう言えば良いのに」


 「あの質問だと分かりにくいんだよなぁ・・・」


 ぶつくさと呟くレッドワーフだったが、直後にカグヤの目が笑ってない笑顔に口を摘まんだ。

 そんな微笑ましい空間にセツラが「おいおい」と横やりを入れてきた。


 「お二人さん。夫婦喧嘩よりもやることがあるでしょーが」


 「「あ」」


 「全く、此処まで意識低くてどうすんですか。”悪意”に関するカードの情報を集めるなり、エンデュミオンのカードプレイに関する癖なりを集めるなり、しなきゃならないことが沢山あるんですよ!」


 「「・・・はい」」


 ここまで生きピッタリである。コンマ1秒すらズレていない。もう夫婦でもいいのではなかろうか。


 シュンと項垂れた二人にセツラが次々と指示を出す。二人に任せてはいけないと感じ取ったのだろうか、完全にママさんである。


 「はいはい、そうやって項垂れてないで。部長命令です!カグヤちゃんは私と一緒にPt稼ぎとパック買い。レッドワーフ君はテキトーにハンターズギルドからエンデュミオンの情報をゲットしてきなさい」


 「先輩と!?ハイハイ、行きますよ!私頑張っちゃいますよぉッ!!うおおおおおおお!!!」


 「なんで僕だけスパイ活動しなきゃいけないんですかね?まぁ良いけどやりますけど・・・」


 憧れと恋情を抱く先輩からのお誘いに歓喜し、男勝りな男の声を出すカグヤに対し、レッドワーフは「解せぬ」と言った嫌々な表情を顔に引きずり出していた。

 だがそれがどうした。セツラはこの問題児二人の相手を務めてきたのだ。


 セツラは構わずに指示を続行する。


 「んで、レッドワーフ君。万一運よくエンデュミオンに出会ったら戦意を喪失させるか、腹立たせるほどに煽り散らかしてやりなさい!」


 「なんで僕だけ悪役何ですかねぇッ!?」


 「それで、カグヤちゃん。最近の”悪意”系統カードからそれに見合う”冒険者”カードを探し出して、当たるまでダンジョンクエストとパック引きを周回するわよ!」


 「げええええええ!!!めっちゃつらい奴じゃないですかぁッ!?ダンジョンクエストって一回に結構時間かかりますよねぇッ!?それを見あてのカードが出るまでやるんですか???正気の沙汰じゃないでしょそれぇッ!!!」


 カグヤが完全に女子の出してはいけない声を出しながら、部屋隅に後ずさる。

 デッキに同名カードは基本的に4枚まで収容可能だ。中には”このカードはデッキに4枚以上入れることができる”とか、”このカードはデッキに1枚しか入れることはできない”と言う効果を持ったカードもあるわけだが、基本は4枚。

 そして今からセツラとカグヤが入手しに行く”悪意”方面のカードは軒並みレア度が高い上、肝心の展開元となる魔法カード”悪意”は最低レアリティであるにもかかわらず、まるで隠されているかのように封入率は狂ってるレベルで低いのだ。多分10ボックスに1枚入ってるか入ってないか・・・。

 

 凄まじく労力のかかる作業であることに変わりはなく、セツラが無理やり嫌がるカグヤを脇に抱えてダンジョンクエストに向かう。

 カグヤは最後の頼み綱として、都合よくレッドワーフを利用しようとする。


 「ちょ―――!レッドワーフ、助けてええええ!!!」


 だが―――、


 「             」


 「無視すんなぁああああああああああ!!!!!!」


 残念ながらこれには流石のレッドワーフでも、「可愛い子には旅をさせよ」の精神で断固として動くことはなかった。流石幼馴染だ。幼馴染の対応にも耐性が付いている。


 そんなまさに仏教の末裔と言っても差し支えない程には悟りを開いているレッドワーフに、振り返ったセツラは悪戯に口元を鋭く歪めて言った。


 「次に部会開くときに何か摑んでないと”課題”を増やしちゃうぞ~~」


 「・・・・」


 「レッドワーフ君だけ”週間トップキング大会を20週連続優勝する”とかにしちゃうぞ~~」


 「うげええええええええ!!!それは勘弁!マジで止めてください!何でも許して!」


 「じゃぁ動く!今すぐに、オーケイ?」

 

 「押忍ッッ!!」


 流石に仏陀の悟りも部長権限の課題増加には目を覚まさざる得ないようで、レッドワーフは慌てた様子で我先にと遊戯部を飛び出した。


 そんな慌てっぷりを見たカグヤがセツラに抱えられながら死んだような眼で呟いた。

 

 「こりゃぁ、私もやるっきゃないのか・・・・」


 

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