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FIND FIXER:切り札は、この掌の中に。  作者: パタパタさん・改
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対策会議

 嫌にしんみりとした空気に重苦しさがプラスされ、VRの遊戯部は気まずさに満ちていた。


 記録映像を見終わった遊戯部である。


 過去十週間分の週間トップキング大会のエンデュミオンの戦争を見終わったのだが、どうにも終わった直後から誰も一言も話さない。

 だが流石にしびれを切らしたのか、セツラが先輩として後輩たちの喉奥の言葉を釣りあげようと話の竿を持った。


 「ではでは、エンデュミオンの戦争を見終わった訳だけれども、何か感想がある人~!」


 「「・・・・・」」


 「よし、ではカグヤちゃん!」


 「ふぁッ!?私ですか先輩!!?」


 突然感想会の中心に吊るし上げられ、目を剥くカグヤにセツラが強く頷く。


 そんなセツラの御指名に預かってしまったカグヤは、「ええ~」と嬉しさ半分、何言おうか迷う半分で感情が右往左往していた。

 そんなカグヤにやきもきしたのか、隣で仏頂面を噛ましていたレッドワーフがカグヤの代弁を務めた。


 「そうっすね。敢えて言うなれば、エンデュミオンに魅力を感じられない。簡単に言えば”自己中心的傲岸不遜の上っ面プロプレイヤークソお嬢様”ですね」


 「最後のだけレッドワーフの感想でしょ!!?」


 「馬鹿、皆の感想だよ。僕じゃねぇ」


 「まぁ、私もそれは思っちゃったかな?」


 「先輩!」


 セツラの意外な本音に半泣きになったカグヤが叫ぶ。それをセツラは「冗談、冗談」と言ってカグヤを宥める。

 そしてゆっくりとレッドワーフの視線に自分の目を合わせて、


 「それで、君はどう見るのかな?」


 「どう見るとは?」


 「分かってるくせに。君の見る目には私も一目置いているんだよ?・・・君ならあの戦争、どうやって勝つ?」

 

 意味深に微笑み、リモコンを弄びながらセツラは問う。

 カグヤはそのセツラの質問にハテナマークを浮かべながらセツラを見て愚痴を言う。


 「あれに勝つってどうやって?出てくる前に倒さなきゃヤバい奴じゃん」


 カグヤが言うのは一番インパクトの強かった『貪欲の魔王 イーラゲート』だ。十回の戦争の中で、一番印象に根強く残ったカードらしい。

 そんなカードを使う奴に勝つ方法は”速攻”だとカグヤは主張するのだ。

 

 面倒くさい奴に対しては、早めに勝負を切り上げる。と言う事らしい。


 だがその意見をセツラが真っ向から否定した。

 

 「無理だよ。そもそもカグヤちゃんのデッキって”冒険者”でしょ?それにほとんど未強化の。それで速攻は流石に無理あるよ」


 「えぇぇ・・・」


 言っておくが、冒険者デッキは確かに強いには強いが、速攻性があるかと言われればそれは別問題なのだ。

 連携攻撃と回数攻撃を重視するのが”冒険者”の魅力だ。暴走龍であれば速攻筋肉高打点の三銃士を出せるのだが、冒険者は残念ながらそっち方面ではない。

 

 ましてやほぼ未強化のカグヤのデッキではほとんど勝ち筋は見えないだろう。


 カグヤが意気消沈したのと同時に、今度はレッドワーフが発言をする。


 「僕的には妨害を立てるべきだと思うんでs」

 

 「現実的じゃない」


 「そうですね。じゃぁ、イーラゲートが出てきた瞬間に破壊できる『即退場の落とし穴』とかはどうでしょう?」


 「『大魔王の権限』はどうするの?」


 「『魔法破壊』で対処します」


 「『ダンジョン・エクスプロード』が出てきたら?」


 「同じく『魔法破壊』で対処します」


 「そんな連続で『魔法破壊』を引けるわけないでしょ」


 「それならば『連唱魔法 ENCORE』で」


 「引けなかったら?」


 「それ、言ったら終わりじゃないっすか・・・」


 ある種の無限ループをすることになると気づいたレッドワーフが早々にセツラとの話し合いを断ち切った。

 もう話す気はないと、そういう態度をした途端にセツラがぶー垂れる。

 簡単に反論してくるのが気に食わなかったのだろう。「引けなかったら?」なんて、カードゲームの根本を否定する言葉が出てくるのだから。

 

 「・・・じゃぁ、カグヤちゃんはどうするぅ?」


 「そこで私に飛び火するの、なんなんですかね?」


 不合理な質問に不満を言うカグヤだが、残念ながらセツラには届かない。

 セツラはまるでハンデにハンデつけてハンデを競争にするような、子供のそれだった。

 そんなセツラに呆れ混じりの溜息を吐きだし、カグヤが少し悩みながら答える。


 「煽り返す?とか・・・」


 「相当相手を怒らせるの得意な奴じゃねぇと無理だろ。優しいカグヤにそんな器用なことができると思うな。自分を高く見積もり過ぎだぞ」

 

 「それに相手が相手だからねぇ。自己中に傲岸不遜。憎まれ口=自分に嫉妬してる哀れな亡者の戯言とか考えてる人相手に煽り返しは無謀よねぇ」


 「両親に説教されてる感覚ッ!?・・・ていうかレッドワーフまでなんで混じってんのッ!!?」

 

 今度は真隣と正面から来た否定まがいのアドバイスにカグヤが憤慨する。


 それにしてもレッドワーフとセツラのコラボレーション否定パンチが清々しいくらいに合っていたのが不思議でならない。同じ修羅場をくぐって来たような、見事な合わせっぷりだった。


 それはさておき、カグヤも×点では納得いかないようで新たな案を出した。


 「じゃぁ、・・・手札を捨てさせる奴とか・・・?」


 「「―――ッ!?」」


 半分冗談、半分本気の複雑な意思を表明した言葉だったが、どうやら二人にとってはそうでなく、むしろ感嘆に近い驚きがあった。

 速攻が無理なら根本事叩き潰せばいいと言う考え方だが、これはある意味において絶対解であった。


 「ハンデスか、・・・アホカグヤの口からそんな事が聞けるとは思ってなんだ」

 

 「うーん、もうちょっと反論し甲斐のある答えを求めてたんだけどなぁ・・・」


 「あれッ!?私今貶されてる???」


 半泣きでカグヤが驚いていると、セツラが何としてでも反論したいのか声を絞り出す。一体何を持って後輩の答えを否定したいのか分からないが、まぁ面白いので放っておこう。

 

 ちなみにハンデスとは、相手の手札を捨てさせるカードの効果の総称だ。ハンド(手札)+デス(捨てる・破壊するの意)でハンデスだ。


 「冒険者にハンデスなんて一種類しかいないんじゃない?他のカードだとシナジー合わないよ?」


 「えぇ・・・、それは困る」


 「一番ハンデス特化してるのって、”地獄紋”ってデッキだけど。あれはもう何年前のパックだからね。シナジーが合わない所の話じゃない。それどころか扱いが結構難しいデッキテーマだから、カグヤちゃんじゃ無理だし、そもそも冒険者に入らない」


 「いや、地獄紋をわざわざ使わなくても”冒険者”をハンデス寄りのデッキにすることはできる」


 「「――――えぇッッ!!?」」

 

 まさかのレッドワーフの援護射撃に今度はセツラとカグヤが仰天する。

 セツラは「そんな事可能なの!?」と言う思いで。カグヤは「今さっき反論してたのに今度は味方!?」という驚きだ。

 そんな目を見開く二人に苦笑しながらレッドワーフは付け足す。


 「『悪意』ってカードがあるんだが、それと新規と元を入れて根本を直す。さすれば、ハンデス冒険者。――いや、『アンチ勇者』デッキを組むことができる」


 彼が口にしたのは過去環境のトップ、エトワールが主力戦力として使い、今もなおその新規が出てくるほどの古参テーマ”悪意”だった。


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