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FIND FIXER:切り札は、この掌の中に。  作者: パタパタさん・改
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グループ

 「あ゛あ゛あ゛あああああああ・・・・」


 「ゾンビみたいな声を上げんなよ結華・・・、仮にも女子だろお前・・・・」


 「仮にもって何よ仮にもって、女子が溜息吐いちゃいけないって、どこの誰が決めたのよ!」


 「わーったわーった。僕が悪かった」


 「相手する気ない反応だ!!」


 うがーッと、牙を向けるゴリr、・・・結華に桜星は両手を向けて無抵抗のポーズをする。


 場所は日建高校の旧校舎の部室だ。

 真夏の暑苦しい環境下で、唯一空気が通じるドアは開けっ放し。それでも室温が35度を悠々と越えている焼き肉屋みたいなことになっており、二人の皮膚からはかなりの量の汗が出ていた。


 一日目のUWを遊び終えて、その次の日が今日である。


 長い冒険のように感じるが、それは精神世界での話であるため、現実的に言うなれば別にそんな長い時間はかかっていない。

 そう脳が錯覚しているだけなのだ。

 だがそんなのこの部活ではさほど関係なく、プレイ時間よりもどちらかと言うと功績の方が大事なのだ。

 

 そんな非情な現実の中、桜星が電気の通っていない炬燵で丸まり、片手に異世界転生的なウィンドウ(スマホのメガ進化版みたいなの)を眺める結華を見る。

 彼と結華は相対する形で炬燵に入っているため、彼の目からはウィンドウの裏側しか見えない。


 「何見てんだよ・・・・?そんな雄叫び上げるんだから、さぞ変なものでも見てるんだろうな」


 「雄叫びって、・・・桜星君は私を猛獣か何かだと思ってるんですかね!?」


 「霊長目ヒト科ゴリラ属あたりだと思ってる」


 「誰がチンパンジーじゃぁッ!!?」


 「ゴリラだよ馬鹿」


 激昂する結華に冷静に返す桜星。傍から見れば仲のいいカップルに見えるがしかし、彼らはカップルではない。ただの幼馴染だ。桜星がどう思ってるのかは知らないが・・・。


 目を吊り上げて目が進化しそうになった結華だが、すぐに話を戻し、ウィンドウの中身を見せる。桜星相手に怒るのは時間の無駄だということに気が付いたのだろう。


 「・・・はぁ、私が見てたのはこれだよ。今までの大会の優勝者、準優勝者の名前とデッキ名、あと、なんかよく分からないんだけど所属って奴」


 「・・・・・うっわぁ。・・・・・・マジかどうなってんだこれ?」


 結華は炬燵から出ると桜星の真隣に座り、自分の見ていたウィンドウを見せる。


 そのサイトはVRTCGの方のUWの大会の優勝者、準優勝者の名前とデッキ名と所属を映し出しており、その内容に桜星は愕然と嫌な溜息を吐いた。

 


 週間トップキング大会2538

 

 ~今週~

 優勝者:エンデュミオン デッキ名:迷宮魔王 所属:ハンターズギルド

 

 準優勝者:エンジ デッキ名:魔王型聖域天使 所属:ハンターズギルド


 ~先週~

 優勝者:エンデュミオン デッキ名:迷宮魔王 所属:ハンターズギルド


 準優勝者:エンジ デッキ名:魔王型聖域天使 所属:ハンターズギルド


 ~先々週~

 優勝者:エンデュミオン デッキ名:迷宮魔王 所属:ハンターズギルド


 準優勝者:α/ デッキ名:最強の英霊騎士団 所属:無所属


 さらに前の大会優勝者を確認する。 ここをタップ 》》》


 

 以下略・・・。


 

 週間トップキング大会の優勝者がずっと固定のままだ。

 

 二人の最初の目的は週間トップキング大会でどちらかが優勝することだ。

 それなのにどうしたことか、この世に神はいないのか(おそらくいない)。優勝者が代わる代わるの世界であれば、まだ結華は平常心を保てていたのに、現実はこうだ。

 

 流石の優勝者固定には流石の桜星も動揺を隠しきれていない。


 「迷宮魔王ってなんだ?いや、・・・多分迷宮+魔王のデッキだとは思うんだけど、質と量のガチ両刀ってことなのか?最近のUW知らねぇから分からねえんだよなぁ・・・」


 頭を抱えながら呻く桜星を無視し、結華はそのまま前の優勝者を見て更に呻く。

 

 どうやらかなり前から”エンデュミオン”が優勝しているらしく、準優勝者はころころ変わっているが第一位の座だけは誰にもまだ譲られていないのである。

 決して週間トップキング大会で優勝を飾らないと次の目標に行けないという訳ではないが、次の目標を為すためにはまずは週間トップキング大会である程度、対戦に慣れておかなければならない。


 それが鼻から潰されたのだ。


 それにまだ気になるところはある。

 

 「この”所属”っていうのが気になって調べてみたらね。なんかグループっていう専用個室を登録できるみたいで、リーダーの許可が必要らしいの」


 「あぁ、ハンターズギルドってグループか、なるほど。・・・そのグループって入ったらなんかあんの?」


 「なんか色々特典があるみたいなんだ。全部言うと面倒くさいし、私だって全部知ってる訳じゃないから、かいつまんで説明すると・・・」


 と、結華が簡単なグループ登録の恩恵を説明する。


 1:グループの半分以上が特定の大会に参加していれば、対戦後の報酬が1.5倍。

 2:グループの半分以上が特定の大会に参加していれば、大会終了後にもらえる大会限定スペシャルパックが1パックの代わりに2パック受け取れる。

 3:グループ所属のアバターが優勝すれば、賞金が2倍になる。

 4:専用個室の管理人になることが出来、グループ加入時に制限下で条件を変えることが出来る。


 etc・・・。


 「あー、割といいなぁ。でも多分簡単になれるもんじゃないでしょ?」


 「まぁ、うん。・・・グループ設立時に50000Pt、グループリーダー交代時には変わる人が20000Pt、維持費はグループ人数一人につき1000Ptだからね。払えないとグループ強制解除」


 「うげぇ、VRでも通貨払わないといけないとか、勘弁してくれよ・・・」


 桜星がげんなりとした表情で炬燵に肘をつく。

 

 どうやらそう簡単な話でもないようだった。グループ設立時にとんでもない額のPtを請求されるのだ。通常パックの1ボックスが4900Ptなのだから、軽く見積もっても通常パック10ボックス分が必要だと言うことになる。


 「元を取るには大きな大会に参加するしかないし、そもそもの話、グループ設立するPt有るんなら普通にボックス買った方がいいじゃねぇか?」

 

 「でもなぁ、自分達の秘密基地って考えたら格好いいし、それにそこで部活を立ち上げれば志願者も集まるし、それで大会とか優勝できればお互い部活も続くし有名になれるしでwinwinじゃない?無理ならグループに入ってリーダーの座を奪うとか」


 「さらっと危ないことを言うな」


 「いいじゃん!私と桜星がいれば最強だよ!!」


 「頷きかけるからやめてくれませんかねぇッ!?」


 小首をかしげながら、桜星を見る結華。

 結華の泣き落とし、粘着と様々な方法で陥落されてきた桜星だが、こればかりは耐えきった。


 「もう少し、資源に余裕ができたらな。今の僕でもどうにもならん」


 「え~~~~ッ!!」


 ブー垂れる結華に背を向けて顔を見ないようにする桜星。どうやらこれ以上は限界のようだ。肩が小刻みに笑っている。

 そんな桜星の心が攻略されてしまう寸前で、新しい乱入者によって結華の粘りプレイは終結を迎えた。


 「話は聞かせてもらったぜぇ!!結華ちゃぁぁああん!!」


 「彩架先輩!?」


 真夏のクソ暑い部室に転がり込んだのは、吹き乱れる一陣の漆黒。才理彩架だ。


 そんな彩架はすぐさま驚く結華の手を掴んで、


 「グループ、私のところに入らないかな?」


 「「・・・・・・・え?」」


 話の先が一人で突っ走り迷子になるような発言が彼らの耳を打ったのだった。

 

 

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[気になる点] 結華って苗字呼びしてました?
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