第十話 人材と育成。
「ナベリウス様。各種族の長達を連れてまいりました。」
「ご苦労。」
ナベリウスは座って居たソファから立ち上がると、謁見する場所へと向かう。
まだ城は完成しておらず、城下町に造られた宮の謁見の場だ。
「頭を上げよ。」
目の前には頭を下げる者達が並んでいた。
皆がナベリウスの言葉に従い頭を上げる。
「今日お前達を呼んだのは、各種族から優秀な者を幹部として迎え入れたいからだ。俺はここに国を造るつもりだ。その為の人材は多い方が良い。」
お~と各種族長から声が上がる。
ナベリウスは言葉をそこで止めると、各種族長達を見渡す。
「この国は実力主義の国にとする。」
実力主義と言われて、ホブゴブリンの族長やハイオークの族長が苦い顔になる。
逆に、ハイリザードや獣人族等は嬉々としている様子がある。
「勘違いはするな。種族など問わぬし、血統などは考慮に値しない。全ての栄誉はその者のみに与えられる。全ての権利はその者のみに与えられる。」
ざわざわとする。
人間族などは驚きが大きい様だ。
「力とは武力のみあらず、知力や純粋な腕力。視力や統率力。色々な力を現す。博識も力だ。どんな力でも構わん。俺に認めさせろ。それが、採用する条件だ。」
「それは、私達元奴隷でもですか?」
恐る恐るといった感じで声を出したのは人間族の族長だ。
「勿論だ。」
「では、私ども非力なゴブリンでも?」
「ああ。そのつもりだ。何かに秀でている者を採用する。そこに種族や身分など無い。ただ、得意分野はそれぞれの種族の特性もあろうが、そんなのは些細な事だ。より優秀な者を使う。理解したら、各種族へ戻り、通達せよ。良いな?」
「「「はっ!はい!!」」」
「ああそうだ。もう一つ伝える事がある。学校というモノを建造する。一定の年齢のモノに学習させる機関だ。年齢については後日通達する。ちなみに、学校に在籍する事は対象者の義務とするつもりだ。その事も伝えておけ。」
「「「はい。」」」
「では、下がっていいぞ。」
「「「はっ!」」」
ゾロゾロと族長たちは退室していった。
全員が退席するのを待ってから、口を開く。
「というわけだ。お前達も推挙したい人物を見繕え。後、鑑定持ちを用意する必要があるな。お前達に劣化版だが、鑑定スキルを付与する。」
ナベリウスの手が光輝くと、その光は等分されたように分かれる。
スーザンと漆黒竜ベネボレス以外の者の体にスッと解けるかのように消えた。
「スーザンとベネボレスは元々あったな。」
「はい。」
「ふむ。そうじゃ。」
「お前達を中心に、皆で探してくれ。」
「「「かいこまりました。」」」
「最初の期限は一ヶ月だ。」
「「「はっ!」」」
ナベリウスは指示を出した後、退出した。
◇◇◇◆◇◇◇
学校。
学びの場。
ナベリウスの建造した学校は初年度こそ年齢のバラつきは有るモノの、次年度以降は一定の年齢に達したモノを受け入れる形をとり、年齢に応じた学年とする事になった。
10歳になる歳の子が入学となる。
カリキュラムの中には、文字や数字に関する物等、生活に必要な学問から、武技や魔法に関する学問に化学や薬学などの専門知識を必要とするもの迄ある。
これにより、識字率が上がる事になる。
さらに、この世界で生きる為に必要である武技や魔法についての勉強は生存確率の向上に役立つ事になった。
「子供だけでなく大人にも。」
という言葉を受けたナベリウスは、更に夜間学校を設立。
大人向けの文字や数字等の生活に必要な学問を中心に教える場所とした。
これにより大人の識字率や算術力も向上する事になった。
「もっと、専門的に学びたい。」
その声を聴いたナベリウスは更に学院という学校の上位互換となる場所を設立し、より専門的な事が学べる場所とした。こちらは義務とせず、希望者のみのモノとし試験をおこない狭き門とした。試験をおこなう事でより優秀な存在になるべく研鑽する者が増えたのである。さらに、学院においてはより一人に対する投資は大きくなる。専門性を追求する研究機関の役割も追うからだ。最後、卒業する為には卒業試験に合格する必要がある。
それにより、更に国として優秀な者を育成できる環境となり、優秀な人材が増える事となった。
◇◇◇◆◇◇◇
さらに、ナベリウスは冥王ハデス神を祭る神殿とその宗教の形成を考えた。
ナベリウスを教皇として、その下に司祭と巫女を設置する事にした。
その為、学院に行かず、宗教に帰依する存在が出てくる事になる。
枢機卿のような存在も、この後に出てくる事になる。
神殿では冥王ハデス神の加護を受ける事が出来る。
そもそもが、使徒であるナベリウスにとっては容易い事であった。
神聖魔法を使う司祭が増えていく。
『ナベリウス。体の構造を理解するとより効果の高い回復魔法となるぞ?』
その言葉を冥王ハデス神から頂いたナベリウスはすぐさま、体の構造を教会において広めていく事になる。さらに、神の言葉を深く知る事が出来る様にと、神学と体の構造を教える医学を学べる場にもする。
これにより、神殿は医療に関する研究も追う事になる。
この為、学院から薬学・医学・回復魔法学を切離し、神殿を学べる場とした。
回復魔法が使えないモノも、医学や薬学を併用し治す医者になる事が出来る様になる。
魔法に頼るだけでなく、医学的見地を元により医療レベルが向上する事になったのである。
それは、死亡率の低下や健全者の人数の向上に繋がったのである。




