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第五話 漆黒竜ベネボレス。


『うぉぉ?!』


困惑の声を上げる漆黒竜ベネボレンス。

光は更に強くなり、視界が全て光により支配される。


「ま、眩しっ!」


ヘレンはようやく異変に気付いたのか、反応を見せる。

どうやら、今の今まで寝ていた様だ。ヘレンは随分と大物なのかもしれない。


少しして、強烈な光はパンっと弾ける様に落ち着いた。

漆黒竜ベネボレスがいた場所に、少年が姿を現した。


「かわいい♪」


ヘレンは目ざとくそれを見つけその少年に近づく。


「気安く近づく出ない!」


少年は、牽制する。


「我は漆黒竜ベネボレスじゃ。人間族の女子に用は無い!」


少年は漆黒竜ベネボレスその人?であった。


「わかってますよ~。立派な角が有りますもんね。それに桁違いの魔力も感じますし~。」


「わかっておるなら、触るな!」


ヘレンはベタベタと漆黒竜ベネボレスを触っている。


「かわいいモノは正義です!」


訳が分からないポーズをとり、そう発言するヘレンは、触るのをやめるつもりは無い様だ。


「くっくっく。そのかわいらしい姿は何だ?」


「それはこっちが聞きたいのじゃ。これはどういう事じゃ?」


「そんな事を俺が知る訳がない。」


漆黒竜ベネボレスの質問を素っ気無く答えるナベリウス。


「しかし、少年の姿とはな。お前は古竜なのでは無いのか?」


「当り前だ!」


「まぁ、別に良いじゃないですか~。ムサイ男より、かわいい男の子の方が♪」


ヘレンは漆黒竜ベネボレス少年を抱っこしてしまう。


「離せ!気高き古竜をそう易々と抱っこするでない!プニプニと胸を押し付けるな!」


少し顔を赤らめて逃れようと声を上げる漆黒竜ベネボレスの様子を見てヘレンは益々興奮した顔になる。


「かわいい♪ショタ最高!!」


「諦めろ。女がそうなったら、もう誰も手に負えん。」


自信も何か経験があるのか、ナベリウスは遠い目をしながら、漆黒竜ベネボレスに憐れみの言葉を贈る。


「うわぁぁぁぁ!許して、たもぉ~!!」


黒竜ベネボレスはヘレンから逃れる事が出来ず絶叫する。声は周辺に響き渡るのだった。



◇◇◇◆◇◇◇



漆黒竜ベネボレスの絶叫なのか、ケートスの絶叫なのか、どちらか分からないが、慌てた様子で、スーザンとシャーラの二人はナベリウスの元へと戻っていた。


「そうでしたか。それで、ヘレンが抱えている少年が漆黒竜ベネボレス様ですか。」


「かわいい♪でもどうやってそんなに小さくなるのかしら?分解したいな♪」


シャーラとスーザンは、ナベリウスの説明と、目の前の光景見て、安堵を浮かべる。


「そんなに心配したのか?ヘレンなどは、ほとんど寝ていたぞ?」


「「えっ?!」」


ギギギという音を立てそうな感じのシャーラとスーザンはヘレンを睨みつける。


「貴様は!」

「ヘレン。一回死んでみる?」


「フゥイユゥ~♪」


ヘレンは二人の睨みと追及を口笛で誤魔化そうとしている様だが、そんな事で誤魔化せるハズも無いというモノ。


「栄誉ある的にしてやろう。」

「生きたまま解剖してあげたら、少しはマトモになるかしら?」


不敵に笑うシャーラとスーザンはズイッとヘレンに近寄り、漆黒竜ベネボレス少年を優しくヘレンから救出する。


「ナベリウス様~。」


危険を察知したヘレンはナベリウスに助けを求めるが、その願いは叶う事は無かった。


「あ~れ~。」


という言葉を残してヘレンは、シャーラとスーザンにより、肩を掴まれ連れ去られた。


「すまない。」


ナベリウスは、漆黒竜ベネボレスに謝罪する。

フラフラと目を回していた漆黒竜ベネボレスは首を振る。


「仕方あるまいよ。我がかわい過ぎたのじゃろう。」


そう納得している様だが、まだここには三人しか居ない。

他の者が混ざれば、もっと大変な目に遭うだろう事はナベリウスには想像できていたが何も言わなかった。


「ところで、友であり主よ。我に命名した時魔力がゴッソリと減ったのではないか?」


「あぁ、そうだ。その事を聞こうと思っていた。あれは何だ?」


「あれは命名という名の儀式なのじゃ。人間族同士ではそういう事は無いのかもしれぬが、基本的には我の様な竜や魔物は名無しじゃ。ノーネームともいうのじゃが、そのモノに高位格の物が名を与えると、変化を起こすようなのじゃ。もちろん、与えた方の格が高い事は前提であるが、与えられる方も、それを承認する必要がある。承認しなければ、変化は起こらん。」


「なるほど、命名の儀式か。つまりお前は承認した事で変化が起こったという訳だな。」


「うむ。そういう事になる。今のこの姿も成長の一つよ。人化する事が出来る様になったのじゃ。魔力はその代償じゃ。命名された方はパワーアップする。その代わりに、命名した方の眷族となるのじゃ。血を与える事でも眷族とする事が出来ると言われるとるが、仕様が違う。命名ははく奪する事も可能なのじゃ。はく奪された者は力を失う。しかも、命名された前に戻ってしまうのじゃ。経験も失うという感じじゃの。記憶が無くなる様な事は無いがの。」


「そうか。では魔物を強く出来る。という訳だな?」


「うむ。そういう事になるの。」


ナベリウスは漆黒竜ベネボレスに話を聞いた後にニヤリと笑った。


「悪い顔をしよるわ。」


漆黒竜ベネボレスはナベリウスの笑った顔を見てそう感想を漏らした。

悪魔の様な笑顔。その顔の時のナベリウスは機嫌が良いのだ。


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