第三話 魔物の楽園(モンスターパラダイス)ナザ。
「迎撃準備が整いました。」
「わかった。ナリ―タに指揮は任せる。」
「はっ!」
「吉報を待っている。」
「「「はい!」」」
スッと消える様にナリ―タ以下六名。
残るは、ナベリウスとシャーラ、スーザン、ヘレンの四名だ。
ナリ―タ達六名に先駆けて、アクアとヒラリーはマグナ王国とクセニッツ帝国に行っている。
ナリ―タ達は両国に行きカーリアン帝国を撃退する。
その準備が出来上がり、向かったのだ。後は、ナリ―タ達が撃退するだろう。
万が一などあり得ない。入念な計画をナリ―タとシャリーが立てた。後は実行するだけだ。
鬼畜とも言える作戦内容は、ナベリウスも把握している。
油断なく、彼女達は実行するだろう。
撤退したカーリアン帝国軍を国境まで追い。最後はその国境に魔物の軍団を放逐するだけだ。魔物のバリケードがカーリアン帝国と三か国の間に出来るという訳だ。【魔獣支配】と解除し、【死霊支配】も解除する。
その後は、その国境付近は地獄と化すだろうが、当面はその魔物の駆除に追われるだけで、膠着状態が生まれる事だろう。そう予測している。
その後は、各国の主が考える事だ。ナベリウスの知る所では無いのだ。
「では、俺達も行くとしよう。ヘレン。定期的に俺は戻る。この国の事は任せたぞ。」
「はい!」
「では行ってくる。」
「行ってらっしゃいませ。」
ナベリウスは、シャーラとスーザンを抱き寄せて転移する。
一瞬にして、ヘレンの前から、ナベリウス達三人は消える。
頭を下げていたヘレンは顔を上げた。
「寂しいな。」
本音を口にした。
彼女の仲間がそれを聞いたらまた怒るかもしれない。
何故なら、少なくともナベリウスはここに戻ってくるのだ。その時は二人きりになるのだから。
◇◇◇◆◇◇◇
ナベリウス一行は、クリーマン皇国の南に位置する島に来ている。
一応はクリーマン皇国の一部としてクリーマン皇国は世界に発表しているのだが、実質は何も手を出していなかった。魔物しか居ない島だからである。
島の名前は、魔物の大島ナザ。
通称、魔物の楽園ナザだ。
その島の大きさは地球で言うなら、オーストラリア位の大きさはあるのだが、魔物の楽園と言われるだけあり、まともな人間は近づかない。所有を表明しているクリーマン皇国ですら、視察をおこなったのだが、島に上陸した者は一人として生還したものが居なかった為、放置している状態なのである。
「ここは、もしかして魔物の楽園ナザでは?」
「よくわかったな。スーザン。その通りだ。」
「私が噂で聞いた場所と特徴が同じだったので。」
スーザンは驚きを隠せなかった。
魔物の楽園ナザは、凶悪な魔物が住み着く場所。
人の身で、生きて帰った者はなし。
その話をスーザンは知っていたのだ。そこら辺の魔物に今の自分が負けるとは思っていないが、魔物の巣窟に足を踏み入れる事になるとは思っていなかったのだ。
「もしや、ここに拠点を?」
「あぁ、そういう事だ。」
シャーラはワクワクとした表情だ。楽しみで仕方がない。そういう感じなのだろう。
ヘレンは二人の感情が分からず困惑気味だ。
「シャーラは島内の調査をスーザンと行なえ。かなりの広さになる筈だ。何処に拠点を造るのかも任せる。」
「了解。」
「スーザン。分析・解析結果は俺にも報告をくれ。」
「かしこまりました。」
魔物の楽園ナザは他の大陸からの侵入を拒むかのように、島の縁は高山で囲まれている。唯一、通れる砂浜は大陸側とは反対の場所だ。しかし砂浜の先に有るのは深い森である。
灼熱の砂丘と呼ばれた砂丘は上陸した者を迎えるには広大過ぎる範囲に渡る。サンドウォーム等の砂の魔物が絶える事なく襲い来る場所である。
惑わしの森は深い。結果、その先へと到達した者は居ないとされる場所だ。森に入って出てきた者が居ないので詳細は明らかになっていない。故に惑わしの森と呼ばれるのだ。
「俺は、ここの主に会ってくる。」
「主?」
「あぁ。ここには主が居る。そいつを下す必要があるんだ。」
「協力が必要なのでは?」
「大丈夫だ。それに一対一でなければ、奴は認めんだろう。しかし、連絡係りは必要か?ではヘレンを連れて行こう。何かあれば、ヘレンを使いとしてお前らの元へ行かせよう。」
「「かしこまりました。」」
返事をした後、シャーラとスーザンはナベリウスを残して飛び去った。
◇◇◇◆◇◇◇
ここは魔物の楽園の中央にある地域。
ナベリウスとヘレンの前にあるのは火山。現在、ここの名前は無い。
そもそも人間族の未踏の地である場所に名前が付くはずも無い。
「凄い山ですね。」
「ああ。それにこの山は火山だ。あそこにマグマが見えるだろ?」
山の至る所に穴が空いており、その先には、真っ赤に輝くモノが顔を覗かせている。
真っ赤に輝くモノの中央は白く見える。その白は高熱である事を現している。
「熱そう。」
感想が漏れ出るヘレン。その反応に微苦笑するナベリウスはある一点を示す。
「あの先に、ここの主が居る。」
「あそこに行くんですか?」
「ああ。」
答えたナベリウスはそのまま、進んでいく。その後ろを慌ててヘレンが追いかける。
「ナベリウス様。相手は分かっているんですか?」
「もちろんだ。相手は古竜の黒竜だ。」
『ギャォォォォォ!!』
その言葉に応える様に、ナベリウスの向かう先から咆哮が聞えてきた。
その咆哮に嬉しそうな顔になるナベリウス。
咆哮もどこか誘う様な感じに聞こえる。
「気のせい?」
その二つの反応に首を傾げるヘレンだった。




