第十四話 新たな眷属の誕生。
「今日より、マドカ・ラングレーは俺の眷族となる。」
「「「「「はっ!」」」」」
ナリ―タを筆頭とした俺の眷族達を目の前にして、宣言する。
新しい第12階の誕生だ。
「マドカ・ラングレーよ。前へ。」
「はい。」
緊張した面持ちのマドカはゆっくりと俺の前に着て跪く。
そして、口を開ける。その口に俺の指から滴る血を入れて飲ませる。
ゴクリと音を立てて飲み干したマドカを立たせると俺は引き寄せて、マドカの顎を手で上げさせてキスをする。すると、マドカの背中に羽が生える。蝙蝠の様な羽だ。
「これで、お前も俺の眷族だ。」
「はい。嬉しく思います。」
マドカは幸せそうな顔になる。
眷族の話をしておこう。
眷族である彼女達は、俺の血を飲む事で半人半魔となった。
つまり、半分は人間で半分は悪魔に近い。半魔と言ってもそれはあくまで人間から見たらの話だ。正確に言えば、半分神の使徒という事になる。天使や悪魔の力と言えば良いだろうか?使える神が邪神と言われているから、半魔であって、聖神に仕えていれば半天使といえるかもしれない。少なくとも、半分は人ではない超越した力を得た事になるのだ。
そして、彼女達は人間を越えた存在になっている。
精神もまた同じだ。だから、俺を愛しているのか?それとは違うだろう。
どちらかと言えば、種のボスに跪く種族の者という方が分かり易いかも知れない。
なので、恋愛などというカテゴリーではない。
種のボスに従っているだけに過ぎないのだ。
まぁ、魅了をしてしまったのだから、愛が無いとは言い切れないがな。
「ナベリウス様に忠誠を誓います。そして、冥王ハデス様の与えて下さった使命を全う致します。」
「励む事を期待する。」
「はっ!」
こうして、無事儀式は終わった。
「マドカ。お前はカーリアン帝国に戻り、仲間を集めよ。」
「かしこまりました。」
マドカのたっての希望で、彼女をカーリアン帝国に戻す事にした。
マドカにはカーリアン帝国内で、新たに内乱の種を撒く役目を負ってもらう事にしたのだ。
彼女はカーリアン帝国でも少佐の立場になっている。出世させて、カーリアン帝国内からの腐敗を進める為だ。
「連絡係は、ミーシャに任せる。よいな。」
「かしこまりました。では、マドカ殿。」
「うむ。」
ミーシャとマドカは今後の打ち合わせの為に部屋を出て行った。
出たのを確認したナリータが近づいてくる。
「よろしかったのですか?」
「何がだ?」
「彼女を国に返しても良かったのでしょうか?」
その事か。それは問題ないと言える。
この10日間、ずっと彼女を相手に過ごしてきた。
朝も昼も夜も関係なく、彼女を愛でた。それにより彼女を眷属に向かえたのだ。
完全なる俺のモノとなっている。と確信している。例の二人はまだ若かった。だから手をつけていなかったに過ぎない。
「あぁ、問題ない。」
「わかりました。」
ナリータの腰をグイッと引っ張り、俺の膝の上に座らせる。
「今回もかなり活躍したようだな?誇らしいぞ。」
「ありがとうございます。」
言葉を交わし、ナリータの顔を俺に向けさせてからキスをする。
「ずるいですよ?」
「ずるい。」
キャシーや他のメンバーも俺の所へ寄ってくる。
さて、一息休憩としよう。
◇◇◇◆◇◇◇
「行って参ります。」
「あぁ、頼むぞマドカ。」
「はい。」
マドカはその特徴的な赤い髪を手でかき上げて、騎馬に乗る。
綺麗な顔を笑顔にして出発した。
偶には愛でる為に、王都に行かねばなるまい。
「さて、次はマグナ王国か?それともクニセッツ帝国か?」
今回の壊滅的なシュタイア公国での敗退によってシュタイアへの侵攻は当分の間無いだろう。
だが、全てを撤退させる事にはなるまい。何の軍功も上げずに、テンビー大将軍も引き下がれまい。
「どちらに行かれますか?」
「そうだな。マグナ王国に向かうとするか?」
「かしこまりました。」
ナリータが返事をすると同時に頭を下げる。
「少しお待ちください。」
「どうした?」
キャシーが待ったをかけた。
どうやら、何か策があるようだ。
「私達は二手に分かれて、同時に潰しましょう。如何に三軍に分かれている相手とは言え、二つの国で敗退すれば、逃げてしまうでしょう。今回の目標は打撃を与える事です。」
確かにそうかもしれない。
テンビー大将軍も、引き際は見極めよう。
「よかろう。ではお前達にこの後の計画を任せるとしよう。時間は好きなだけやる。とは言っても二国が滅んではつまらん。そうだな、ヒラリーとアクアはそれぞれ魔獣を従えて、二つの国でカーリアン帝国を攪乱して時間を稼げ。その間に計画が練り上げろ。計画が練り上がったら、俺に報告せよ。俺は少し、外で遊んでこよう。」
「「「「はっ!」」」」
ヒラリーとアクアに魔獣軍団を分割し2万づつ貸し与えマグナ王国とクニセッツ帝国に派兵した。
出発を見送った俺は気分転換を兼ねて、次に向かう予定地へと向かう事にした。
共にヘレンを連れてこの火竜の洞窟から空へと飛び出した。
「どこへ向かわれるのですか?」
「アーダム大陸に向かう。」
俺は、ヘレンを抱き上げると一気に加速した。
ヘレンは嬉しそうな顔になると俺の胸に顔をうずめた。
目指すはアーダム大陸・その最北端に位置するオートリア国を経由して、クリーマン皇国を見に行こうと考えている。帰りは転移魔法で一発だから、行ける所まで行こうと思っているのだ。




