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野望の円陣、現代のねぐら

現代へ再びタイムリープした信長様と蘭丸。

待ち受けていたのは、あのスマホを渡してくれた「クルー」との奇跡的な(?)再会だった!

――ピピッ。

 現代の安土駅前、アスファルトの冷たい路上。

 先ほどまで絢爛豪華な安土城の天主で墨まみれになっていた織田信長と森蘭丸は、奇妙な空間の歪みとともに、再び令和の空気を吸い込んでいた。

「ぬう……! この肌を刺すような排気ガスの匂い、そして鉄の箱ども……再び未来へ戻ってきたぞ!」

「おお、戻ったか上様! しかし、この板(スマホ)は未だに闇に包まれたままにございます!」

 二人は焦燥感に駆られ、行き交う人々が怪訝な目を向けるのも構わず、その黒い板を頭上高くにかかげた。

「おおい! だれかおらぬか! この摩訶不思議な板に再び稲妻の命を吹き込む方法は知らぬか――ッ!!」

 天下の覇王にあるまじき大声で道行く人に助けを求めていると、すぐ脇の路地から、げっそりとした顔の女性がフラフラと飛び出してきた。

「――いた! いたぞ、この逃げ足の早いコスプレ美少年ども――ッ!」

 血走った目をしているのは、インタビュー後にスマホを手渡してきたクルー・テレビ番組のAD・秋山楓であった。

 彼女はスマホを渡した直後から、なぜか忽然と姿を消したこの二人組を、駅周辺で文字通り駆けずり回って探していたのである。

「あなたたち、ずっとどこ行ってたんですか!」

「おぉっ! 未来の導き手よ! よくぞ――」

「喋るな! 時間がないんだよ!」

 信長の言葉を遮り、楓は二人の腕をガシッと掴むと、駅前の裏手にあるマンションの一室へと引っ張っていった。そこは、東京から出張してきている彼女が、撮影の拠点として借りているマンスリーマンションだった。

 部屋に押し込まれ、息を切らせる楓に向かって、蘭丸が例の黒い板を恭しく差し出す。

「お救いくだされ! 我が主君が崇めるこの『すまほ』とやらの光が消え、文字が読めなくなってしまいました! このままでは我が安土の都の未来が閉ざされてしまいます!」

「スマホ? ああ、また画面真っ黒じゃん。バッテリー切れたのね」

 楓はバッグからコードを取り出すと、手慣れた様子でスマホを充電器につないだ。

 瞬間、画面が「ピコン!」と眩い光を放ち、鮮やかな色彩が蘇る。

「おおおおっ……! 画面が蘇ったぞ蘭丸!」

「す、凄まじい稲妻の魔力にございます……流石は我が命の恩人、未来の補佐官!」

 主従が子供のように歓喜してスマホをありがたがる姿を見て、楓は小さくガッツポーズをした。

((よしっ、これで完全に恩を売った。この美少年(蘭丸)、ぜったいに手放さないからね……!))

 わずかに黒い笑みを漏らしつつ、楓は涼しげな顔を作って言った。

「はい、これで充電はバッチリ。で、あなたたち、これからどうするのよ。行くあてがないなら、今日から当分の間……ここを、あなたたちの『住処』にしてもいいわよ!対価として私の担当する企画に死ぬ気で協力するってのはどう?」

 こうして、安土のマンスリーマンションを拠点として、天下を狙う戦国武者と、密かに野心を燃やす若きADによる、奇妙な同居生活の幕が上がるのであった――。

第三話をお読みいただきありがとうございました!


無事にスマホの充電を復活してもらい、謎の女性クルーが用意したマンスリーマンションへ転がり込むことになった信長様と蘭丸。

奇妙な共同生活の幕が上がりますが、果たして彼女の正体とは――!?


次回、部屋に落ち着いた彼らを待つのは、お互いの自己紹介と、予想外の「衝撃の事実」の発覚……!?


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