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人に向けて魔法が撃てない俺はニートになろうとしたら底辺クランに入団させられました  作者: いぬぬわん


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第21話 訪問

朝の訓練を終え、陽翔は本部ビルのラウンジで息を整えていた。

大きな窓から差し込む光が、いつもより少しだけ柔らかく感じる。


(……ここに来るのも、だいぶ慣れたな)


最初は場違いだと思っていたこの場所も、

今では自然と足が向く。


「よー、陽翔」


声をかけてきたのは烈だった。


「昨日、千景と訓練したんだって?しばかれたか?」


そう言って烈はニッと笑い、からかってくる。


「ふっふっふ、甘いな烈さん。

今までの俺とは違うってとこを聞かせましょう!

実は訓練の後千景さんに─────」


「きいたよ、きいたよ!陽翔くん!」

話を遮り明るい声と共に現れたのは

月島結菜だった。


「だいぶ強くなったんだって?」

「千景が褒めてたよー?」


「えっ!?」


反射的に振り向く。


「ちょっ、オーナー!!」


「しかもさ、しかもさ!」

月島はにこにこしながら、追い打ちをかけた。


「“新人”じゃなくて、“陽翔”って」

「名前で呼んでたしー?」


「……ほぉー?」

ニヤニヤする烈。


「そ、それは……!」

「状況的に、そう呼ぶのが自然だっただけで……!」


千景の声が完全に裏返った。


「「へぇー?」」


月島と烈は意味ありげに笑う。


「もー!オーナー!烈!」


千景の声が一段高くなる。


「ちょっと2人共!あんまイジると名前で呼んでくれなくなっちゃんうんで!!」


「あはは、ごめんごめんついね」

と千景にごめんっとしながら言う月島。


「でも陽翔くん、ちゃんと見てくれてるんだよ、千景は」


「……っ」


千景は顔を背け、腕を組む。


「……事実を言っただけよ」

「勘違いしないで」


「はい……!」


思わず背筋を伸ばして返事をすると、

月島は満足そうに頷いた。


「いいねえ、いいねえ」

「チームがちゃんと“育ってる”感じ」


その言葉に、ラウンジの空気が少し和らぐ。


——その時。


コン、コン。


控えめなノック音が、扉の向こうから響いた。


「?」


誰もがそちらを見る。


月島が首をかしげ、扉に近づく。


「はい、どうぞ」


ドアが開く。


そこに立っていたのは——

赤い長髪を揺らした、見覚えのある少女だった。


すらりとした体躯。

名家特有の、凛とした隙のない立ち姿。

白を基調とした‘’白銀の翼‘’の隊服。

その瞬間、陽翔の表情が凍る。


(……嘘だろ)


(よりにもよって)


心の奥で、はっきりとした拒絶が湧き上がる。


(見たくない顔が……来た)


少女はゆっくりと視線を巡らせ、

そして、真っ直ぐに陽翔を見た。


「久しぶりね、陽翔」


‘’厄介クソ女‘’


——過去から切り離したはずの存在が、

今、暴黒の獅子の中に立っていた。

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